リアルタイムアタックで世界を取るよっ!4
通路を歩いてエレベーターの前まで到着すると、下に降りるボタンをポチッと押す。
のぞみの家はマンションの500階にあるから、エレベーターが下の方の階で止まってたら待ってるのが凄くめんどうなんだよねぇ~。
ムササビの術が使えたらここから一気に一番下まで降りる事が出来るんだけど、あいにくのぞみは忍術が使えない。
「よ~し。これは今度、忍術教室に通って、ムササビの術を教えてもらうしか無いっ!」
――――あとは他にはどんな忍術を教えてもらおっかなぁ~。
みたいな事を考えてたらエレベーターが到着。
チーンと音が鳴ってから扉が開いて、中には誰も乗ってないみたい。
「にゃん」
ごんすけが一足先にエレベーターに乗り込んだ。
「あっ。待ってよ」
のぞみもごんすけに続いて乗り込んでから、エレベーターを操作して1階に向かってぐい~んと降りていく。
それからは特に何もなくスーパーでお姉ちゃんから頼まれた買い物を済ませて――――おっとモンエナを忘れてたよ。
モンエナとコンソメ味のポテチも忘れずに買って、おつかい完了っと。
「じゃあ帰りはRPGごっこしながら帰ろっと。行けっ、ごんすけ! 100万ボルト!」
「にゃ~ん!!」
ごんすけはのぞみの掛け声に反応してポーズを取ってくれた。
このまま楽しく帰れそう。
それからごんすけにいろんな技をチャレンジしてもらいながら歩いてると、ベンチでしょんぼりとした人を見つけたんだ。
その人は顔を真っ白に塗っていて頭には長い冠をかぶってた。
平安時代の人が着てるような服装で、額にはいつでもゲームが出来るようにVRゴーグルをつけてる。
「あっ!? あれはもしかしてっ!!!!!!」
のぞみはその人を見たことがあった。
てか見たことがあるどころか、毎週見てるよ!
これはサインを貰うしか無い!?
「のぞみダーーーーッシュ!!!!」
のぞみは急いでベンチに向かって声をかける事にしたよ。
「あ、あのっ!」
「おじゃ? マロになにか用でおじゃるか?」
「サインちょ~だい!!」
「ふむ? わかったでおじゃ」
その人はそう言って袖の下から墨のついた筆を取り出した。
やっぱり普段からサインを求められる機会が多いのか、準備万端みたいだねぇ。
「して、どこにサインをすればいいのでおじゃるか?」
「もちろんここでっ!!」
のぞみは上着のファスナーをおろしてから下に着ているTシャツをさらけ出し、シャツの下の部分を持って前に差し出してサインが書きやすいように見せた。
「では、しばし待たれよ。おじゃおじゃおじゃあ~」
慣れた手付きでサラサラ~とサインは書き終わり、のぞみ的にも大満足!
