第2話 親友としての
【
「……ん?」
何かを抱きしめている気がする……
「んぁ……」
俺の腕の中にいたのは
「っ」
「……スー……スー……」
可愛い寝息をたててすやすやと寝ている。
「……」
可愛さのあまり、思わずほっぺを指先でプ二っとする。
「ん……」
小さな声をたてて反応する睦月。
「……うっ」
……可愛すぎんだろーーーーーー!!!!!!
ひとしきり悶えた後、またほっぺを……と腕を伸ばした瞬間。
睦月の目がぱっちりと開いた。
「……悠月、おはよう」
「あ」
「……私のほっぺいじろうとしてた?」
やばいやばいやばいどうしようどうしようどうしよう。
「……正直に言って」
「あの、その、いや、……はい。思わず」
「……いいよ」
「え?」
「ほっぺ触ってもいいよ」
……え、ちょっと、待って。なんだこれ。
固まっているとさらにとんでもない事を言って来た睦月。
「……甘えたいんでしょ?押し倒して来たし」
「オシタオシテキタ?」
「うん。悠月が酔ってね。押し倒したって言っても私を抱きしめて何もせずに寝たんだけどね」
押し倒したと聞き、サァァァと血が引いていくのを感じる。
「ごめん」
「いやそれはいいの、私も、その、悠月と同じだったし」
「……同じ?」
「……悠月、私がクールだから嫌われるのが怖くて甘えれないって言ってて。……私たちが中学からずっと一緒にいるのって、2人でいる時の親友としての空気の居心地が良いからでしょ?その、私も悠月はクールで大人びてて甘えたりしたら引かれると思ってて。この居心地の良い親友の空気を恋人として踏み込んで、壊すのが怖くて」
「……同じだ」
「だから、今日からちゃんと恋人にならない?……何というか、こう、もっとベタベタとしたスキンシップに遠慮しないバカップルみたいな……」
「よろしくお願いします」
煩悩まみれの俺は即手を差し出した。純粋な気持ちであろう睦月に罪悪感が。
「こちらこそよろしくお願いします」
微笑んで俺の手を握る睦月。
何はともあれ嬉しすぎて泣きそうだった。
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