第9話

 シュライクが念のための休暇と治療を申請して数日が経った。今日も今日とて研究を進めて居たのだが、放送がジャックされたかマスコミがジャックされた体で流しているのか、白菊(の偽者)を俺が殺している映像が公共の電波で流された。……不味い、不味い、不味い。それの結果、反証と成る理屈の一部を提示が前提条件上不可能な追及をされるのは目に見えていた。……此方も見解を出さねば成るまい……。そして会議を行い映像の録画をして、此方も映像を流す。


 第一にこの映像で映って居る人物は偽者で有る事。

第二に本物か偽物かの判断基準の開示は同様の手段をまた取られた際の判断基準が減る為に開示出来ない事。それでも敢えて言うならば、白菊本人が行方不明者扱いなのは彼女が自分の意志で別の場所に行った為であり、その意志を尊重した結果な為、彼女が自分の意志で戻って来るのは考えられない事。

第三にその意思を尊重して彼女の追跡をそもそも行って居ない為、行方不明と言う事にして居る事。

第四に今後も似たようなケースが起きると予想されるが、した者は場合によっては逮捕処置以上の事も辞さない事。


……白菊が自分の意志で都合上別の場所(能力に依る夢空間)に行ったのは事実だし、それは彼女から提案した事で俺が強制した訳では無い。彼女の意志を尊重した結果(直ぐに会えるから)追跡を行う必要も無い状態なのも確か。ついでに騙る奴への牽制もして置いて……と。まあ、何の理由も無く只の行方不明だと俺らがいつまでたっても見つけられてない事にされてしまうだろうし。一先ず、こんな物か。

憶測として白菊を俺が追放した結果なので戻って来ても殺すぞと表明しただとか、白菊を俺が殺した後それを隠蔽する為に行方不明者扱いの為、出て来たら偽者だと即座に解る為殺しただとか憶測をそれでも言われはしたが、……無根拠に身内殺し扱いとか流石に侮辱罪とかも普通に通るレベルの話だろうし、そう言う奴等は牢獄にぶち込んでおきました。まあ、本当は無根拠に人殺し扱いされたとか言いたい所だが偽者を殺しはしたのでね……。……だがなんか隠している事は疑われた様で、陰謀論を主張する奴はある程度増えたな。……。只々力で抑え付けるのは方向性としては暴君と言うか恐怖政治。……批判する奴は批判する奴の勝手だが、代わりを用意する場合、それこそかなりの数の賛同が必要で、もしそれが出来たとしても、ダブルスタンダードに成りたくないなら批判は全てブーメラン検案に成りかねない。政権打倒を掲げた奴が政権を得た上で即座に政権打倒される前提で批判しているのでも無ければ、何でもかんでも極端なレベルの批判をするのはそれを得た後の自分の首を絞めて居るのと同じだ。例えば不死はつまらない。終わりが有るからこそ命とは素晴らしい……とは言うが、無限の不死で例えば何百億年や何兆年時間が有ってやりたい事をやり尽しても飽きもせずやりたい事が微塵も尽きないと噓偽りなく言えるなら無限の命も上等だろうね。

ん?なんか小汚い骨ばったおっさんが他人を襲って居るな。うーん幾らイキっても雑魚に見えるが、なんか何やろうが止まらんな、あの骨ばったおっさん、って追われている女性が反撃の魔法を放つが、おい、それはやり過……ぎ……は?何事も無かった様に身体が元通りに成り、その女性へと覆いかぶさろうとしたので、攻撃を挟む。

「なんじゃ……水霧浄土か、此処は帰らせて貰おう」

「……レイプ未遂野郎を見逃せと?」

「他人を能力で従えている奴には言われたく無いのう」

「……何の話だ?」

「奴隷を一人造りおったろう?」

「色々な能力の実験のどれかがそう言う解釈されているのかもしれんが、被検体に自由意思は有るぞ。何なら相応の報酬も払って有る。相応の報酬を払っても駄目なら薬物の人体実験なんて碌に出来ないが。後、風俗も全部アレだろう。その理屈を通すなら風俗は全部閉鎖だ、閉鎖」

「……帰らせて貰ってもいいかの?」

「駄目だ」

「ならしょうがないのう」

 そのおっさんは特に何も無く只突進して来た。攻撃を当てても構わず延々と此方へと向かって来る。……くそ、戦闘技量が無いとは言え不死能力持ちかよ……。水で拘束を行うと身体は崩れ落ち別の場所からまた身体が顕れて来る。

