第拾弐話 私からの提案 ヒューイットさんの悪巧み(中編)

「冒険者ギルドって、騒がしいのね。私が入ってきても、見向きもしないけど、騒がしくって、私が入ってきたの気づかないのかしら、入った時にドアベルがなっだけどな。」

「やっぱり、如何にも弱いものいじめ大好きですなチンピラですって感じの冒険者が十人いるわね。目を合わせないようにしなくっちゃ、チィッ。」


 ヒューイットさんに言われた通り、一人でギルド内へ入った私は、見つけてしまい、奴らから目をそらし、グチをこぼし、つい舌打ちしてしまった。

 ギルド内には、酒場もあるみたいで、食事しながら、話していたり、お酒飲んで、騒いでいる人がいて、ギルド内は騒がしいからアイツらに聞こえてだろうけど、勿論、アイツらは酒を飲んで騒いでいるグループである。


「どうしたらいいかわからないけど、あそこがきっと、受付ね。受付嬢らしいお姉さんがいるし、美人のキレイ系やカワイイ系の女性が受付嬢として、冒険者ギルドにいるのは定番よね。さっさ、受付で、仮登録お願いしよう。登録方法わからないけど、受付のお姉さんが優しく教えてくれるでしょ。」

「それにしても、ヒューイットさん、後から来るとは行ってたけど、まだ入ってきてないのか、見当たらないわね。いないのは少し不安だけど、仮登録している間にきっと来るでしょう。」


 アイツらに気づかれて、絡まれるのも嫌なので、ヒューイットさんがまだ入って来ていない事に気づき、不安を感じたが、そのうち来るだろうと思い、さっさと受付に行くことにした。


「おい、ガキ、ちょっと待てよ。」


 受付に向かって歩いていし始めた時だった。奴らが私の進路に立ち塞がって、絡んできた。


「あぁ、やっぱりこんな奴らでも冒険者なのね。騒がしいけど、ちゃんと私に気づいたのね。チィッ」

「前に立ち塞がられちゃ、無視して進むこともできないし、話を聞いてやるしかないわね。チィッ」


 面倒に思い、二度も舌打ちしてしまったが、チンピラ達に話を聞くことした。


「私に何か用でもあるのですか? 私、受付に行きたいので、退いてもらえませんか?」


「お前みたいな。ガキが冒険者ギルドになんの用なんだ? おい、冒険者なめてるのか。さっさと答えろよ。」


「そうだ。そうだ。」


「冒険者なめていると、殺っちまうぞ。」


 周り連中も囃し立ててきてうるさいなぁ。絡んできている連中以外の冒険者は見ないふりときたか。

 殺っちまうって、一般人殺しちゃダメでしょう。


「ちょっと、その子は、受付に用があるんでしょう。ゾルゲさん達、そこ退きなさい。それ以上、その子に絡むようなら、処罰対象となりますよ。」


 受付嬢さんが、助けようとしてくれている。処罰され、どんなペナルティー受けるかわからないけど、そんなのあんた達も面倒でだろうし、ここは受付嬢さんの言うとおり、通してくれないもかね。


「ミーナ、俺たちは、こいつに冒険者ってどんなものか、どんだけ偉いのか教えてやろうとしてんだ、ガキ一人で来たんだ。依頼ってことはねえだろうから、冒険者の仮登録に来たんだろうよ。だから先輩として教えてやろうとしているのに、処罰対象ってのは、おかしいんじゃねえのかい?」


「そうだぜ。ミーナちゃんよ。ゾルゲさんの言うとおりだぜぇ。」


 冒険者がどんなものかを教えてくれるのはいいとして、どんだけ偉いかは違うんじゃないかいね。まぁ、アンタ達には何にも教えてもらうつもりはないけどね。


「すみません。ミーナさんの言うとおり、受付に用があるので、退いてください。冒険者についてやわからないことは、ミーナさんに聞いたり、冒険者の知り合いがいるので、その人に聞くので大丈夫です。」


「テメエみたいなガキに冒険者の知り合いなっているわけねえだろうが、万が一いたとしても、そりゃあ、まだ仮登録のヤンチャって冒険者だろうが……」


「そうに違いねぇ」


「絶対、そうだぜぇ」


「ランクは、わからないですけど、レッドグリズリーだったかな?倒したところ見ましたし、ちゃんと本登録している冒険者ですよ。いいですから、退いてくださいよ。」


「おい、ガキ。嘘はよくねぇぜぇ、レッドグリズリーったらAランクの魔獣だぁ。お前がレッドグリズリーのいる森に行けるわけないし、それにきっとお前はその知り合いに騙されたんだ。そいつがお前に強くてカッコいいとこ見せたくて、ただの熊を倒して、魔獣のレッドグリズリーだって、嘘ついたんだ。」


 ヒューイットさんの名前だしてもいいけど、まだギルドの中に入って来てないみたいだし、名前だしても、そんな冒険者いないとか、お前が知り合いなわけないとか言ってくるだろうからなぁ。

 名前だして、そんな冒険者いないと言われた場合は、ミーナさんなら登録している冒険者把握しているだろうから言い返せるけど、知り合いなわけないと言われたら、ミーナさん含め、ここにいる人たちは、私とヒューイットさんが知り合いなの知らないから、ヒューイットさん本人が来てくれないと証明できないし、どうしたものかな……


 どう対処するか、アオイが色々悩んでいる頃、ヒューイットは、アオイがギルドの中に入っていって直ぐに、裏口からギルドマスターの二階の部屋へ行き、ギルドの一階を映し出しているモニターを見ながら、アオイがどんな対処をするのか、ニヤニヤしながら観ていたのである。

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