第8話 同棲のルール

壬生悠月みぶゆづき視点】


 現在の時刻は午後8時。睦月の家の荷物は全部俺の家の中に入れ終わった。


「ほんとに荷物少なかったね。ほぼ本だし……お金はもう払ったんだっけ?」


「もう払ったわ。まさか言った日のその日のうちに準備が終わる事になるとは思わなかったわ」


「というか冷蔵庫まだあの小さいやつだったんだ」


「だってほとんど悠月の家で食材保存してたんだもの食べるものほぼここでだったし……自分の家で料理作る気起きなかったし……飲み物だけ入れてた感じよ」


「えぇ…それ冷蔵庫の意味ある……?」


「そんな過去の事よりも悠月。お腹すいたわ」


「同感。ん~何食べる?」


「疲れた……けど外に食べに行くのもめんどいわね。なんか頼みましょ」


「いいね。俺の好きなのでいい?」


「いいわよ」



 ―――




「あそこの店の背脂ギトギトラーメンのニンニク多め2杯で出前とったけど」


「ナイスよ。ちょうどそういう胃もたれ系の物が食べたいと思ってたの」


 親指をグッと立てて言う睦月。


「良かった」





 少ししてから睦月が突然言った。


「……ところで、悠月。同棲ルールなるものを作ってみようと思うのだけれどご存知かしら?」


「なにそれぇ?そんなの作りたくないよだ」


 つくってワクワクに出ていたゴロリ風に言う。


「今さっき私がネットを漁って見つけた同棲ルールを基に私達も同棲ルールを作ってみましょう。少し聞いたら悠月もあ〜俺も作りたいって言うから!」


 さすが睦月。ノリがいい。


「聞いてみたいです」


「はい。という事で一例を紹介するわ。まずはバカップル系の奴ね」


「はい」


「20代女性。どんなにケンカしても手を繋いで寝る」


「……同棲ルール作りたいです」


「……いや、まだ真面目系のやつ言ってないから」


「はい。聞きます」


「30代男性。家事は当番制で平等に」


「……それはもう何となくできてない?」


「既に何となくできてるわね。でも、曖昧にしないのが大切らしいわ」


「それなら後で当番表作ろうか」


「了解よ。次に行くわ」


「20代男性。異性と呑みに行く時は連絡する」


「……まず呑んだら意識が死ぬから呑みに行けないんだけど」


「未来の話ね。私たちも社会人になったらいわゆる飲みニケーションってやつで呑みに行かなきゃ行けない時の話でしょ。悠月は危ないから心配だし極力ウーロン茶でいくしかないわね」


 ……社会人になっても一緒にいるという睦月の無意識で言ったであろう言葉に嬉しくなる。


「悠月何?ニマニマして」


「いや、睦月って可愛いなって」


「っ……いきなりそういう事言うの反則よ」


 ススス……と近づいて睦月が寄っかかってきた。幸せ過ぎる……ほんと嬉しくて泣きそう。


 と、その時インターホンが鳴った。


「……ラーメンかな。くっ、何故このタイミングで……」


「……もう好きなだけイチャ付けるでしょ」


「ぐっ……」


 可愛いいいい……。





 ラーメン美味しかったです。

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