第15話首元かぶれて
【
「壬生ちゃん、あの後大丈夫だったか……?」
「あ、おはよう
「ん?首元なんか全体的にかぶれてね……あっ、」
指摘され、思わず顔が赤くなってしまう。それを見て何かを察した八満。
「も、もしかして昨日一日中?」
こくりと頷く。
「……体力的に死にそうだったら言えよ?お前の為だったら、なんとか説得してやるから」
「大丈夫だよ。嬉しいし、その、好きだし」
「……かーっ!」
「わ」
八満に頭をわしゃわしゃされる。
「悠月に一体何をしているのかしら?」
八満の後ろから声が聞こえ、手の動きがピタッと止まった。
「深山さんっ、違うんですっ、これは」
「何がどう違うのかしら?」
「……ヒィィ!」
悲鳴をあげながら逃げて行った八満。
「元々勘違いしてたわけだし……気をつけないと悠月が……」
「睦月、どうしたの?」
何やらブツブツ呟いている睦月。
「いや、なんでもないわ。1限は3階だっだわよね?」
「うん」
「行きましょ」
「うん 」
―――
5限が終わり、駐車場に睦月と向かう。
そういえば今日の夜ご飯を考えてなかったので、睦月に聞く。
「睦月、夜何食べたい?」
「そうね……今日寒いし、鍋がいいわ」
「いいね。何鍋?」
「あごだし。鶏団子とか豚肉とか白菜とかネギとか入れて、〆は麺食べたいわ」
「あごだし美味しいよね」
「売ってる出汁鍋に入れて具入れるだけでちゃんと美味しいとかほんと最高だわ」
「材料無いし途中でスーパー寄ろっか」
「悠月の家らへんの肉が美味しいスーパーってどこだったかしら」
「あの薬局の前のとこのじゃなかったっけ」
「そこだわ。スーパーによって全然肉の美味しさが違うから」
「ほんとそれ」
値段は同じでも味が全然違うのだ。
―――
「できたよ〜」
パカッと鍋の蓋を開けると、ふんわりとあごだしのいい匂いが部屋に広がる。
「柚子胡椒あったかしら?」
「あ、出すの忘れてた」
「取ってくるわ」
「うん」
その間にお玉で具と汁を器につぐ。睦月は鶏が好きなので鶏団子を多めに入れる。
「ん、ついでくれたのね。ありがとう」
「どういたしまして」
「鶏団子美味そうね」
そんな感じで鍋を食べる。
―――
「鶏団子と麺美味しかったわ」
「けっこう汗かいた」
鍋が熱いのと柚子胡椒が辛かったので意外と汗をかいた。
「洗い物するからその間のお風呂洗って沸かしてきて?」
「分かった」
「……今日から書くから」
「できることあったら言ってね」
「……うん。じゃあ少し甘えさせて」
いきなりギュッと抱きしめられた。
「え、今臭いよ!?」
「臭くない。悠月の臭いだから」
すううぅっと首元で吸い込む音がきこえる。
「はぁぁぁ……よし、頑張る」
「う、うん、頑張って」
「……自制するのよ、私」
「が、頑張って!」
「今日お風呂別に入っていい?」
「えっ、」
「っ……一緒にはいったらそのまま襲っちゃいそうだから」
「う、うん。ならしょうがないね」
俺も自制しなければいけない。前はお風呂別が普通だったのに寂しい。
……女々しい。
お互いチキンだったカップルが初めてのお酒で想いをぶちまけてイチャイチャする話。 アサブクロ @asobigoo
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