16:知らんうちに炎上をしかけたからや。byトルク

 こんにちは。十流九とるくトルクや。


 毎度毎度、視点があっちゃこっちゃ変わりまくる話についてきてくて、どうもありがとうございます。

 本当に申し訳ないんやけど、今回は、視点だけやのうて、時間までもあっちゃこっちゃ行きます。(アホや)


 こっちの地球はまだ2025年や。でもって日付けは10月28日。つまりは、蘇我そがのお誕生日や。


 そんでもって、まだ、YouTubeの生配信中や。

 そんでもって、YouTubeの生配信は、今にも炎上しそうな気配や。炎上しそうなんは、蘇我そががアホなこと言ったためや。(アホや)


「俺たち『TENJIKU』、月に行っちゃいます!!」


ってアホな事言うたためや。


 このアホな発言以降、応援と誹謗中傷が半々で飛んでくる。

 実はこれは、結構珍しいことや。世の中の人は、実は案外ヒマやない。自分が思うとるほど、は他人に興味はない。わざわざ嫌いな人の誹謗中傷言うために、嫌いな人間の生配信に張り付くなんぞやったらありえん話や。


 そんなことするんは、本当にな〜〜〜〜〜んにもすることない、ヒマ人や。


 そんな訳で、今、起こっている現象はに考えたら滅多に起こらん、結構珍しいことや。

 結構珍しいことなんで、僕はヒマ人の誹謗中傷コメントを「チャラ」っと調べた。そしてにわかった。

 蘇我そががアホなこと言うたからやとすぐに気づいた。

 心象的にアホなことやのうて、事象的にアホなこと言うたからやって、すぐにわかった。(アホや)


 すぐにわかったんで、僕は蘇我にLINEを送った。すぐさまLINEで「シュポ」ってにカンペを送った。


 蘇我そがは、LINEを素早く見た。(と思う)

 配信画像に写っていた蘇我そがは、一切表情を変えんでLINEを見た。(と思う)


 ふんわりと思っとるだけなんは、蘇我そがは目線すら動かさんかったからや。せやからきっと、この配信を見とるヤツは、誰ひとりとして蘇我そががカンペを見とるん気づかんかったと思う。


 蘇我そがは、LINEのカンペを、まるで最初から自分で用意していた言葉みたいに、配信前からあらかじめ用意しといた言葉みたいに、にしゃべった。


「オレたちは、この地球で、月面パイロットになる!! 絶対になる!!

 そう、リモートパイロットさ!! 世界一のドローンレーサー蘇我そがテンジに、おあつらえのプロジェクトさ!

 なぁ、トルく↑! そう思わないか?」


 僕は、YouTuberとして、唯一、蘇我そがから「言ってもいい」と許可が降りてるセリフを言った。正面のカメラに向かって、「スチャ!」とメガネに手をかけて、無表情でつぶやいた。


「……悪くないだろう」


 そう言うと、蘇我そがと僕は、「ガッ」と腕をクロスさせた。


 でもって、腕を解くと、蘇我そがはチャットのコメントにに返事を返しはじめた。

 僕は、すぐに横を向いてコメント欄を見た。誹謗中傷は、すっかりキレイに「永遠の0」になっていた。あとはもうに平常運転や。


 ・

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 おわかりいただけただろうか?


 蘇我そがが、あとついでに僕が、トビキリのアホだったことを、おわかりいただけただろうか?

 そう、蘇我そがは、ついさっきまで、ほんのついさっきまで、本当に「自分が月に行く」のだと思いこんでいた。ニュースサイトをナナメ読みでもして、本当に「自分が月に行ける」と思いこんでいたのだ。(アホや)

 そして僕は、そんな蘇我そがの「月に行く」と言うナナメ上を行く発言に、また振り回されるのかと、ニュースサイトをちゃんと読まずに、うんざりしていたのだ。(アホや)


 だが僕は、親切なヒマ人のおかげで気がついた。


「バーカ! 月に行くってよ!」

「www」

「記事ちゃんと読んでないw」

「クソチートやろう追放のお知らせw」

「さまあw」

「リモートパイロットだっつーのw」


 親切なヒマ人のアンチのコメントのおかげで気がついた。


 とてもとても親切な、アンチのみなさまの生暖かいコメントで、【アルテミス計画】は、地球から、月の調査機器をリモート操作できるパイロットを募集しているのだと気がついたのだ。


 彼らは知らない。ごく少数のヒマ人の彼らは知らない。自分たちがシュートを外し、そのリバウンドを蘇我そがが瞬時にかっさらったのを知らない。


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 おわかりいただけただろうか?


 蘇我そがは『住む世界』が違う人間であることを、おわかりいただけただろうか。


 蘇我そがは全く動揺しない。

 蘇我そがは全く混乱しない。

 蘇我そがは全く狼狽ろうばいしない。

 蘇我そがは全く緊張しない。


 そんでもって蘇我そがは、僕の指示や作戦を、完全に完璧に実行する。


 蘇我そがは、全く動揺せず、全く混乱せず、全く狼狽ろうばいせず、全く緊張せず、僕の指示や作戦を、完全に完璧に実行する。(アホや)


 ゾーンって言葉がある。要するに、蘇我そがは必要な時に、瞬時にゾーンに入って、まるで機械みたいに完全に完璧な行動ができるバケモンなんや。脅威的な集中力のバケモンなんや。


 蘇我そがは『住む世界』が違う。

 驚異的なアホやけど、脅威的な集中力を持った大天才なんや。(ほんまアホみたいや)

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