第3話 ダブル女会長

コンコンと研究室をノックする。そこにはミラー先生こと鏡屋かがみや先生と、あとは女会長2人…なのだが、この2人、いかにもチャラそうなのである。1人の女はちょっとぽっちゃりしていて、黒いロングヘアに金のメッシュを入れている。カラーコンタクトを装着し、もも丈ショートパンツを大胆に見せつける様は、ギャルのように見えてくる。



もう1人の女は金に近い茶髪の外ハネヘアーに大学生らしく白ニットにデニムを履いている。私から見て後者の彼女はとても顔立ちが整っている美しい女性だと感じた。

「初めまして。西脇にしわきわたげと申します」

私が2人に軽く挨拶する。すると、黒髪ロングヘアの女が

「ボウリング同好会に入りたいん?私は安藤麻友あんどうまゆ。そんで、こっちが私の親友、山口美々華やまぐちみみか。よろしく」

と微笑ながらに挨拶を返してくれた。この、私が唯一できるスポーツがボウリングなのである。

「仲良くするんだよ」

そう鏡屋かがみや先生が私たちに呼びかけた。まぁ、ギャルっぽい見た目してるけど、中身はわかんないし。そう思いながら、私は研究室で行われる総会に参加した。



ボウリング同好会では、水曜日の月に2回ボウリング場に行き、5ゲーム投げるといった内容だということを聞いた。私にとってボウリングは2ゲーム、多くても3ゲームという環境だったから驚いたのである。

「まぁとりあえず今日投げるから来てみ?」

4限終わりに鏡屋かがみや先生の研究室に集合ね、と安藤は私に呼びかけた。

「わかりました…」

そういうわけで、私は何も知らされないまま、ボウリングに参加することになったのだった…。



「え、鏡屋かがみや先生車出してくれるんですか?」

4限終わり。私は鏡屋かがみや先生の研究室に行き、どうやってボウリング場に行くか聞いてみた。聞けば、鏡屋かがみや先生は車で行きはボウリング場、帰りは最寄り駅のH駅まで送ってくれるらしい。こんな高待遇なサークルめったに見られない。

「ほら、早く乗って」

そう鏡屋かがみや先生は赤い車を開けてくれた。失礼します、と私を含め安藤と山口は車に乗り込む。




車の中では、安藤と山口に質問攻めをしていた。

「私、大学のオープンキャンパススタッフを行おうとおもっているのですが、大変ですか?」

私が問う。

「めっちゃ楽やで」

安藤会長がケタケタと笑いながら言った。そして賃金は低いけどなと少し毒も吐いていた。




どうやら安藤と山口は関西出身で、こっちに移り一人暮らしをしているらしい。また、山口は1年間英語圏の留学をしていたそうだ。

また、2人は共に成績が学年2位と3位の実力だというから、彼女たちから得られるものも多いはずだ。

そして、驚くことに私たちの所属する経営学科は、日本人女性が2年生は彼女たちを入れて3名、3年生は4名しかいないらしい。



「授業って大変ですか?」

「授業もめっちゃ楽やで。なら余裕でこなせる」

そう心配はいらへんで、と安藤は励ましてくれた。結果的に私はその言葉を人それぞれだなぁと実感する日が来るのだけれど、それはまた別の話としておこう。

そうこうしている間に、私たちはボウリング場に着いたのだった。

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