第拾陸話 ヒューイットさんに聞いてみた(前編)

 受付に行き、魔力登録と口座開設をして、無事にギルドカードを手に入れたアオイはヒューイット一緒にギルドを後にし、お腹が空いたので、どこかの店に入り、ご飯を食べることにした。


「私、美味しいお店とかわからないので、ヒューイットさんのオススメの店でいいですよ。」


「四歳で、飯の旨い店とか、知ってたら驚きだからな。そうだな。俺の行きつけで、安くて旨い、特に肉料理が旨い店があるんだが、かなりガッツリ系のメニュー多くて、子供向けじゃないけど、そこでもいいか?」


「はい。大丈夫です。お肉大好きですから」


「アオイ、涎が出てるぞ」


「おっと、いけないつい」


「じゃあ、行くぞ」


 私は、他愛ない話をしながら、ヒューイットさん、オススメの店に向かって歩いてく。


「着いたぞ。ここがそうだ。」


「賄い屋 レガールですか。」


 私は、賄い屋レガールと書かれた大きな看板に目を向け、先に入っていくヒューイットさんを追って店内に入った。


 店内は、二人掛けから八人掛けのテーブル席がたくさん並んでいて、ちゃんとメニュー表もあるみたいだが、壁に色んなメニュー名と価格が書かれたものが貼ってあった。店の外観もそうだが、日本でいう処の大衆食堂って感じの店内だった。

 食堂ってただ安いだけとか、年期が入って壁などに汚れが目立って、ピーク帯にも関わらず、いつも店内にお客さんはポッつん、ポッつんといるだけで、よく潰れないなと思ってしまう店や食堂なので、安いのにめっちゃ美味しくって何度も通いたくなる大当たりの店まであるけど、共通して、メニュー豊富だから何にするか困った時に転生前の私はついつい食堂に入ってしまっていた事を思い出しながら、空いていた二人掛けのテーブル席に座った。


 席に着くと店員さんが来て、水の入ったコップと取っ手と注ぎ口を付いた容器をテーブルに置いて、注文決まったら呼んでくれと言って去っていった。


「腹減っているし、食うもん早く決めて、腹を満たすぞ。ここは、注文してから出てくるまでが、早いんだ。旨い・安い・早いの忙しいやつには大変ありがたい店だ。」


 そんなことをいいながらメニュー表をヒューイットさんが渡してきたので、受け取り、何にするかと決めるためメニュー表を開き、見ていると、気になるメニューがあった。


「何にしようかな。肉料理が美味しいって、言ってたから肉系にしよう。これって……」


 オークジンジャーセットと書かれたメニューがあった。

 オークってこっちでは見たことまだないけど、確か異世界モノだと見た目も肉も豚に似た感じのやつよね。ジンジャーは生姜でしょうぉ?これってもしかして豚の生姜焼定食って、ことかな? メニューにはライスもあったしね。

 私が転移してくる以前にも転生者や転移者がいたとしても変でもないし、この店も食堂っぽいし、あり得るかもしれない。これにしよう。


「何にするか決まったか?」


「はい。私はオークジンジャーセットにします。」


「セットか。パンとライスどっちにするんだ?」


 もしかしたら豚の生姜焼定食かもというので頭がいっぱいで、セットメニューはパンとライス選ぶの忘れていた。まあ答えは決まっている。


「ライスで」


「じゃあ、店員呼ぶけど、飲み物はいいのか?」


「はい。お水あるし、もし飲みたくなったら追加で注文することにします。」


 そして、ヒューイットさんは

「注文いいか」と店員さんを呼んだ。


「厚切りキングバイソンのリブアイとサーロインのコンボステーキと生ハムのシーザーサラダにパンのセット。あと赤ワイン。」


「私は、オークジンジャーセット、ライスでお願いします。」


「厚切りキングバイソンのリブアイとサーロインのコンボステーキと生ハムのシーザーサラダにパンのセットとオークジンジャーのライスセット、ドリンクは赤ワインね。」


 店員さんは注文を繰り返すと、注文を伝えに厨房に向かった。


 私は、料理が来るまでの間に、ヒューイットさんのランクやパーティー組んでいるのかとか冒険者としての話を聞いてみることにした。

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