29.「アルテミス」は乙女チックやからや。by トルク
こんにちは。
今、僕はNASAのフィールドセンターのひとつ、アメリカのフロリダ州の「ケネディ宇宙センター」の一室で、
NASAと、国連のお偉いさんに、あっちの地球のオモシロ技術、
なんやけど……なんやさっきから乙女チックな話聞かされとる。
僕は今まで、
そんな『住む世界』が違う超人なんやと思っとった。
でも、
今の
今の
今の
今の
なんや、ぶっちゃけチョット気持ちが悪い。完全に非モテ野郎のそれだ。
ん? なんや違和感あるな。あ、そうか、野郎やない。乙女なんや。乙女チックなんや。お花畑の乙女チックガールズトークなんや。
僕はさっきからずっと、この長身非モテ野郎の、乙女チックガールズトークを聞かされとるんや。
・
・
・
「で、
「そう。ユウリのおっぱいを触ると、心がスッキリするんだ。
ユウリは、なんでも見通せる。人の心の奥底を完全に見通せる。人の心の上っ面に浮かんだどうでもいい
ユウリのおっぱいを触ると、心がスッキリするんだ」
僕は、キーボードをガチャガチャガチャガチャ言わしながら、無言で
こっちの地球のために「アルテミス計画」のために、さっきからずっと、キーボードをガチャガチャガチャガチャ言わしながら、無言で
でも、もう限界や。限界やから、天を仰いだ。そして、目頭を押さえながら、ようやっと、声を絞り出した。
「……めっちゃウラヤマしい……」
「ちょっとなにいってるか、わからない」
「あっちにおったとき
「ちょっとなにいってるか、わからない」
「嫉妬するに決まっとるやろうが!
なんやぁ! 毎日おっぱいさわる占いって!
おっぱい占いか! おっぱいがいっぱいの占いか!!」
「ちょっとなにいってるか、わからない」
そう言うと、
「
語気強めで不可思議な事を言った。
「全然違う。
対して
悩んで悩んで、ごった煮になって、
そんなの普通でしょ? なんで知らないの?」
!!!!!!!!!
来た!
僕は知っている。もう二年以上の付き合いだから知っている。
僕は、
僕は、
そして知ってしもうた。衝撃の事実を知ってしもうた。
僕は思うた。これは、【
数学は、普通は答えが決まっている。絶対に答えが決まっている学問や。
絶対に答えが決まった定理を、様々な分野に活用する学問や。
対して、統計学は普通は答えがない。答えがない答えに、仮説を立てる学問や。
統計を調査して、
つまりは、
その人間しか知らん、野生のカンちゅうか、経験則ちゅうか、上手いこと言葉では言い表せんこと、ちょっとなにいってるか、わからない事を、わかりやすくアウトプットする技術や。
こっちの地球で、初めて統計学を実践的に活用したんは、ナイチンゲールって言われとる。
フローレンス・ナイチンゲールは、1854年に勃発したクリミア戦争での看護の記録をデータとしてまとめた。
なんや、赴任先の病院で死亡率をめっちゃ減らして奇跡起こした国民的英雄みたいに言われるん毛嫌いして、病室を衛生的に保つ事こそが、死亡率の低下に繋がる事実を、めっちゃわっかりやすいグラフ作ってエライ人に叩きつけてやった。
自分がやっとることは、奇跡でもなんでものうて、誰でもできる事やって、統計学って言うデータの束で、エライ人のホッペタをぶっ叩いてねじ伏せた。
つまり、
本来は、数えきれんほどの実践を繰り返して初めてわかるデータの束を、おっぱい触らせて、触った人間のホッペタをぶっ叩いてねじ伏せるんや。
感情の
「いやしかしこれはヤバイな。これはほんまヤバイな。
ホンマやったら、こっちの地球ではめっちゃデータ集めてやる学問を、あっちの地球におるユウリちゃんは、
僕は、キーボード付きタブレットをアホほどガシャガシャ言わして、レポートを作成した。
「ま、
……ほい!
送信したった! で、こっからは、愛しい愛しい
僕は、聞かなければならないと思った。
NASAと、国連のお偉いさんに、報告するかどうかはおいといて、
多分なんやけど、こっちの地球はこのままでは負けるって思うたからや。
せやから僕は、めっちゃニヤけながら、あっちにおった時の
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