第7話 女友だち

「あず嬢、お夏、久しぶり!」

私はいつもの白TシャツにGパンで2人の元に向かった。

「相変わらずわたげちゃんはカジュアルが似合うよねぇ」

と笑うあず嬢はオレンジのタイトスカートに白の丸襟ブラウスである。

「あず嬢もオレンジねぇ」

と私も笑うと、

「私のことも話して!」

とお夏が頬を膨らませて言った。

「お夏もなかなかだよ。ピンク髪に短パンだぜ?」

そう私が言うと、お夏はドーモと軽く笑った。

今は8月。夏休みなのである。




「わたげちゃんは好きな男いるー?」

お夏が私に聞く。私にとって男とは友だちみたいなものだから、回答に少し困った。

「仲良くなった先輩はいるんだけどね… 」

と私が言うと、あず嬢とお夏が食いついてきた。

「何それ。どんな先輩!?」

「ボウリングで出会った先輩なんだけどね」

「顔写真見たい!」

そうお夏がせがむ。ちょっと待っててねと私はLINEで星先輩の投稿をあさる。

「あー、あった。はいこれ」

「うわぁ、優しそうな人!」

お夏のテンションが上がる。

「顔立ち整ってるねぇ」

あず嬢が評論家じみた回答をした。

「で、アタックはしてるの?」

お夏が聞く。

「たぶん妹みたいに思われてるから付き合うのは難しいと思うな…」

私がそう言うと、2人が

「どれくらい年は離れてるの?」

と問う。

「5つだよ」

「5つも離れてるの!?」

「だから学年1つも被ってない」

私は色気がないんで自信ないんすよと自虐すると、2人も確かにわたげちゃんは色気ないよねと笑った。





「お夏はなんか無いの?」

私が聞くと、

「クールに対応しすぎて男女共に冷たいって言われちゃうの…」

とおかげで彼氏もできないと肩を落とすお夏。

「夏希ちゃんかわいいやん」

あず嬢が反論する。

「そうだよ。かわいいよ」

と私も乗っかる。

お夏はかなりかわいいと思う。かわいいレベルでいくと、顔面偏差値60くらいらあるだろう。あくまで個人の感想だけれど。

「お夏なら真っ先に彼氏できそうなのに…」

私は心で感じたことをそのまま言った。世の中、顔がすべてとは言うけれども、顔がいくら良くても恋愛に直結するとは限らないのが恋愛の難しいところなのである。





私たちは様々な話をした。お夏は他大学のインカレサークルに入り出したこと、夜間の専門学校に通って建築の勉強をしているんだと話してくれた。あず嬢は片思いをしている子に告白して振られて、悲しかったけど1週間後冷めたとのことだった。私も女会長のこととか色々話したので同等と言えば同等なのだが。

「また会おうね」

そう言って、4時間話したのち、午後5時頃私たちは女子会をお開きにした。





それから1週間後。安藤会長からボウリングのグループLINEに連絡が入った。T市のポイントワンにおける投げ放題についての連絡だった。投げ放題についての話は入会する前に鏡屋先生から聞いていた。会長と副会長は40ゲームほど投げたらしい。そんなに私は投げられるのだろうかと不安になったし、1人で帰ることができるのだろうかと不安になったのだった。

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