1章

第4話 Lime

 花宮真人はなみやまひと。高校2年生。

 俺は昨日、宮園美綺みやぞのみきを好きになったとわかった。


 昨日寝るまでは悶々としていたもんだ。どうしたら両思いになれるか考えたり調べたりもした。そういう経緯もあり、今の俺のスマホの検索履歴には「高校生 女子 落とし方」とか「モテる男 特徴」、「話題 好きな子」……

 と、酷いことになっていた。


 某メンタリストの動画もあされるだけ漁った。気分はもう恋愛マスターだ。

 そして1つの目標が決まった。


(宮園とLimeを交換したい!

 なんとでも学校で入手するぞ!)


 俺の考えた作戦はこうだ!


 ********

 朝、学校にて


「なあ、宮園好きな曲とかあるか?」

「んー、クラシックとかかなぁ」

「なるほど。意外とそういうの聞くんだな」

「意外って何なの。失礼だなー」


 頬を膨らませて抗議する。

(普段は真面目なのにこうなると一層かわいいなぁ)


「ごめんごめんって。へー、でもクラシックかぁ」

「うんうん、花宮くんは何が好き?」

「んー、髪男ってグループ知ってる?」

「ごめん、流行りとか疎くてわかんないや」


 宮園はそう言ってはにかむ。

(やっぱりかわいいなぁ)


「今から知れば大丈夫だよ。中でもおすすめが『 白目』って曲かな」

「そーなんだ、家帰ったら聞いてみるね!

 何で聞ける?YouTube?Spotifyある?」

「俺のLimeミュージックだからそこからとんでみてよ」

「あーそーなんだ!じゃあLime交換しよ!」


 ********

 といったシナリオだ。完璧だな!

 自分の頭の良さに心底震える。

 ぶるぶる。

 あと妄想の中でも宮園が可愛くて仕方ない。好きになるって怖いね。

 ぶるぶる。


「まひにぃどうしたの?顔が凄いことになってるよ」

「なんだ妹よ。兄は今忙しいのだ。」

「ねえねえ。宮園さんって誰?」


 ぶっ!!ご飯粒が勢いよく机に飛び散った。


 今なんて言ったこいつ。なんで知ってるんだ!


「ど、どどうしてそそのなまえをを」

「さっきからブツブツ言ってたじゃん」

「気のせいだ」

「そう言えば昨日は好きな子の夢みれた?」

「いや見れなか………って!

 それ友達の話って言ったろ!」

「あ、そうだったねー」


 こいつ分かってやがる。確信犯かよ。

 中二に負ける高二であった。



「まひにぃ、とはどうしたの?」

「そいつとはもう終わったよ」


 俺はつい神妙な面持ちになってしまった。あいつのことになると沸点低くなるのどうにかしなきゃな。


「ふーん。なんかごめん」

「おうよ」


 とやらにはまたいつか話す時が来たら話す。


 そんなことより今日はLINEを交換するんだ!!少年は大志を抱き、学校に向かった。

 boys be ambitious!


 学校について隣を見るが……カバンがない。宮園はまだ来てないようだ。課題でも消化させるか。


「おいおい。お前課題やってねーのかよ」

「おお朔か。風邪治ったのか」

「あったりまえよぉ!」


 こいつは萩本朔はぎもとさく。超元気系陽キャだ。めちゃくちゃ仲良いって訳でもないが、朔とはたまに話す。明るい性格だからな。分け隔てなく話せるんだろう。

 先生の話によると朔は昨日風邪をひいてたらしい。ひかなそうなのにな。


「あら、朔。風邪治ったのね」


 俺と朔が話をしていると宮園が登校してきた。てか、朔呼びなのか。なんか腹立つな。まあ同じ中学校だったらしいし仕方ないか。そんなことよりLime交換するぞ!


「よお、みやぞ……」

「お!宮園か。昨日はねぎらいLimeサンキューな!」

「あ、いいのいいの。珍しい事だから心配しちゃってさー」


 ……え?

 ……いま……なんて……?

 朔……Lime持ってるの?……羨ましすぎない?


 俺があっけに取られている間に朝のHRが始まろうとしていた。

 ちきしょう!シナリオ通りにいかねぇ。




 ──────

 ついに本編始動!


 朔みたいなこういうキャラって恋愛中においてはほんとうざく感じちゃうよね

 好きな子が他の異性と話してるの見る度鬱になっちゃう


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愛は真心、恋は下心? ガチョウ @arumi04

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