すいすいのノゾミヒメ のぞみのわくわく米作り4
――――てなわけで、ご飯を食べて軽く数分休憩した後。
のぞみ達は再び田んぼの前にやってきていた。
「次は畑を耕すのじゃ」
田んぼに到着したのぞみは早速おっきなクワを渡された。
「まずは全体に肥料を撒いてから、土とよく混ざるように耕すんじゃぞ」
「わかったよ!」
のぞみは米仙人から、バケツいっぱいに入れられたよくわからない肥料を受け取って撒く事になった。
「わしは今から用があるので少し留守にするが、真面目にちゃんとやるのじゃぞ?」
「わかってるって~。…………それに、ちゃんとやらないとモンエナくれないんでしょ?」
「当然じゃ!」
てな訳で、のぞみにはサボるって選択肢は無くなった。
「では、そろそろ行くとするかのう。おいお前、こやつがサボらんように見張っておくのじゃぞ」
「にゃ~ん」
なんだかご飯をもらった事で、ごんすけは完全に餌付けされちゃってる気がするよ。
――――それから米仙人は出かける準備の為に家の中に入っていって、気が付いた時にはもう居なくなってた。
「さてと、のぞみも頑張らないとだねっ」
まずは肥料の入ったバケツを持って田んぼを周り、柄杓で均等に撒いていく。
「よしっ。こんなもんかな?」
最後まで撒き終わると、ちょうどバケツの肥料を全部使い切っちゃったみたいだよ。
「え~っと。たしか後はクワで土と肥料をよく混ぜるんだっけ?」
バケツを置いて近くに置いてあるクワを持つと、かなりずっしりとした重量があって持つだけでもちょっと大変かも。
「うぅ~っ。結構重いよ」
多分のぞみでも使える小さめのクワなんだと思うけど、重いことには変わらない。
「にゃ~ん」
心配したごんすけがやって来た。
「あっ!? 近くにいたら危ないよ!?」
のぞみはクワを置いて、寄ってきたごんすけを抱えて少し遠くに移動させた。
「そこで見ててね~」
それからのぞみは、もっかいクワを持って田んぼに降りた。
「せ~~~~~。のっ!!!!」
クワを軽く振りかぶってから、地面に向かって一気に振り下ろす。
サクッと土を掘り返し、肥料を土に馴染ませる。
けど、1回耕しただけじゃまだまだ土は固いし肥料の混ざりもまだまだ。
「もっかい。せ~~~~~。のっと!!!!」
さっき耕した所にもっかいクワを振り下ろすと、土はいい感じの柔らかさになった。
「もうこの場所は大丈夫そうかな?」
のぞみは3歩後ろに下がって、さっき耕した所のちょっとだけ横を耕す事にする。
「よぉ~~~~い。しょっと!!!!」
この場所もさっきと同じ感じで数回耕すと、いい感じの土が完成!!
そのまま数回耕してから後ろに行くのを繰り返し、のぞみは田んぼの端っこまで辿り着いた。
「ふぅ~。かなり頑張ったからもう終わったかな?」
田んぼを見回してみると、まだまだ全然耕せてなかった。
「って、全然終わってないじゃん!?」
あ~。
一列耕しただけで、もうつらいよぉ~。
「疲れたから、休憩しよっと」
クワをその辺にポイって投げ捨てて、のぞみは水筒の置いてある場所までダッシュした。
そのまま栓を開けて水をおもいっきり飲み込んだ。
ちょっぴりぬるいけど、喉がからからの今の状態には凄く染み渡るよ。
「――――ぷはぁ。あっ、ごんすけも飲むよね?」
「にゃ~ん」
小さいお皿に水をそそぐと、ごんすけもぺろぺろと水を飲み始める。
「こんだけ耕したらじゅうぶんだよね?」
あとは米仙人がモンエナ買ってきてくれるまで、ごんすけと遊んでよっと。
水を飲み終わってゴロンとお腹を見せて寝転がったごんすけを撫でると、目を細めて気持ち良さそうな鳴き声をあげた。
「お~。やっぱり、ごんすけはかわいいねぇ~」
モフモフすぎて一生さすさすしてても飽きないよ。
――――それからしばらく、ごんすけと遊んでたんだけど。
ごんすけは急に何かを思い出した感じで走り出して、そのまま田んぼの中へとジャンプ!
それからのぞみが耕してない部分にトコトコ歩いていって、前足でカリカリと地面をひっかき始めた。
「えっと。もしかして、のぞみの代わりに耕そうとしてる?」
「にゃん!」
ごんすけは必死で引っ掻いてるけど、それで耕すのは無理だと思う。
「わかったよ。残りもちゃんとやるから、ごんすけは見てて」
「にゃわん」
のぞみが立ち上がると、ごんすけはすぐに田んぼの外にジャンプした。
もしかして、のぞみのやる気を出させる為にやってくれたのかな?
のぞみは気合を入れてから、もっかい田んぼの中に戻ってクワを拾う。
「よ~し。やるぞ~!」
――――それからのぞみは、ちょくちょく休憩しながらだけど少しつづ田んぼを耕していって、夕方に差し掛かった頃には何とか全部耕し終わる事ができたんだ。
「ふぅ~。なんとか終わったよ」
家に帰る前にごんすけを探すと、田んぼの周りを走り回ってたのを発見した。
流石に暗くなる前に家の中に帰ってもらわないと、迷子にならないか心配になるよ。
「ごんすけ~。そろそろ帰るよ~」
「にゃ~ん」
のぞみが呼んでるのに気が付いたごんすけは、走り回ってるスピードそのままで方向転換して、のぞみの方に向かってきた。
そして、そのままジャンプしてのぞみの肩を掴んでから肩の上によじ登ってから、のぞみの頭の上に前足をのっけて、いつものお気に入りポジションに到着した。
「ほぉ? どうやら真面目にやっておったようじゃな」
声のした方を振り返ると、米仙人がいた。
「あっ。帰ってきたんだ。――――それにしても時間かかりすぎじゃない?」
「わしにも色々とやる事があるのでな。それより、ほれ。買ってきてやったぞ」
米仙人が背中に背負ってる風呂敷を開くと、なんと中から見覚えのあるドリンクの缶が出てきたよ。
これは紛れもなく、のぞみが毎日飲んでて絶対に見間違わないカラフルなカラーリングをした缶。
「あっ!? モンエナだ!?」
「買ってきてやると言ったであろう?」
「いやぁ~。まさか本当に買ってきてくれるとは思わなかったからさぁ~」
「……じゃあいらんのか?」
「い、いるよっ! 早くちょうだい!!」
のぞみがモンエナを受け取ろうと手を伸ばしたら、米仙人は手を引っ込めてのぞみに取らせない意地悪をしてきた。
「これは、帰ってからじゃ。まずは服を着替えてからじゃろう?」
のぞみは自分の姿を見てみると服に沢山泥がついているどこんこ姿で、かなり汚れちゃってた。
「は~い」
本当は今すぐにでも飲みたいけど、1回お風呂に入ってから風呂上がりの一杯で腰に手を当てながらモンエナを飲むのも悪くないかも。
だからのぞみは待ちきれない気持ちを抑えながら、ひとまず家に帰ることにしたんだ。
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