リアルタイムアタックで世界を取るよっ!2

「おお~!? 凄く良い感じじゃん!?」


 序盤のレベリングは完璧。

 アイテム運もまずまず。

 タイムも早い。


 これは記録の予感しかしないっ!


「そうだ!? 皆にも教えてあげないと!」


 のぞみはデバイスを操作して、友達と通話を開始。

 しばらくして通話がつながるとバーチャルモニターが表示されて、そこには動きやすい服を着たツーサイドアップの女の子の姿が映ってた。


「のぞみ? どうかしたの?」

「忍ちゃんは大納言見てる?」

「……大納言?」

「ゲーム大納言だよっ!」

「あ~。のぞみの好きな番組だっけ?」

「今いい所だから忍ちゃんも一緒に応援して!」

「――ふぅ。仕方ないわね。通信はこのままでいいの?」

「うん。皆で実況しながら見ようよ」


 と言う訳で。

 次は桜ちゃんに連絡っと。


「のぞみさん。どうしましたか?」

  

 次はショートカットでワンピースを着た女の子が画面に登場。

 

「桜ちゃんは大納言見てる?」

「見てますよ。今回は記録が出るかもしれないので、期待大です!」

「じゃあ、桜ちゃんも一緒に実況しようよ」

「いいですけど。 も? って事は他に誰かいるんですか?」

「やっほー、桜」


 忍ちゃんのモニターが桜ちゃんのモニターの近くに移動して存在をアピール。


「あれ? 忍さんって大納言見てましたっけ?」

「ん? 見てないけど、何か今日はのぞみが凄く勧めてくるから見てもいっかなって」

「そうだったんですか。今回は歴史が動く放送になると思うので、一緒に楽しみましょう!」

「はいはい。楽しみにしとく」


 よーし。

 これで大納言には3倍の声援が届くはず!


 ――ん? 待てよ。

 もう1人呼べば応援パワーも4倍になるじゃん!?

 

「そうだ! どうせだからもう1人呼ぶね」

「おや? まだ誰か呼ぶんですか?」

「うん。和希ちゃんを呼ぶ事にするよ」

 

 てなわけで、和希ちゃんと通信せつぞーく!


「どうした? ってやけに賑やかだな?」


 最後に黒髪ロングの女の子が登場!

 という訳で、のぞみの先制挨拶だっ!


「だ~いなご~ん!」

「なんだ。もしかして大納言を見てるのか?」

「とう事は、和希さんも大納言見てたんですか?」

「こいつのスピードを求める姿勢は嫌いじゃないからな」

「――――あれ? て事は、これ見てないのあたしだけ?」

「ふっふっふ~。忍ちゃんも、まだまだだねぇ~」

「べっ。別にいいでしょ! それにゲーム番組ならスーパー丸尾クラブ見てるし!」

「ちなみに私はゲーム帝国派です!」

「――――それより大納言はいいのか?」

「そうだったよ! みんなで大納言を応援しないと!」

「どうやら中盤もいい感じみたいですね」


 大納言は中盤必須アイテムの敵の位置がマップに表示されるアイテムも手に入れて、更に安定度アップ!

 久しぶりの新記録が出そうな気配に、会場もすっごく盛り上がってる!


「いっけーーーー。だいなご~ん!」

 

 そしていよいよゲームは終盤戦。

 今いるフロアは98階で、後2回階段を降りたらゲームクリア。

 そして、ラストフロアへの階段が見えた瞬間、大納言がカッと目を見開きながら叫んだよ!

 

「おじゃあああああっ!!!!」

「うおおおおおおおっ!? 勝利の雄叫びキターーーー!!!!」


 大納言は勝利を確信した瞬間、たまに雄叫びを上げる事があるんだ。

 そして雄叫びを上げた時に新記録が出る確率は、40パーセント!

 なんと! オンライン対戦で一撃必殺が決まる確率より高いんだよ!!

