第12話 デートプランが決定しました
私が憧れていた制服デートの定番といえば、放課後、街に出かけて映画館、カラオケ、カフェ、ゲームセンター、ショッピングモールなどで遊ぶことだ。
でも、よく考えたらそれって全部、この世界には存在しないんじゃ……?
「ああああーっ!!」
突然奇声を発した私に、アキトとリュシアンがびくっとする。
「姫様?」
「どうなさったんですか、お嬢様」
「やらかしたー! デートスポット作るの忘れてた!」
私は両手で頭を抱えてうずくまった。
学園を作ったことで安心して、制服デートするための場所を用意するのを忘れるなんて……一生の不覚。
「どうしよう……。今からお父様に言って、映画館とか作ってみる?」
ぶつぶつ呟いていると、ふう、と溜息をついてアキトが言った。
「お嬢様」
「ねえ、アキト、どうしよう。詰めが甘かったよ~せっかく眼鏡男子と制服デートまで漕ぎつけたのに」
「落ちついてください、お嬢様。リュシアン様に聞こえますよ」
小声で諭されて、私は我に返る。
いけない、いけない。心の声がだだ漏れになってしまっていた。
「校舎の裏手に庭園がございます。そちらをリュシアン様と散策されるのはいかがでしょう」
「それだわ!! ありがとうアキト!!」
私は手をたたき、嬉しさあまってアキトに抱きついた。
アキトはぎょっとして、慌てて私を引き離す。
「おやめください、お嬢様。セクハラですよ」
「あら、ごめんなさい。おほほ」
アキトの私に対する感情が尊敬から軽蔑にだいぶ傾いてる気がするけど、気にしない。
私はリュシアンに向き直ると、優雅な口調で言った。
「では、庭園に参りましょうか。リュシアン」
「はい、姫様」
リュシアンはほっとしたように言った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます