第13話
休みながら白菊の関連の事を考える。取り敢えず調整で考え得る限りのシステムホールは潰したつもりだ。まあそれは良い。問題は白菊の事を誘拐なり何なりして来ようとした奴等をどう言う名目で捕まえよう?白菊が行方不明者扱いの状態のままでは此方からすれば魔法が不発しただけだと言う解釈にしないと白菊が行方不明で無い事が露呈する。……大きな動きが次回有ったら行方不明者扱いを取り下げるべきかね。そうでないと取るべき対応手段を取れない事がこれからも増えるだろ、どうせ。……だが、だ、そうした場合に子供らはどうしようか。少なくとも白菊も子供らに付きっ切りと言う訳には行かなくなる。行方不明じゃ無いのに元の仕事に戻らないのも不自然だしね。……だが、その間、敵が来られてもアレだ……うーん、アレだな。かくなる上は夢空間の時間の流れを変えるか?それで子供らを各自で自衛が出来る年齢まで上げるのだ。そうする事で、召喚されたのと同じ扱いにして俺らの子供だと言う事を隠すのだ。……そんな手段が有るなら何故今迄使わなかったかって?理由は単純だ。子供らだけをそうしたらネグレクトをした事に成るからだ。じゃあ一緒に親役もやればいい?時間加速を行う間元の世界はそのままなのだから、時間加速を行う分だけ、他の奴と会えない。その上、外の時間とのずれが生じて不具合が起きた場合を考えるとそれを外部から止めに入る要員も必要なので、全員入る訳にも行かない。つまり中に入った奴側の視点からからすれば他の奴とはそれこそ十数年単位でのお別れに成る。やらなくても問題無いのなら出来れば取りたくはなかった手段だが、そうは言っては居られない、か。とりあえず皆を呼び集めて調整をして居る所で俺の力がいきなりある程度失われた。
「……まさか創造主の立場のリコールが全体に通りでもしたのか?何も弁解すら無しに?」
そこにヴィシュヌ様が来て情報を提示する。
「水霧、これはリコールではない。言うなら今回の事は創造主としての力はあくまでも借り物の力だが、全員を強化する為にそれを使わなかった為の事だ」
「つまり、全体的な強化をしないまま力を全員から貰って居ただけの結果、力を貸して居る側は強化されていなかったから、そちらを狙われ、力の貸し出し先を替えられた、と?」
「そう言う事だ……別にこの件は俺が対処しても良いが、これは明らかに水霧の不始末だ」
「……俺では如何にも成らなく成ったらその時はお願いします」
「了解した。此処で最初から此方に頼るようでは立場の取り下げも真面目に有り得るので努力するように」
「……対処に当たります。急ぎますので、それでは」
さて、力量はともかくとして、相手は此方の補助を奪った的な意味でエネルギー周りでは上、但し、強化された後の力は初見スペックなはずだから力相応の技量が足りない、はずだ。だがそれは初期だけの話。だから即仕掛けないと不味い。
「水霧、こんなのどうする気?」
「一応、俺の力としてはエネルギー供給関連周り以外ならそのままだ。それに世界も陣取りゲーム的な意味でまだ舞台的にも“まだ”優位だし、相手の習熟度的な意味でも長期戦は不味い。なので、ぶち込み掛けて来る」
「解ったわ。私達は退避して置くわね」
そして震源地にぶち込みを掛けると、ある地点から強力な妨害電波が辺りに巻き散らからされていた。……なんかその爆心地に近付けば近付く程発狂して居る奴を多く見る様に成る……多分この電波はSAN値削り効果でも有るのか?電波で神経に干渉でもしてさ。ゲームで言うならMP量以外の力量的には負けてないだろうから俺はやられ自体はしないが。まあ、それは良い。相手が力に習熟する前にその根源を世界側の調整する事で潰す。あくまでも現在進行形での借り物の力なのだ。なら其処を突けば良い。其処でおぞましいイメージの中に飲み込まれる。恐らく受けた者を発狂させる映像を相手に叩き付けるテレパス。グロ画像とかそんなレベルじゃ無い。相手のSAN値を削り、自壊させようと言う訳だ。俺は能力で体機能を拡張する。それにより精神的な余裕を物理的に無理矢理追加する。これだけでは後は水掛け論。でもエネルギー周りの補助が相手側にだけ有る的な意味でこのままでは競り負ける。回復薬を飲みまくりながら相手のダメージを受け続ける様な物だ。だがそれでも無理矢理爆心地へと近付く……と、眠りこけた人が居た。……は?原因の奴が只寝ているだけ?いやいや待て、待て、そんな訳は無い。