第拾捌話 落ち着けない

 私は、ヒューイットさんに家(屋敷)まで、送ってもらった。


「着いたな。今日は色々あったし、家でゆっくり、休め。」


「ヒューイットさん、送ってくれてありがとうございます。色々、お世話になったので、お礼したいですし、うちで少しゆっくりしていきませんか?」


「そういうのは、いい。大人が困っている子供の手助けをするのは、当たり前のことだ。」

「だから、アオイは気にするな。ありがとうって言ってもらったからな、その礼の言葉だけで、充分だ。それにこの後、ちょっと予定があるからな。」

「アオイも家まで送り届けたし、俺は帰るよ。 」


「わかりました。予定があるなら仕方ないですしね。」

「ギルドで会ったら、また色々教えて下さいね。」


「おお、わかった。それじゃな。俺は行くわ。」


「はい。さようなら。」


 帰って行くヒューイットさんを見送ってから、私は屋敷の中に入っていた。


 玄関の扉を開け、屋敷の中に入ると、こういう屋敷には、ありがちな美術品などが飾られていることもなく、というか何もなく、絨毯は敷いてあるけど、空き家って感じだ。

 まあ、あったらあったで更に貴族って誤解が加速するから、このままでもいいけど、何か寂しいし、殺風景だからそうのち、何か考えよう。

 自分にはよくわからないから、誰かに聞いてみよう。


「ヒューイットさんを家に誘ったけど、断ってくれて、良かったのかもな。」

「私も今日初めて家を見たから、中がどうなっているかわからなかったわけだし、どこに何があるかもわからないから、おもてなしするにしてもあたふたしちゃっただろうし、そうしたら変に思われちゃっただろうしね。」


「じゃあ、部屋やキッチン、そして楽しみなお風呂とか見に行くかな。」


 そして、私は、色々屋敷内を見て回った。

 簡単に説明すると、

 玄関ホールは吹き抜けにやっており、簡単な訪問の対応ためなのか、そのため椅子など応接セットがある。

 キッチンは広いことを除けば、日本と同じ感じのシステムキッチンって感じだった。

 スイッチもないし、押してもないのに、屋敷に入ったら照明が着いて明るくなったし、コンロの火もちゃっと着いたけど、ガスじゃないみたいだし、水もちゃんと出たし、冷蔵庫も日本のような感じではないけどちゃんとあったし、電気が通ってる感じではないのに冷蔵庫内は冷えていた。その辺はあとヴィーナにまとめて聞いてみよう。

 浴室は予想通り、広々としていてしかも二ヶ所もあった。これは入るのが楽しみだ。サウナは無かったけど……

 二階に寝室もそれなりの数あり、各部屋や各部屋のクローゼットは広かったし、ベッドも大きかった。

 他にも応接室など色々あったが説明はこのくらいにしておこう。


 屋敷内を見て回った私は、二階の気に入った一室を自分の部屋にすることにして、ベッドに寝転がった。


(ヴィーナ、この屋敷の照明とかコンロとか冷蔵庫とか、火や水とか、どうなっているの?)


(は~い♥️ 呼ばれて、飛び出ず、ジャジャ~ン)


 ヴィーナが、どこかの大○王に似た事を言ってきた。まあ自我はあっても、肉体はないから飛び出る事は、出来ないわな。


(照明、コンロの火、キッチンなどの水、冷蔵庫内を冷やしたりとか、あと生活排水の汚水の処理は魔石で賄っているのよぁ♥️)

(

(魔石か。異世界っぽいね)


(でしょ、でしょ。異世界来たぜぇって感じでしょ♥️)


 色々見て回ったり、わからないことをヴィーナに聞いたりしたけど、日本の一般家庭で暮らしていた私からすると、部屋も多すぎるし、広すぎるし、ベッドが大きいのとクローゼット、お風呂が広いのは嬉しいけど、掃除が大変だな。

 コンロの火や冷蔵庫、照明、キッチンやお風呂、トイレなどの水などは異世界らしく魔石で賄っているらしい。


「こんな屋敷で一人で暮らすとか……寂しさを感じる……それに落ち着かない。話し相手になりそうなのはおネエキャラのヴィーナだけから、疲れて、尚更、落ち着けない。」


(失礼しちゃうわね(怒))


(!!)


 おお、愚痴ってたら、ヴィーナが失礼だという声が聞こえた。

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