第10話

 そして他の皆にも調整を行う。コンチェイの能力の理屈は身体と生命の分離により、身体の損壊具合が生死に関わらなくする。と言うのがまず話の前提として有り、そもそも、身体の全損自体がその神話が書かれた際の全ての手段で有り得ない身体が有るか、全損しても大丈夫な手段の何方かは必要に成る。手段が無いが生きられると言うなら、そもそもはた目からは只の頑丈なだけのおっさんで有るのだし、此処では後者な様だ。そして、身体の全損時を想定すると身体をまた用意出来る力が必要。……と言うか、そうじゃないと一度身体を全損したらそのまま終わりで能力の意味が無い。もしそれでもそうならはた目からすれば只の頑丈なだけのおっさんだし。だから身体を再構成する力が有る。次に身体の再構築時にそもそも遠隔の場所に復活すればそもそも逃げるのは探知系が無ければ余裕で出来たはず。と言う事に付いては、恐らく再構築する上で余り遠い場所に再構築するのが難しいのだろう。仮にレイプ目的で粉塵状態のまま無制限に動けたらそもそも粉状態で相手に干渉した方が早いだろうし。微塵状態では遠く迄移動出来ない理由。それとも又は本当は再構築で長距離移動が出来たのに敢えてしなかった理由。何方かは有りそうだが。……例えば意図的に俺に殺させた……のは有りそうだ。やり過ぎると恐怖政治だしな。……そう意味ではやらかしでは有る。……うーん。力を集めた大義名分は世界の管理と守護。管理には問題の対処も当然含まれる。だから行動その物自体は問題無い。問題無い、が……一言で言えば対応時の総合的な意味での細かい匙加減が解らん。あーもう。だから俺には経験が足りん。完全な傍観者ルートは大義名分的に不可として、必要最低限の事以外への対応についてが、ね。恐怖政治はアウトだが、それの方向にこちらをさせて、それを元に批判を行い転覆させよう。……と言う奴は居るかもしれないので、一先ず、環境を精査する。……と、なんか見覚えのない強い奴が生まれて居たのでそちらにちょっかいを出して見る事にする。如何やら鏡の妖怪な様だが……。

「調子はどうだい?そこの鏡の人」

「……水霧様ですか。何か御用でしょうか?」

「いや、なんかやけに力を付けているなって思って声かけてみただけだ」

「……ああ、つまり、こちらの状態の確認ついでの雑談しに来ただけですか。そう言う事なら私共は鍛錬をして居るだけですよ」

「……と言う割には他に比べて随分力を付けた様だが」

「創作に於ける鏡の能力と言う物は色々と有りますが、その内、ある妖怪漫画家の漫画に着想を得ましてね」

「ああ、鏡は映る者の真実の姿を映し出すとか、鏡に映らない存在が居ればそれは化物だと解るとかが有るな。力を付けるのとは違う気がするが」

「……隠しても無駄ですから言いますが、私は雲外鏡をモチーフにしています。端的に言えば鏡に映る鏡像に力を与えて、それを従える能力、です」

「いや、それはおかしい。鏡像は鏡像だ。鏡からそれが出られる訳じゃ有るまい?」

「例えば空間上へと能力を展開する系等の能力なら私共は恩恵を受ける事が出来ます」

「……ふむ。鏡の中の空間、つまり、空間=鏡扱いで、空間上に能力を展開する系の能力とかの恩恵を受けられるって訳か、それで自己バフ特盛にした結果と言う奴か」

「……それで、ですね」

「……あー、つまり、条件満たしたから俺の鏡像がそちらの中に有る、と」

「……何と言うか、創造主としての力を除いて基礎と成る能力がどう見ても要約文だけだと雑魚に見えるのですがマジなのですか?」

「ぶっちゃければ、今回初で解ったと言うなら、多分その評価も妥当だと思うよ」

「どういうことでしょうか?」

「さてな……」

そもそもアーバーンは最大範囲の水の化身で有る。今迄水を映した事が皆無なはずは無いから、今回解ったのが初なのなら恐らく映した部分だけの鏡像を前提に言われている。そうだな。つまりはこの状態は言い換えれば全身の能力では無く腕一つだけを映していて腕一つが全部の能力だと思われて居る図だ。……つまり鏡像を造るための鏡で映せるサイズを超えるサイズの物は映し切れておらず、劣化コピーしか作れないと言う事だろう。小型化こそ正義の方針の奴なら問題なく鏡像を創れそうでは有るが、まあ、そうしたとしても実用出来るのは一部の能力だけだろうし、そうだとしても別に能力としては悪くは無いだろうが。

「鏡で鏡像を従えるとか言うと鏡像を空間上に出して戦わせる奴を見たことが有りますが、完全な鏡合わせの個体を出すのは相手がその鏡合わせの個体を殺そうとしない限り相手自身には無害ですし、鏡像に代わりのAIを与えるのも、そのAIは初見スペックを本人より上手く扱えないと公平な条件では勝てない。相手が縛りプレイして居る場合は別として」

「だからもう最初から割り切って鏡像を自己バフの特盛をする為の道具にする為に使う、か。要は公平な条件で戦う事に拘らなければ鏡像に自前のAI与える奴も十分実用範囲だとは思うけどね」

「それだと結局は鏡像を除いた奴がまともにその相手との戦いに参戦出来る程度じゃ無いと……」

「……ああ、だから自己バフ特盛を選択する訳か。まあ、これは勝ち筋を何処に求めるか、だからそれはまあ自由に選択すれば良いけど……所で創造主としての力をコピーしたとか言わなかったか?」

「……もし仮に出来て居たとしても、前提と成る能力的に限定的にしか使えませんが」

「少し直接確かめさせて貰うぞ?……ふむ、確かにただ単に鏡像を出すと言う能力が強化されただけだな。特許的な専売特許かと言われるとアレだ。まあ、それを有りにしたらそう言う物が無い物は何でもかんでも盗って良いですよ、な、理論だが、他人のアイデアを下地にして居るし此処では著作権侵害と言うべきか?」

「いや、それとこれとは話が違いますが」

「仮に独占権が無くても他人が創った物では有る」

「……例の妖怪漫画家の物はあくまでも着想元です。彼方は葉月の十五夜に月明かりの元で水晶の盆に水を張りその水で鏡面に妖怪の姿を書くと鏡の中にそれが棲みつくと言う伝説ですし」

「まあ、産業財産権だろうが著作権だろうが要はそれと明確に違うと言えるオリジナリティが有れば良いのだろうね。打ち消し系能力とか散々量産化されているし。まあ、その理屈が通るなら方式が明確に違う類似能力へはそれらは働かないって事に成る。ま、それが正しくともパクリとは思われるだろうけど」

「……この場合はあくまでも着想元でしか無いのですがね」

「それに至る手法が違うけど、鏡の中に化物が住むという点では同じだな」

「……パーツが一部一緒なら後は全部パクリなら今の話が崩れますが」

「独自性こそが著作権の前提なのに意図的に他と被らせちゃお終いだってだけ」

「……」

「問題無い様なので帰らせて貰うわ。そんじゃあな……」

 そして見回りに戻る事にした。そう言えばついでにこれも言って置くか。具体性なしにこのジャンルの能力全て俺は先に考えた……とか言い出すのが有りなら、全ての能力持ちのキャラを出せば他の奴がどんな能力を出そうがそれは既に俺は考えていたし……とか言うのも有りに成るので、具体的な内容が無いと先に考えていたしとか言ってもアレだぞ、とは先に断って置く。


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