リアルタイムアタックで世界を取るよっ!3

「よ~し、今日は積み漫画を読も~」


 まずは縦に数十冊積まれたコミックの山から一番下にある本をゲーーーット!


「…………あ」


 一番下を無理やり引き抜いたせいか、バランスを崩した本が大きくグラグラ揺れて崩れちゃったよ!?


「ま、まあ後で片付ければいっか」


 どっちみち次もまた一番したから取る事になるんだし、逆に取りやすくなったって考えればオッケー! オッケー!


「おっと。そういやモンエナ開けてたの忘れてたよ」


 ごくごく。


「ぷはぁ~」


 甘さ全開の甘みの後にくるほんのちょっぴりの炭酸が喉越し爽やかで、病みつきになる味。

 これぞ毎日飲んでても飽きない、神・飲・料!!


「え~と次の巻はっと」


 今読んでた本が読み終わったから。次の巻を読むことにする。

 けど下に散らばった本を探してみたけど、何故かどこにも見つからなかったんだ。


「あれ? もしかして買い忘れた?」


 これは困ったなと思ってある場所を見たら――――。


「あっ!? こんな所にあるじゃん!」


 なんと他の縦積みされている本の山の下の方で発見したよ。


「ふっふっふ~。これはまた、のぞみんスライドで抜き取れって事ですなぁ~」


 さっきは失敗しちゃったけど、次はだいじょ~ぶ。

 のぞみは同じ失敗を2回も続けないのだっ!!!!


「うおおおおおおおおおおおっ! のぞみんスラ~~イドッ!!!!」 


 さっきより鋭い角度でコミックを奪取!

 よ~し。今回は無事に成功!!


「…………あ」


 ――――と思ったのに。

 角度が鋭すぎたのか、またもや本の山はバランスを崩して床に散らばっちゃったんだ。

 片付けようと思ったけど…………漫画の続きも気になるっ!


「ま、まあ。お姉ちゃんが帰ってくるまでに片付ければいいよね」


 これはのぞみじゃなくて、気になる所で終わった漫画が悪いのだっ!

 

「なるほどぉ~。そうくるかぁ~」


 それからのぞみは漫画をどんどん読み続けて、読み終わった頃に外を見たらもうだいぶ太陽が沈んだ感じだった。


「あ~、面白かった。そろそろお姉ちゃんも帰ってくる時間だし、今日の夕御飯が楽しみだよ」


 マンガ本を適当な場所に置いて後はお姉ちゃんが帰宅するまで、ぐで~んとベッドに寝っ転がりながらごんすけと遊びながら待つ事にしよっと。


「…………あれ? そういえば、何か忘れてるような」

 

 周りを見ると、何故か凄く散らかった部屋の中にのぞみはいた。


「あああああっ!? 片付けるの忘れてたああああああっ!?」


 そして、のぞみが急いで片付けようとした瞬間。


「ただいま~」


 家の扉が開いて、お姉ちゃんが帰ってきてしまったのだ。


「たっ、大変だよ!? な、なんとかしないとっ!!!!」


 そ、そうだ!?

 急いで自分の部屋から出て、部屋の入口の前でお姉ちゃんを出迎える事にしよう!


「お、おかえりお姉ちゃん。今日は早かったねぇ」

「ん? 別にいつもと変わらないと思うけど?」

「そ、そう? のぞみ的にはもうちょっと遅くても良かったんだけどなぁ~」

「まったく。何分けのわからない事言ってるの。それより何で部屋の前に立ってるわけ?」

「え、え~~~っと。たまたま今はそういう気分なんだよ!!!!」


 その瞬間。

 急にお姉ちゃんの目が鋭く光り、得体のしれない恐怖がのぞみを包み込んだ。


「のぞみ。ちょっと部屋を開きなさい」

「えっと、その。今ちょっとだけ散らかってるから…………」

「ふ~ん。本当にちょっとだけ?」

「も、もちろん。本当の本当にちょっとだけだよ!」

「じゃあ別にいいじゃない。ちょっとだけならお姉ちゃん怒らないから」

「え、でも……」


 のぞみの静止を聞かずに、お姉ちゃんは扉を無理やり開き。


「…………あ」


 のぞみの部屋の惨状を見てから、ゆっくりとのぞみの方に振り向いた。


「ねえ、のぞみ。これがちょっとだけなの?」

「えっとぉ……。先週に比べたらちょっとだけだよっ!」

「この前片付けたばっかじゃないの!!」

「うわあああああああああああん。ごめんなさいいいいいい」


 その日の夜ご飯は、お姉ちゃんと一緒に部屋を片付けた後で食べる事になったのでした。




 ――――後日。

 一輪車に乗りながらゲームをしてるハードコアゲーマーの動画を見ていたら、突然お姉ちゃんに呼ばれた。


「のぞみ~。ちょっと来てくれる~?」

「は~い。今行くよ」


 のぞみは動画の再生を一時停止してから、超スピードでお姉ちゃんの元へとダーーーッシュ!

