第拾漆話 ヒューイットさんに聞いてみた(後編)

「あの、ヒューイットさんって、何ランク何ですか?」


「俺か。そんなに知りたいか? だが、今は教えてやらん」

「おしゃべりなやつが話したり、噂や周りが話しているの聞いてバレるかも知れんが、今は俺から教えん。そうだな……アオイが本登録したら教えてやろう。」


 教えてくれてもいいじゃん。周りは皆、知っているみたいだし、周りが話したり、噂になるくらいみたいだから、結構、上のランクなんだろうとあたりをつけた。適性試験にすぐに合格できるかわからないけど、何せ、試験は実技試験って言ってたし、魔法は全属性使えるみたいだし、スキルもたくさんあるみたいなのだが、レッドグリズリーに襲われ、腰を抜かしてただけで、実戦経験なしなので、絶対防御があるから、防御面は大丈夫だとしても、攻撃面でどうなるのかわかならないのだ……

 ランクを今は教えてもらえないなら、他のことを聞こう。


「わかりました。教えてもらえるように、依頼こなして、本登録出来るように頑張ります。」

「じゃあヒューイットさんは、パーティーとか組んでいないんですか?」


 異世界モノの小説だと、ソロで活動する冒険者もいるが、大抵はパーティーを組んで活動したり、複数のパーティーが集まってクランを設立して活動したりしていた。

 だから、私がヒューイットさんと出会った時から、一人で行動していてといっても、ヒューイットさんと出会ったの今日なので、たまたま別行動しているだけかもしれませんけどね。


「あぁ、今はソロで活動している。」

「以前はパーティー組んでたけど、解散する事になって、鍛冶に興味があったから、鍛冶師になった奴、誘われて他のパーティーに加入した奴、一人で修行の旅に出た奴とかいたな。他にもいっけど、飯が来たからまた今度話してやる。

 会話を楽しみながらゆっくり飯食うっていうやつもいるけど、多少会話したりするけど、俺は飯食うときは飯に集中したいから、少し長くなりそうな話はしない。」


 ヒューイットさんがそういうと、先程とは別の店員さんが台車で料理を私たちの席に運んできた。

 注文の時の店員さんに似ているけど姉妹なのかな?

 しかし、話が途中になってしまったが、私も食事に集中したい派なので、頷いた。


「おまたせ。厚切りキングバイソンのリブアイとサーロインのコンボステーキです。鉄板熱いから気をつけてくださいね。生ハムのシーザーサラダ、あとセットのパンね。パンのおかわりは自由だからね。」

「あと、……(小さい子連れているのに酒飲むなよ)赤ワインね」


 テーブルに置かれた、ヒューイットさんの注文した料理を見て、唖然とした。

 厚くて、大きな肉が二種類、大きすぎてはみ出しているなら、鉄板が隠れてしまっている。シーザーサラダも三人前くらいの量だし、それでパンおかり自由って今並んでるものだけでも私なら絶対に食べきれず残す。パンをおかわりする余裕なんが全くないだろう。

 あと、聞き取れなかったが、ボソッと何かを言ってから、赤ワインのボトルとグラスをテーブルに置いたら、ヒューイットさんが若干、不機嫌な顔をしたがすぐに元に戻った。


「オークジンジャーのライスセットね。ライスもおかわりできるからね。」


 私が注文したのも私の前に並べられた。ロース肉だね。それに山盛りキャベツ、ライスに汁物。これは予想通り完全に生姜焼定食ではないか。

 感動!!

 ライスをおかわりできると言われたが、日本で店が提供する生姜焼定食よりも、肉もキャベツもライスも量が多いので、痩せの大食いだったので、転生前の私ならしていたかもしれないが、四歳児には、おかわり以前に多過ぎるな……


「じゃあ、食うか。」


「いただ「何だそれは」


 ヒューイットさんにそう言われて、頷いてから私は手を合わせて、日本にいた時と同じように食べる前の挨拶を言おうとしたら、ヒューイットさんに遮られた。


「これはね。諸説あるらしいんだけどね。食べ物を栽培したり、捕ってきてくれた人や調理してくれた料理人さん、席まで運んできてくれた店員さんに感謝をって説や肉は特にわかりやすいけど、食材として命を奪われるじゃない。だからあなたの命をいただきますと感謝してって説とかがあるみたいだよ。どの説も共通するのは感謝だね。それから食べ終わったらごちそうさまって言うって教わったのから、だから私の家では、手を合わせて、食べる前にいただきます。食べ終わったらごちそうさまって言ってたの」


「それいいな。人や生き物に感謝か。俺もこれからそれやるわ」


 ヒューイットさんは、私のうろ覚えで、伝わりにくい説明を聞いて、何か気に入ったみたいで、自分もやると言い始めた。まぁいいことだからね。


「それじゃあ、改めて、手を合わせて……」


「「いただきます」」


 ヒューイットさんはまずワインを飲んで、それから肉をナイフで切って食べ始めた。


 私は、キャベツに手をつけてから、肉にいき、ライスからの味噌汁のローテーションで食べ進めた。

 生姜焼は肉はモモ派も稀にいたが、大派閥はロース派、バラ肉派だ。玉ねぎは玉ねぎなし派もいたりしたが、シャキシャキ派、クタクタ派に別れるだろう。

 シャキシャキ感が残っていた方が栄養価的にはいいみたいだが、私はロース肉にクタクタ玉ねぎが好きだ。

 異世界で食べた初生姜焼は私好みで、実に旨い。そして汁物は汁物椀ではないが、味噌汁だった。

 ライスに味噌汁があるとわかったので異世界モノにありがちな和食が恋しくなる展開は初日で回避できた。まぁたまたま生姜焼があっただけで他のよく知る馴染みの和食があるとは限らないけどね。


 はじめは食べきれず、ヒューイットさんに食べてもらおうとか思っていたけど、あまりの美味しさに全て食べきってしまった私。

 まぁ、ヒューイットさんはもっとすごく、パンを五回おかりしたし、途中で同じステーキを追加注文して完食した。


「「ごちそさま(でした)」」


 二人とも食べ終えたので、食べる前に私が言った挨拶を二人でした。


「すっごく満足した。」


「俺はまだ食えるな」


 私が満足したと、お腹を叩いていたら、あれだけ食べてまだ入るだと……マジか……ヒューイットさんのまさかの発言に私は苦笑いした。

 まあ、私も四歳児にしては、大分食べ過ぎな気もするけど……それは気にしないことにした。

 。

 会計の際にお礼に私が払うと言ってみたが、大人が子供に支払いさせたら周りがどう思うか考えろと怒られた。まぁそりゃそうか(笑)


 そして、ヒューイットさんが支払いを済ませ、店を出た。私たちは、私のあの家(屋敷)に向かった歩き始めた。。


 帰りながらに注文と会計の時の店員さんが妹さんで、料理を運んできた店員さんがお姉さんだと話してくれた。ヒューイットさんのお姉さんと妹さんか。あの二人は似てたけど,でもヒューイットさんとは似てないな。

 それから、二人からははたらいている時は、話しかけるなと言われているらしい……何でだろうか?

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