「キモイよ、ゴキブリか、貴様ぁっ」

「創造主と言うにしても、大した事無いのう。さらばじゃ」

「おい待て……あ、そう言う事か」

 そいつが逃げようとした所で隠れそうに成ったので周りを探知すると遥か遠く迄エネルギーの糸の様な物が伝わって居る。要するに幾らでも再構築の出来るゲームのプレイアブルキャラの身体を攻撃して居ただけなので、それを操る本体側に対して攻撃が全然当たって無かったのだ。そうと分かれば話は速い。その糸を伝い本体側にダメージを与える様に世界を調整する。相手の世界ではこれで倒せるか内容かどうかは知らんが、これで倒せるという風に世界を調整した為、相手は倒れた。まあ、世界を操るって話の前提から変えられるし。例え幾ら相手が他の世界で無双して居ようが、世界を操る創るレベルの事が出来ないとこの世界では普通に倒せる存在に成り果てる。……まあ、他の世界だと真逆の事も起きるのだろうな。パラレルワールドの事なんて知らんけど。

あーそう言えばやり過ぎたなこれは。でも世界を創るや操る奴を相手に使われようが俺の世界の中でなら俺が勝つ。地の利的な意味でね。だから、相手の世界で同じ条件なら相手が勝つ。それもまた地の利的な意味で。だから他人が創るパラレルワールドなんて気にしていたらアレだろう。要するにその地の利が無い状態なのだし。まあ、同じ能力を同じだけ持つ場合の話では有るが、そもそもそれが無いのなら幾ら大規模な厄災を起こせようが火力が有ろうが児戯に等しい。相手が有利な条件だから負けるとか勝つとかの話は前提部分を決める側が相手側か自分側かと言う意味で、だ。……何せ相手が特定の物で死ぬと言う事を決められるしさ……。だから、幾ら盛られようが盛ろうがそういう意味では殺せるし、殺される。つまり、守る事は簡単で攻める事は難しい、だ。まあ、他人が決めたルールで忖度されると思うなよってだけ。そこで助けた女性が話しかけて来る。

「水霧様……。助けて貰い、ありがとうございました。ですが、検証実験とはどういう意味ですか?奴隷とか聞こえましたが」

「只の検証実験。それ以上も以下も無いよ。被験者には報酬も相応に渡しているし」

「……そうですか……ですが殺す迄はしなくても……」

「何?レイプ未遂して来た相手を庇うのか?」

「……いえ、ありがとうございました。それでは私はこれで」

「気を付けて帰りなよー」

 と、さて、物理拘束が意味無かったから拘束を諦めて殺したが、よく考えれば拘束した事にしてしまえば良かったのだよな。何を対案で出されようが捕まったと言う事に成る様に世界を調整して蘇生でもするかね。そして骨ばったおっさんを蘇生する。

「……何の用じゃ、創造主」

「何、聞きたい事が有るだけだよ。創造主としては只の素人に毛が生えた様な経験しか積んで無いのでさ」

 そしておっさんの尋問を行った。幾つかの話を聞くと、如何やらおっさんはコシチェイと言う悪魔だった様だ。……それであの能力か……本当アレだな……。まあ、理由はどうあれ、レイプ未遂犯だ。……だが、こいつ牢獄に繋いでも普通に脱獄出来そうだな。後顧の憂いを断つために殺して置くか。それはもう世界を調整して本格的に再出現も無理なレベルでね。さて得た情報でなんかやっておきますかね……。



 情報を引き出した上で殺して置き、考える。凌辱やレイプ目的にガン振り能力とか悪魔が普通に持つパターンが有るのはちょっとなぁ……。まあ、したらお終りみたいな所が有るとは言え、そうされてもその事実を世界の調整をする力で根底から切除してしまえば解決自体は出来るのだが……まあ、アレだ、それに手を出すと、彼女らは最早只の愛玩奴隷人形に成り果てる。他に面倒な事をされないための最低限の物は一通りするが、その上で彼女らの自由意思は確保する。……まあ、アレだ。要するに様々な能力で他人に靡く余地を微塵たりとも残さない様に束縛するって事だ。他人のパラレルワールドだとあんまり意味は無いが、俺の世界でくらいは、ね。……人の物を勝手に奪う様な奴が居なければこんな事はしなくても良いけど、少なくとも奪う意思が有る奴に文句を言われる筋合いは微塵たりとも無い。そういう風に彼女らの設定を世界側の調整する事で間接的に改編する。能力が世界の力で付与された事にするのだ。彼女らが異世界に飛ばされたらどうするのかって?そんな事は起きないし、起きても強制的に帰還で出来る様にする。パラレルワールドではどうなるかは知らんけど。……彼女らが世界外に出たい場合はどうするか?それはまた調整すれば良いだけだ。ドーピングは嫌なのじゃ無かったのかって?それなら今の創造主としての力を借りている状況自体がアウトでしょうが。まあ、仮に力を没収されても困るのはエネルギー保有量周りだけなのだがね。一先ず、アーバーンに交渉してみる。