 

 ――――そしてやって来た運命の99階。


「むむっ!?」


 99階に降りた瞬間、大納言が苦しそうな表情を浮かべた。


 それもそのはず。

 なんと大納言が降りた先は、大量のドラゴンが生息するドラゴンハウスだったんだから。


「……これは厳しいかもな」


 和希ちゃんが心配そうな顔をした。

 多分この番組のファンの全員が同じように思ってると思う。


「え? 最終フロアなんだから、ドラゴンなんて無視して階段に向かえばいいじゃん」

「忍さん。これはそういう訳にはいかないんです」

「ふぇ? どういう事?」

「ドラゴンの攻撃パターンは2つ。普通に攻撃するのと炎を吐くのがあって、炎は5回に1回くらいしか使わないんですけど―――――」

「あーーーーーーーっ!? きちゃったあああ!?」


 突然、画面外から大納言に向かって炎が飛んできて、大納言は大ダメージを受けちゃった。


「こんな感じでドラゴンは画面外からでもプレイヤーに向かって炎攻撃してくるんです」

「なにそれ! ずるいじゃない!」

「……あの。それは私じゃなくて製作者に言ってください」

「また来るぞ!」

「うわあああああああああん!」


 その後も大納言は回復しながら後少しの場所にあるゴールに向かって頑張って進んでたんだけど、回復に使っている時間が思ったより長くかかってるみたいで…………。


「おお~っと。どうした大納言!? ここで!? ここで終わってしまうのかぁ~!?」


 実況をやってるeスポーツソルジャーもかなり心配してるみたい。

 

「まだ行けるよっ! まだっ!!!!」


 こうなったら、のぞみに出来る事は諦めずに応援する事だけ。

 

「がんばれー」

「負けるなー」


 そして、なんとか99階の階段まで辿り着いた瞬間にタイマーストップ。

 

「ゲームクリアあああああああっ! さあ今回の結果がでるぞ~。今回のタイムは――――なんと52分! 大納言、またしても50分代の壁を超える事が出来なかったぁ~」

「そ、そんなぁ…………」 


 大納言はのぞみ達の声援が足りなかったのか、後一歩の所で新記録を逃しちゃったんだ……。


 それから大納言は何かを決意したみたいな表情をして、eスポーツソルジャーのインタビューに答え始めた。


「いやぁ~。新記録まで後一歩届きませんでしたが、実に熱い走りでしたね」

「記録が出なかったら惜しいも惜しくないも無いでおじゃる」

「しかし、新記録への道みたいなのが見えてきたんじゃないでしょうか? これは次回も期待して良いって事ですよね?」

「…………次回。次回でおじゃるか」


 大納言は少しだけ考えてから。


「では次回も今回と同じダンジョン99をプレイするでおじゃる!」

「おお~っと。まさかの二週連続宣言!? これはもしかして、またダンジョン99ブームが来てしまうのかぁ~!?」

「それと来週はマロから重大発表もあるから、良い子の皆は必ず見るでおじゃ!」

「なんと重大発表も~!? これは来週も目が離せなくなってきたぞぉ~」

「では、また来週おじゃ!」

「レーーーッツ、eスポーツ!!」


 大納言とソルジャーのいつもの挨拶と同時に番組も終了。

 

「惜しかったですね」

「けど。大納言がまたこのゲームをやる気になって良かったよ。のぞみはこのゲーム大好きだし、それになんか来週に重大発表発表もあるみたいじゃん!」

「けど、なんか辛辣そうな顔をしてなかったか?」

「お腹でも痛かったんじゃない? そういう時はモンエナでエナジーを補充したらすぐに治るから」

「いや、すぐには治らないでしょ……」


 それからしばらく雑談していると、桜ちゃんのモニターから桜ちゃんを呼ぶ声が聞こえてきた。


「すみません。お店のお手伝いに行かないと」

「だったら、そろそろ解散するか?」

「そうね。あたしもやりたい事があるし」

「そういや、のぞみもやりたい事があったよ」

「…………どうせゴロゴロするだけじゃないの?」

「ちっちっち~。違うんだなぁ~。超ゴロゴロするんだよ!」

「同じでしょうが!!」

「じゃあ切るぞ?」

「ばいば~い」

「ではまた」


 通信画面が同時に消えてグループ通話終了。

 さてと、今日は何をして遊ぼっかなぁ~。

 今日のお姉ちゃんは夕方まで帰ってこないし、まだまだ好きなだけ遊ぶことが出来るのだっ!!

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