第拾壱話 私からの提案 ヒューイットさんの悪巧み(前編)

 どんな家か気になっていたので、ヴィーナから場所は聞いていたので、門を抜けて、家の確認し、家で部屋や家具などチェックしながら、ゆっくりしようかと思ったが、来てみれば、貴族の屋敷に使えるくらいデカかった。

 まぁ、これだけデカければ、お風呂も広々で、寛ぎ空間だろう。

 私は、転生前も転生後も日本人である。日本人は毎日、湯船に浸かり、疲れをとる習慣がある民族である。そんな私は、長風呂大好きなオフロスキーだぁ。

 日本では、ホテルや旅館の大浴場や温泉、スパ施設や数は減ってしまっているが銭湯などしか、広々湯船はほとんどないのだ。

 想像しただけで、テンションが上がらないわけがない。


 しかも私は、サウナーでもある。屋敷にはサウナがあるかわからない、この世界にはサウナというものがない可能性もあるが、なければ造ってしまえばいいのだ、サウナ室、水風呂用の浴槽などなどを増設しよう。一度でも"整う"を体験してしまうとサウナにドハマりするのだ。

 更にテンションが上がってしまってが、ここで一度冷静になり、ヒューイットさんを完全放置だった事に気づいて、大荷物があるわけではないというか、手ぶらで転移してきたので、荷物なんかないが正しいな。ということで、ヒューイットさんに、中には入らずに提案をしてみた。


「ヒューイットさん、冒険者ギルドに仮登録しに行きたいので、連れてってください。私、王都で暮らしてましたが、冒険者ギルドが何処にあるのか、わからないので……お願いします。」


 多少の嘘をまぜつつ、ヒューイットにお願いしてみた。


「屋敷の中に入って、ゆっくりしたりしなくていいのか?」


「はい。大丈夫です。」


「わかったよ。アオイがそれでいいなら連れてってやる。」


「ありがとうございます。」


 そして、ヒューイットさんに連れら、冒険者ギルドまで案内してもらった。


「さぁ、ここが冒険者ギルドだ。アオイが仮登録したいと言ってきたんだから、俺は後から遅れて、アオイから離れているから、アオイは一人で先に入っていけ」


 何やらニヤリと悪巧みを考えていそうな、悪い顔で、ヒューイットさんが、そんなことを言ってきた。


 あれかな、冒険者ギルドに子供が一人で来て、チンピラ冒険者に「ガキはママのおっぱいでも飲んでろとか、ここは、お前みたいなガキがくるところじゃねぇ、さっさと帰んな」とか絡まれるテンプルイベントを発生させたいと、それで、私にチンピラ冒険者は見かけ倒しで、弱いくせに、自分より弱そうに見えるやつに強気にでてくるから、そういう奴に近づかず、かかわるなと、教えるために一緒に行かずに、わざわざ私を一人で行かせるという考えなのかな?

 私、小さいし、黒髪、黒目で、他の国や都市にはもしかしたらいるかもしれないけど、転移してきてから、会った人や見かけた人一人もいなかったから目立つし、自分で言うのもなんだけど、顔もかわいい方だし、絡まれやすいと思うんだよね。

しかも女の子だしさ。


 まぁ、絡まれて、暴力振るわれても、スキルあるから返り討ちにできるし、そっちもテンプレ通りになるけどね。

 四歳の幼女に負けるとか、冒険者辞めたくなるだろうな。精神的に、まあ逆恨みされて、面倒事になったら面倒だし、入っていって、絡まれたら無視するか、穏便に済ませるか、ダメなら周りの大人にさっさと助け求めるかな。ヒューイットさんも後から入ってきて、少し離れたところにいてくれるって言ってたし、そのいずれかの作戦で行こうと決め、ヒューイットの申し出を了承し、ギルド内へ入っていく。


「わかりました。先に行きますね。後からちゃんと着いてきてくださいよ。私、初めてなんですから、どうやって登録したりするのか、わからないんですからね。」


「ちゃんと後から行くから、安心しろ。」ニヤリ


 アオイは、忘れていたのである。

 そういう輩は、無視すると更に強引に絡んでくるし、こちらの話を聞きもしないので、穏便に済ませることもできない、中にいる連中が万が一屑な性格した奴らばかりしかいなかったりする事が、田舎のギルドだけでなく、王都という都会にあるギルドであっても、時間帯によっては、チンピラ冒険者が一番高ランクで強く、他はみんな低ランク冒険者で、可哀想だが、関わりたくないと見ないふりに徹するしかいない状況になることもあることを、なので現時点で確実に助けてもらえるとしたらヒューイットさんだけだということを……

 そして、そのヒューイットさんは、アオイから見えない場所に隠れ、傍観者に徹し、直ぐに助けに入るつもりが全くないなどと考えているとは、この時の私は知るよしもなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る