「……水霧、やけにヤバイ内容に手を出すわね?何かヤバイ物でも知ったのかしら?」

「一言で言えばレイプ目的の能力持ちの悪魔を見たから、対策を万全にしたいと思った」

「まあ、それは良いわよ。只、それをやるのは貴方独自の物でやってそうじゃないとなんか違う気がする」

「……執刀道具が他人作で問題有るのか?」

「他人に触らせたくないものを触られるなら貴方にだけが良いわ」

「……まあ、パラレルワールド的には踏みにじられる所だろうが、少なくともこの世界ではそうならない様に努力するよ」

「有名な人が他人の裁量で全部決まる所の話にわざわざ目くじら立てている考え方だとやばくないかしら?いや、でもズリネタにされる事で怒るより嬉しがる人は別かしらね?」

「アーバーンは能力的な意味で気にしていたらヤバイタイプなのは解るがね……最大範囲の化身系故に全部の水が身体なのだし」

「貴方は解って居るだろうけど、念の為に言って置くと、全部が身体だからって水にされた事の全部が私に意味の有る事だとは思ってないから」

「……まあ、そうじゃないと精神衛生的ヤバイ内容だしな。理屈上はヴィシュヌ様の方がもっとヤバイ内容なはずだけど、前提と成るサイズがでかすぎて汚物をぶつけられても極小の埃に触れたくらいにしか思ってなさそう感が有るね。まあ、良いじゃあやろうか」

「良いわよ、来て……」

 そしてまずはアーバーンの仕様を色々と根底から色々と調整した。



 さて白菊とかの他の奴にもやっておこう。……と思ったが一先ず、情報をアーバーンと共有する。……と、

「今回の話は何か狂言臭くないかしら。」

「……言うとしてもかなりの威力の魔法を放って居たが」

「それで死なないと解って居る前提でなら余裕でやれると思うわよ?それに彼女の件も漏れていたのでしょう?まあ、白菊の偽者を殺す映像を用意されていた以上、彼女の件もその付近の話だからその際についでにばれていたのだと思うけど」

「……つまり、俺らの単なるやらかしか」

「とは言え、事が起きる前提で事前に用意されていて、例えば映像を撮る方法が自動的で超遠隔な物だった場合視線がそもそも無いから気付けと言われても微妙よね。後、彼女から場所をある程度指定したのでしょう?」

「いや、それは無理が有る。それが作為だとするには例えば俺が彼女を普通に殺していたらご破算なプランだし、そもそも例の力を彼女に使えと彼女にせかされた訳でも無い」

「なら彼女に対しての対応で何か失言出させて云々狙いでそもそもそこまでの事は狙って無かった、とかかしら?」

「……なんかな、それが作為だと言うなら直前に殺された例があるにも関わらず殺されに来た事に成らないか?」

「コシチェイの例が有るし、復活する算段が有ったら別に有り得なくは無いわよ」

「……なんかな、無駄に手札を晒した感じがする」

「そもそも耐性を付ける目的に使うのが主目的なのだからばれても問題ないでしょう?」

「それはそうだが、なんかな。仮に日葉の作為なら彼女を普通に殺していたらどういうつもりだったのだろうかとは思うね。その場合只単に俺は外敵殺しをしただけに成るし、批判材料としては弱すぎる。それを批判するなら外敵を排除する事を批判する事に成るし」

「彼女を送り込んで来た奴の作為は有るかも知れないにしても、策がガバガバ過ぎるわね」

「一先ず、様子見はするが、彼女が間違いなく黒と言うにはちょっと状況が無理筋過ぎる。さて、他の奴にもして行こうか」

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