33.Round2−3 Side「アルテミス」
現在の年月日及び時刻は、2027年7月1日、USAフロリダ時間、午前6時59分。開戦1分前だ。
この段階で、Side「アルテミス」の秘密兵器『バスケットボール』のサブパイロットである
なぜなら、Side「かぐや姫」のスーパーコンピュータへの潜入が成功し、攻撃パターンを完全にシミュレートできていたからだ。
なぜなら、Side「かぐや姫」では、いまだ途上の段階だったプログラミングの高級言語化を、
いや、この説明は正しくない。
正確には、情報処理を口語によって操ると言う、父の「思想」に共感した
これにより、Side「かぐや姫」のプログラム高級言語は、Side「アルテミス」でプロプラミング高級言語とは、似ても似つかぬ構造になっていたからだ。
オカルトと
そのテクノロジーの格子となる構想を、
昭和、そして平成初期のテレビアニメーションをYouTubeで試聴しながら、ふたりで熱く厨二なオカルト談議を熱く語り合っていた事を、完全に忘れていたのだ。
そしてわずか2週間ほどで、オルカマークIIのハッキングに成功した。
いまや、
あとは、オルカMarcIIIの攻撃アルゴリズムから導き出した回避ルートを、
本来ならば不可能に近い作戦だったが、
合計1024回のフライトシミュレーションのうち失敗はたったの2回。
成功率は99.8%にのぼる。
しかも、失敗したのは最初の2回だけだ。それ以降は、フライトシミュレーションを全て成功させている。
「戦闘開始まで……10……9……8……」
イヤホンから、オペレーターの音声が聞こえてくる。おっさんのオペレータの声は、務めて平静を装って戦闘開始までのカウントダウンを行う。
「……3……2……1……ミッションスタート!」
オペレーターの声と同時に、車両型兵器に搭載されたカタパルトから、猛スピードで『バスケットボール』を核弾頭として搭載したロケットが発射された。
ミサイルが『バスケットボール』の分離ポイントに着くまでの約30分の間、
スタンバイは、分離ポイント到着三分前から始めれば充分だった。
あまりにもヒマだから、
「残念やけど、絶世の美少女、
大事な部分もぜーんぶ丸見えや!」
センスのない言葉で下世話にイキリ倒す
「ちょっとなにいってるか、わからない」
「これで勝てる!
ようやくあっちの地球行ってもうた
片手間のお勉強やのうて、ガッツリお勉強しとった、
「オカルトじゃなくて、
情報処理? は、あっちの地球にない教科だから、ちょっとなにいってるか、わからない」
「僕はもう一方的に、あっちの地球に行ってもうた
あいつは、僕のこと友達や言うとったけど、冗談やない!
あいつの得意分野で出し抜くために、ずっと見とったんや! 観察しとったんや!」
「気持ちええ! めっちゃ気持ちええ!
僕は今、
僕は今、
僕は今、
「……それ、ストーカーじゃね?」
「な! んなアホなことあるかい。
なんで男に惚れなあなんのや! 気色悪い!
あんな、いっつも「ぼーっ」としとった男に!」
「そいつは、もう
あっちの地球に行った時点で、そいつは女だ。
パーフェクツに可愛すぎる絶世の美少女、
「なんつったっけ? トル
聞けば聞くほど、オレの代わりにあっちの地球で
とにかく性格がアホみたいにソックリだ。押しに弱いドジっ
「でもって、そんなアホみたいに押しに弱いヤツのすぐそばに、アホみたいに押しが強いユウリがいるんだ。
どうせ、あまっあまっでフリッフリのロリータドレスが似合う、可愛すぎる尊すぎるロリータ少女に鍛え上げられてるに決まっている。
二次元と三次元、あとおっぱいが「永遠の0」なところ以外は、トル
「はぁあああ!?」
そう言うと、
そして、しばらく無口になると、一言だけつぶやいた。
「……悪くないだろう?」
「ま、どーせ向こう30年は会えないけどな!」
「ダメやないかい!」
・
・
・
30分後。
「ほい! 最新データのパクったった。ん? 結構ルート変わってるな?」
「余裕。2秒前ならルート変更見てから余裕」
「ま、そうやろな。まあ、せいぜい派手なダンクシュート決めてくれ」
「『バスケットボール』分離まで……10……9……8……」
イヤホンから、オペレーターの音声が聞こえてくる。おっさんのオペレータの声は、務めて平静を装って戦闘開始までのカウントダウンを行う。
「……3……2……1……ミッションスタート!」
オペレーターの声と同時に、ミサイルに搭載された核弾頭『バスケットボール』が、分離された。
悪魔に導かれたちいちゃい戦車は、Side「かぐや姫」の軌道エレベーターに向かって、フルスロットルで飛び立った。
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