第2話 その後
羽村は、話に夢中で、他人が目に入っていない。すぐ横を紅谷が通ったことも気付いていない。紅谷は小走りで逃げるようにして通り過ぎる。そのまま、紅谷はバイトに向かう。急いだ甲斐もあり、まだ時間には余裕がある。先に銀行に行き、大金を下ろしてから、バイト先の宝くじ売り場に入る。控室で奪った羽村の財布から、一万円と八百三十円を取り出し、ポケットに突っ込み、一緒に入っていた誓約書はビリビリに引き裂く。そして、シフトに入り先輩の女性に、これまで多くの人を騙してきた笑顔で挨拶する。受け付けの仕事は、その女性に任せ、その後ろで宝くじを整理する。
今日も紅谷は次のカモとなる当選者を待つ。
一等当選故に 波柴まに @ginbeikanbei
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