 

「さあ、のぞみん選手。お姉ちゃんの元まで何秒で行けるのかぁ!」

 

 途中にあるダンボールとかをを全て避けて無事とうちゃ~く。

 なんと、この時間わずか3秒!


「お姉ちゃん。のぞみに何か用なの?」

「お醤油が無くなっちゃったんだけど、悪いけどちょっと買い物に行ってきてくれない?」

「え~。ハードコアゲーマーの動画まだ途中なのにぃ~」

「余ったお金でお菓子買ってもいいわよ?」

「……うっ」

「のぞみが好きなジュースも新しい味が出たとか言ってなかった?」


 ポテチとモンエナの新作があれば、のぞみのお祭りセットが完成する。

 この誘惑には流石に勝てないっ!


「し、仕方ないなぁ。そこまで言うなら、のぞみが買ってきてあげるよ」

「それじゃあ、代金は送金しとくわね」


 もっかいダッシュで部屋に戻ったのぞみは、部屋着から急いでお出かけ用の服に着替え、そして――――。


「ごんすけ~。いる~?」

「にゃ~~~ん」


 のぞみの呼びかけに応えて、ごんすけが部屋へとやってきた。


「それじゃあ、のぞみは今から出かけるから頼むよ」

「にゃ~~ん」


 ごんすけはそのまま、のぞみの部屋の端っこにある猫ちぐらへと入っていって、前足で中にあるボタンを押すと、ごんすけの周囲にモニターがドド~ンと出現っ!


「って、そう言えばどこに置いたんだっけ?」


 のぞみは足元を見下ろすと、ちょっとだけ離れた所にあるヌイグルミの山がガサゴソと動き出して、そこからごんすけそっくりの子猫型ロボットが登場!


「にゃわん」


 ごんすけが鳴くと、同じ鳴き声が猫型ロボのスピーカー越しに聞こえてきた。


 それもそのはず。

 何故ならこれはごんすけが操縦しているからなのだっ!


 家猫のごんすけはあんまり外に出たがらない。

 けど、のぞみとごんすけは仲良しだからなるべく一緒にいたい。

 

 てな訳で、のぞみは猫用の遠隔操作デバイスを買ってもらったんだよ。

 これさえあれば家の中にいても外にいるのぞみと同じ景色を見れるし、お話をする事だって出来る。


 ついでに買い物した時の支払いやゲームのサポートもしてくれたりと、いたれりつくせりなのだっ!


 てな訳で、早速買い物にレッツゴー!!


「いってきま~す」

「気をつけて行ってくるのよ~」

「は~い」

 

 家から出ると、カチャリとドアにオートロックがかかった。

 のぞみの住んでるマンションはセキュリティレベルがすっごく高くて、全部の家のドアにオートロックが付いているんだ。

 

 ベランダには赤外線センサーが張り巡らされてて外からの侵入対策も完璧っ!!!!

 まあ家のカギを忘れたら大変な事になるんだけど、ごんすけのデバイスにはカギも備えてるから、のぞみにそんな心配はなああああああいっ! 

 

「ね~、ごんすけ~」


 のぞみは足元のごんすけに話しかけたけど、何故かその場所にはごんすけはいなかった。


「にゃ、にゃん」


 そして何かを隔てたような場所から困惑した猫の鳴き声が…………。


「ごんすけ~?」


 もっかい呼びかけると、カリカリとドアを引っかく音も聞こえてきた。


「って、中に忘れてきちゃったよ!?」

 

 ドアを開けて中にいるごんすけを連れ出そうと思ったんだけど――――。


「あ、あれ?」


 ロックのかかってるドアはガシガシと音を立てるだけで、開く気配は全く無い。

 これは凄くまずい状況なのでは?


「うわああああああんん。お姉ちゃん開けてええええええええええ!!!!」


 鳴きながらひたすらにドンドンとドアを叩いていると、呆れ顔のお姉ちゃんがドアを開き、ドアの下から猫型のデバイスがトコトコと歩いて出てきた。


「全く、何やってんのよ……」

「いやぁ。ちょっとうっかりしてたよ」


 では改めて、いざ! しゅっぱ~~~~つ!

 後ろを見ると、今回はちゃんとごんすけがついてきてる。

 ちなみにご飯とかで操縦席から移動した場合は、すぐに自動追尾モードに切り替わるから問題な~し!

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