これはしばらく洗え無いねぇ。
「やったあ~~!!!!!」
「しかし、まだマロのサインを欲しがるわっぱがいるとは、マロも少しは捨てたものでは無いのかもしれないでおじゃるな」
「なんで? のぞみが前に大納言のサイン会行った時は凄く並んでて、大人気だったよ?」
「それはかなり前の事でおじゃろう? 最近は新記録が出せてないせいかサイン会をやっても人が集まらないのでおじゃ」
「ええっ!? そうなの!?」
まさかそんな事になってたなんて、のぞみも凄くビックリだよ。
「けど、来週重大発表があるんでしょ? のぞみは来週が凄く待ち遠しいよ」
「…………あれの事でおじゃるか」
大納言はちょっとだけ遠くを見つめてから、ため息を吐いた。
「実はあの番組は来週で終わるかもしれないのでおじゃるよ」
「へ~。そうなんだぁ~」
これは最終回も楽しみだよ。
最後までちゃんと見ないと……………………。
「って、さいしゅうかぁああああい!?」
「はぁ…………そう言ってるでおじゃろう?」
「最終回って番組が終わっちゃうって事だよね? なんで!? なんでなのっ!?!?」
のぞみが迫ると大納言はちょっとだけ後ずさりしたから、ジャンプしてしがみついて何とかして教えてもらう事にする。
「ええい、しつこい奴じゃのう」
「だって気になるじゃん! ねぇ、教えてよぉ~。のぞみ毎週楽しみに見てるのに、終わっちゃったら困るんだけど!!!!」
「わかった、わかったでおじゃるから、離れるでおじゃる」
大納言は両手でのぞみを掴んで、ひょいっと床に置いた。
「実は次に記録が出なかったら、番組が打ち切りになってしまうのでおじゃる」
「ええ~っ!? そんなのヤだよ!」
「嫌と言われても、こればっかりは決まり事だからどうにも出来ないのでおじゃるよ」
「そんなぁ…………」
「まあマロが新記録を出したら続くから、そこまで心配しなくてもいいでおじゃ」
大納言は笑いながらそう言ってくれたけど、のぞみはかなり心配なんだけど。
「――――あれ? 記録って事は、もしかして他の人が記録出してもいいの?」
「確かに他の者が出してもいいでおじゃるが、もうあの番組の弟子はみんな裏番組に行ってしまって、あの番組でゲームが出来るのは、もうマロだけでおじゃる」
――――そういえば前は弟子募集の企画をやって、いろんな人にゲームを教えてたけど、最近はやってなかった気がするよ。
のぞみも毎回応募してたのに1回も選ばれなくて、その度にショックでモンエナをガブ飲みしてたっけ。
のぞみが弟子企画に当選してたら、絶対に凄い記録を出してたのになぁ。
それも番組新記録だけじゃなくて、日本新記録。
いや。宇宙記録だって夢じゃなかったはずっ!!!!
………………ん? 待てよ。
ゲームが出来る人ならここにいるじゃん!!
「ねぇ。今からのぞみが弟子になるのって駄目なの?」
「…………おぬしがでおじゃるか?」
「ふっふっふ~。こう見えて、のぞみは凄くゲームが得意なんだよ!」
シュッ! シュッ!
っと、のぞみは軽やかなフットワークでシャドーボクシングをして見せた。
「そうは言っても、次の放送まで一週間しか無いでおじゃるよ?」
「大丈夫だってぇ~。ここは、のぞみに任せてよ!」
「……まあ誰もいないよりかはマシかもしれないでおじゃるな」
大納言はベンチから立ち上がって、のぞみに向き合った。
「マロの教えは厳しいでおじゃるよ? それでも付いて来れるでおじゃ?」
「頑張るよ!!」
――――てな感じで。
のぞみと大納言との修行の日々の始まり、始まりぃ~。
「こっちこっちぃ~」
今日はゲームの特訓のために、大納言をのぞみの家に招待する事になったんだ。
「じゃじゃ~ん、ここがのぞみの家だよ!」
放送まで時間が無いからつきっきりで指導してくれるみたいで、のぞみもやる気全開フルパワーマックスだよ!
「ふむふむ。結構いい所に住んでるのでおじゃるな」
「でしょ、でしょ? のぞみもこの家はかなり気に入ってるんだぁ~。とりあえず入ってよ」
ごんすけに家のドアのロックを解除してもらって、すぐに中に招き入れる。
「にゃ~ん」
家の中に入ると、のぞみの帰宅をいち早く察知したごんすけが玄関にダッシュで走って来て、勢いの乗ったままジャンプ!
「わっとと!?」
ごんすけはそのままのぞみの頭にしがみついて、他の人から見たら帽子みたいな感じになった。
俗に言うパイルニャーオン状態ってやつだね。
「ほう。うい奴でおじゃるな」
「にゃ~ん」
褒められたごんすけは凄く嬉しそうだよ。
それからちょっとだけごんすけをモフモフしてからのぞみの部屋まで案内して、特訓開始なのだっ!
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