なので、再びそいつを見直す。うん、寝ている奴を中継の媒体にして世界外から干渉して居るだけだ、これは。……この寝ている奴はドリームランドからなんかヤバイ奴とでも繋がってしまったか?一先ず、起こせばドリームランドとの接続も切れるはずだし起こすとしよう。まあ、膨大な威力と規模のSAN値削りのテレパスの爆心地だから手早く起こす……と、SAN値削りのテレパスは途切れた。それだけかって?いや要するにSAN値削りのテレパスで正気度を削り力の委託先を換えさせた結果がこれだ。その原因の物を潰せば当然今回の話は終わる。まあ、遠隔攻撃の媒体を潰しただけで本体側は倒せて無いが……SAN値削りの効果が有るテレパスを広域に万遍無く叩き付け、発狂させ、相手側を自壊させる。碌な物じゃ無いな、本当に。ヴィシュヌ様に話でも聞きに行くかね……。
「水霧、取り敢えず撃退おめでとう」
「いや別に干渉媒体を潰しただけでしかなくて、本体側を倒せては居ませんよ」
「と、思うだろうが、恐らく今回のやらかした奴はクトゥルフだ」
「……クトゥルフ神話の、ですか?」
「ああ、クトゥルフの野郎が夢の中で好き勝手やった際に起きる脳波が他の奴と繋がって放出されてやばかっただけ、だな」
「……なんだよ、それ、その程度の事に命張った事が馬鹿みたいじゃ無いか」
「クトゥルフは別に人間に友好的な神格でも無いし、夢の中でそう言う事をしてもおかしくはないだろう。その際に放たれる脳波その物が大量でSAN値チェック検案なだけで」
「苦労して対処した事の元凶側は実情としては只寝ていただけとか……なんかね……何で殺されてないのですかそんな奴が……」
「それなら既に封印はされている。クトゥルフ神話の顔役の神格とは言え、別にクトゥルフ神話と言う区分の中での最強神格じゃ無いし、何なら今回の話はドリームランドが偶然この世界の奴と繋がり、脳波が現実に垂れ流されましたと言うだけだ」
「……ヴィシュヌ様、スケールが違い過ぎるのですが……」
「自分側は生きるか死ぬかの話をして居るのにも関わらず、それの相手は只単に寝ているだけだからな。その気持ちは解るともさ」
「俺は強い力を得た……はず、ですよね?何なのですかね、このスケール違いは」
「水霧、それに付いては創ると言う事以外の方面に振り切れて居る奴が居ると言うだけだ」
「……創るより壊す方が簡単だとは言いますが……」
「確かに後出しじゃんけん的には特定の一つに勝てれば最低限の目的は完遂されるからね」
「……勝つべき相手の範囲が相手より狭くて良いなら不毛にも程が有るのですが」
「そうだな。どんな応手をされようが勝てる内容で無いと後出しじゃんけん的には簡単に負ける。後出しじゃんけんを片方だけがやるなら、ね」
「……個人が決めるIF世界なんて物ではそう言う応手の応手なんて的確に把握や考慮なんてされませんよ」
「最適解を互いに常に出し合う前提でも勝てれば、良いのでは無いか?」
「実際に戦うならそれでも良いとは思います。……IF世界と言う奴はそれが個人の一方的な裁量の元にやるのも可能なので」
「妄想の中でなら完全無欠の真の全知全能にだってクソ雑魚ナメクジの雑魚でも勝てるのだし、明確な根拠が無い物は無視で良い」
「……それはもう良いです。対策を考えましょう」
「とは言え今回の話は事故みたいな物だが」
「その事故が起きて貰っては困る事が有りますので」
十数年単位で夢空間の中に過ごすとかその間に一度も事故に会わない保証が無いし。
「とは言え、既に封印自体はされた上で現状だからな?何ならドクトゥルフ自身のドリームランドとの接続を切るくらいしないと根本的には無理な話だが、水霧にそれが出来る?」
「……只の垂れ流される脳波相手にこの様な以上、無理だとは思いますがヴィシュヌ様とか他のクトゥルフ神話の方々なら」
「それはやめとけ。人間相手に友好な神格以外の奴等もわざわざ呼び寄せる事に成る」
「では俺らがドリームランドとの接続を切ると言うのは有りですか?」
「良いとは思うが、ドリームランド検案がやりにくく成るだろう」
「いえ、その代わりの物は有りますので」
「……そう言う事なら好きにやれ。まあ、クトゥルフ神話系統には関わらないで済むなら関わらないままの方が良いのは間違いないからな」
そして調整を行う事にした。
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