第264話 航海日誌 2
航海日誌
2/25 快晴 練習は続く。今日も練習しまくったのだが。夜これを書いている時にみつ子がやってきて話をしていたら全部飛んだ。
みつ子の転生時のギフトの話とか、今まで聞いてこなかった話を知った。そして、突然龍珠に声を掛けられてビビる。
でも、なんとなく数千年を生きるような生物だからなのだろうか、時間の感覚が俺たちとは違うようにも思う。一年くらい前から話せるようになったみたいなのだが、ずっとダンマリだったようだ。いけずう。
2/26 快晴 晴れが続くのは良いが、炎天下の中の訓練を考えると少し位雲が有ったほうが助かる。モーザはだいぶいい感じになってきている。と言っても俺の覚えたのは剣技なのでこれを槍に応用していくのが大変そうだ。だが見ているとゾディアックがわりと上手く解説してくる。むしろ俺より分かってる感じでちょっと気になる。
負けない。
2/27 晴れ 若干雲はあるが、晴れだな。メイセスと船長が分度器片手になにやら難しそうに話をしていた。海流に少し流されているようだ。この星は、地軸がずれていないようで、季節関係なく太陽の傾きが変わらない。それを利用して現在位置を見ているようなのだが。なんのこっちゃだ。
2/28 快晴 あまりにも暑いので、ジャムを水で溶き、フルリエに冷たくしてもらう。王城で出てきたジュースを真似てみたのだがなかなか良さそうだ。この贅沢は皆にもおすそ分けしようと、厨房で何か容器をさがす。給食のスープとか入れて運ぶような缶があったので借りて来た。大量に作って乗組員たちに配って歩いた。
船長に、晴れの日は毎日作ってくれと言われて、ちょっとやっちまった感が。ミドーにやらせよう。
3/1 快晴 もう3月かよ。早いものだ。今日も熱いのでジャムで作ったジュースを作る。果実の汁などを別個に後から積んだので、ジャムはわりと余りがちなんだ。ミドーにやらせたが、ジャムの溶かし方が適当で下に溜っていた。やはり俺じゃないと駄目か。
最近ミドーは剣聖の剣技はもう習得を諦めている感がある。まあタンクだからそこまで攻撃覚えなくても良いが、代わりに剣聖の剣技でも受けれるようにサンドバッグになってもらおう。
3/2 曇りのち雨 久しぶりに雲行きが怪しい感じがする。風がちょっと強い。嵐が来るかもしれないと帆をすこし畳むらしい。代わりに俺たちで魔道具動かそうかと船長に聞いてみる。お願いしてみようということで、俺とみつ子でやってみる。伝声管から細かく調整を言われながらやる。波が本気になったらやめたほうが良いかもしれないが、今くらいなら良いかもしれないとしばらく続けてみる。夜まで稼働させ続けていたら船長は呆れ半分だ。だいぶ進んだらしい。
夜になって更に波が激しくなってくる。
3/3 嵐からの雨。嵐のような激しい風雨は昨日の夜から朝起きても続いていた。お昼過ぎになるとようやく落ち着き始める。甲板に打ち上げられたような魚がピチピチしていた。それをゾディアックが「魚いるんじゃねえか」と悔しそうに眺めていた。
メイセスは大陸に向けてくる時に嵐で難破したということでだいぶ緊張していたようだ。昨日の夜も眠れなかったのだろうか、昼過ぎに少し落ち着いてくるとフラフラと自分のベッドに入っていった。
3/4 曇りでいいか。曇天模様というやつでまた嵐に突入してもおかしくない感じだが、船長は多分大丈夫だと言っている。結局メイセスは今日の朝まで寝続けたようだ。塩水で少しベタつく甲板を掃除する。ジンがフル稼働で水を出してくれる。デッキブラシでゴシゴシやっていると。昔見たアメリカ映画で偏屈な爺さんが車のワックスがけで少年に空手を教えるようなのが有ったのを思い出す。ワックスがけの次に床磨きをしていたな。あれをなにかのトレーニングに応用できないだろうか。
3/6 晴れ やばい。昨日書くのを忘れていた。例のデッキブラシで訓練は見事に失敗した。なんか上手く行かず、結局ストンプのようなダンスを楽しんで終了だ。だが、退屈な船旅の良い暇つぶしになったかもしれない。またやってみようと思う。
3/7 晴れ 日焼けでもしてみようと、上半身裸で寝転がっていたら背中がどうも焼きすぎたようだ。なんとなくかゆい。みつ子に治してもらう。
3/9 曇り 昨日も日誌を書くのを忘れた。昨日の分を書こうとも思ったがやはりプライドが許さない。でも、日記はこうやって飽きていくのかもしれない。
むかしブログと言うのをやっていたが終わりはこんな感じだったな。
3/12 晴れ ゾディアックがとうとうやりやがった。この航海で初めて魚を釣り上げた。メイセスが、この魚が取れるというのはだいぶ島に近づいているんじゃないかと言う。ようやく船旅の終了を感じる。
3/13 曇り 確か出港したのは2/16だったよな。あと3日で一ヶ月か。ゾディアックの釣った魚をコックが焼いてくれた。そんな大きくないから少しづつだが、保存用の食材と違ってちょっとうれしい。
3/15 曇りと小雨と デカイ海竜のようなものが遠くに居たと、乗組員が騒いでいた。意味あるか解らないが、次元鞄に入っていた神樹の枝をゾディアックが使っていた釣り糸に結びつけて水の中に沈めてみる。それが効いたか解らないが、それから夜になっても何かが近づいてきたりはなかった。
3/16 曇り 今日で一ヶ月。みつ子がちゃんと書いているんだ、すごいね。って言ってくる。最近 サボったりしてるので すこし こころ いたい。
3/18 晴れ もう少しだと聞いたが、なかなかつかない。周りを見渡しても海 うみ うみ
山脈が、こんな愛おしくなるとは。
3/20 晴れ 2日ぶりの日誌。でも夕方くらいに遠くに島が見えたらしい。飯食ってる時に甲板がさわがしい。
うまく いけば あしたには つくのか
かゆ
うま
◇◇◇
今日は日が沈むちょっと前に島が見えたようだ。ちょうど食堂で飯を食べていて後から聞いたのだが、さっき「適視」を使って見てみたら、なんとなく雰囲気はわかった。
明日起きた時にデーンと島が見えてきて感動するかもしれない。
そんな事を思いながら、そろそろ書き納め感のある日誌の締めの作業をすすめる。
「なにこの、かゆうまって」
「あ。見たなっ! てか知らないのか? かゆうま」
「うん、知らないよ、どういう意味?」
「こういう日誌を終わらせる最後の言葉として有名な言葉だよ」
「はい? ちょっと何を言ってるか……」
うん。まあ古いゲームだからな。みつ子ではわからないだろう。
ちょっと日誌を書くのをもう辞めようかと思い始めた時に思い出した伝説の言葉だ。後世の人は、俺の残した航海日誌をみて恐れおののくかもしれない。
※ありがとうございます。これで前半は終了ですね
これで上陸いたしましたので、ちょっとだけお時間ください。クオリティ維持のために次回更新を少し開けたいと思います。ご了承を。
といいつつ。プライベートが色々忙しそうで、仕事と別に頼まれて行っている専門学校の後期試験の評点したりと……。言い訳しておきますw
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