第8話 投げ放題
投げ放題…通称投げホに向かう上で私と星先輩、王先輩、黒柳先輩はH駅に集合し、鏡屋先生の車とT市まで現地集合の2パターンに分けられた。つまり安藤会長と山口副会長は現地集合なのである。てなわけで9月5日。私はH駅にいるわけだけど、鏡屋先生の車ってどんなんだったっけと私はパニックになった。すぐさま同好会のLINEに連絡を入れる。既読は5人つくが返事がない。どうしようと思っていたところ、肩をポンポンと叩かれた。星先輩だった。
「鏡屋先生は赤色の車が特徴だよ」
と教えてくれた。どうやらLINEを見たようである。
「あっ、ありがとうございます」
そう私が返す。
「暑いね。よくわたげちゃんは長袖でいられるね」
「ポイントワンの中が寒いので寒さ対策です」
「そっか」
などと世間話をしていたら、赤色の車で鏡屋先生がやってきた。
「2人とも早いね」
と鏡屋先生が言う。今現在、午前9時5分。9時10分には出発するので、それ以降の電車だと間に合わないのが現状だ。
「王先輩と黒柳先輩来ないですね」
そう私が言うと、
「王くんは遅刻魔だから。でも黒柳くんは許さん」
と言っていた。
「黒柳くんに連絡できる?」
そう鏡屋先生は私に聞く。
「分かりましたよ…」
と私はパリピの黒柳先輩に連絡を入れた。
~黒柳先輩、起きていますか?時間に間に合わないので先にポイントワンに向かいます。よろしくお願いします。From西脇わたげ~
「本来これ会長と副会長の仕事でしょうが」
1年生の私に何させてるんですかと毒づくと、星先輩は笑った。
その後は自分専用のマイボウルを作るとかいう話を鏡屋先生が話したり、キャリア支援課の現リーダーが頭おかしいとかいう話、出来の良い同級生に嫉妬してしまうという話を、私が弾丸トークをしながら語ったりしていたので、1時間経つのはあっという間に過ぎていったと思う。10時を回り、私たち3人はポイントワンにたどり着いた。しかし、会長と副会長はまだポイントワンについていない。私は同好会のグループに連絡を入れる。
すると、田中くんから道のりのナビが送られてきた。15分かかるとのことである。
「僕たち遅刻です」
そう田中くんからの文面が送られたが、全く反省の色が見られない。なぜなら田中くんは普段から遅刻常習犯だと知っているからだ。ちなみに、私と田中くんは同学部同学科の同級生なので、授業態度は嫌なほどよく分かっているつもりである。
「あと誰が遅刻しますか?」
私がそう訪ねると、田中くんが写真を送ってくれた。建山くんと安藤会長と山口副会長と彼の4人がSNOWで写っている写真である。私の手は震え、いつの間にかスマホを落としていた。
「わ、わたげちゃん?」
星先輩が私の顔を心配そうに見つめる。
「会長なら、遅刻するときくらい、連絡くれやぁぁあ!」
私は泣きながらコップから漏れた感情を星先輩にぶつけた。星先輩は私のスマホを拾うなり、ボウリングのLINEをみる。
「これは舐められたもんだな」
星先輩はLINEの状況を見て、苦笑いしながら同情してくれているみたいだ。しかし、私が泣いている中、鏡屋先生は1人でボウリングを勝手に始めているというカオスな状況。
私はボウリング同好会にまた嫌気がさしていくのを感じた。
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