第3話佐々木孝と木田林松栄

木田林松栄と言えば津軽三味線の世界では知らない人が居ないくらいの大御所であった。

その家元の2代目として披露宴まで手配が終わってたのに、突然に2代目の披露宴の中止が言い渡された。

どうしてかと言うと。当時500万円で有る弟子に2代目の名籍を売ったと言う。


昭和40年ごろの500万円は決して安い金額では無いが、当時の旅芸人は博打にはまったりして居たであろうし、決してない話しでは無い。


当時は主に首都圏で活動して居てために、佐々木孝は北海道から出ないで家元に気を使いながら活動していたと言う。


初代家元がお亡くなりになるまではそうして居たのであろう。


ここまでの話は佐々木孝の義弟で有る小笠原強師匠に私が直接聞いた話であって、双方の裏付けをとった訳ではないが、今となっては他に事実を知っている人も存在しないだろう。


私がこの家元制度が嫌だったのも民謡界から遠ざかった小さな要因の一つでもある。

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