第7話 睦月の家族

深山睦月みやまむつき視点】


「兄ちゃん久しぶり!」


 実家の玄関を開けると7歳の弟、巧斗たくとが飛び出て悠月にガシッと抱きつく。巧斗が赤ちゃんの頃から悠月は巧斗を可愛がっているから懐いてる。


「タクは元気してた?」


「してたしてた!あのさ!母ちゃんから聞いたけど姉ちゃんと結婚するんでしょ!?」


「……」


 少し困った顔をする


「ちょっとお母さん」


「あら〜いいじゃない別に」


 縦ロールの母が出てきた。今何歳だ。20代後半位に見えるけど50超えてるはずだ。物心ついた時から見た目変わってない。我が母ながら人間なのか。


「そうそう。ていうかなんで今まで一緒に暮らしてなかったのか不思議なくらいだ」


 母の後ろから出てきたのは小柄な父。


「あ、お父さん」


「リクさん、こんちわ」


 ぺこりと頭を下げる悠月。悠月と父は色々あって仲がいいので慣れた様子だ。


「おいっす!おひさ!お前ら、寒いしとりあえず中入れや!」


「お邪魔しま〜す」


 相変わらず父のノリがおっさん。


 ―――




「いやさぁ、娘はやらんぞ!とか睦月が生まれた時に俺も言うのかなぁって思ってたけど、そんな事全然無いわ。むしろ一人暮らしじゃなくなって安心だわ。同棲全然オッケー。ゲームして昼飯食ってけ。午後から用事だろ?」


「あ、はい」


「話が早いわね」


「そんなテキトーな感じだと睦月ちゃん怒っちゃうわよ~?」


「ちょっとお母さん」


「いや、だって家出た後まで子供縛りたくねぇし。……まぁ正直、睦月がろくでもない男連れてきてたら反対してたけどゆづだしな。睦月を不幸にするようなことはしないと思うし」


「……ありがとうございます」


 深く頭を下げる悠月。


「いいって。堅苦しいのは止めて久しぶりにゲームしようぜ」


「兄ちゃん!俺この間スマブラで世界戦闘力900万いったんだ!」


「……え、マジで?」


「こいつはガチの天才」


 一気に悠月がうちに遊びに来た時のような感じになった。


「お父さん、私も入るから」


「お。いいぞ!」


「私もやろうかしら。でもあなた。今日こそ原稿進めなきゃだめよ?」


「分かってるって!」


 いつもの会話。


「睦月の家はいつも賑やかでいいね」


「……うん。楽しいわ」



 ―――


「じゃあな」


「お幸せに~」


「兄ちゃん!また来てね!」


「うん。また来るね」


「お父さんお母さん巧斗、バイバイ」


 車の窓を閉める。家族がわざわざ外に見送りにきてくれた。


 ……久しぶりの実家は楽しかった。


「この後は睦月の家に行って荷物取り行って……車に全部入るかな」


「大丈夫よ。私の家狭いし本以外はろくに置いてないし」


「……それなら大丈夫か」


 ということで私の家に向かう。


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