47話 《剣士》Lv.3
フィアが《精霊用ステータス》を獲得し、戦える力を得たことはいいとして、それ以外にも分からない点があった。
「フィア、さっき宝剣のレベルを上げた時に表示された『宝剣ステータスボーナス』ってなんのことだ?」
「ん、それはね、宝剣を装備している時にだけ装備者のステータスを上昇させるっていうパラメーターのこと。ちゃんと手に握っている時しか効果はないから注意して」
「ほう」
宝剣を使用している時はステータスがアップするということか。
そうなると、バックス戦で使った偽物作戦はやり辛くなっていくな。
「それはさておき、レーイチローまだクラウンポイント残ってるんじゃない?」
「あぁ、そうだな」
フィアが俺のシェアリーの窓を覗き込んでくる。
俺がシェアリーの窓を再び開くと、フィアがひょいと覗き込んでくる。
さっき宝剣のレベルアップに使ったクラウンポイントは120。
今現在、残りのポイントは237となった。
『クラス;《剣士》Lv.1
現在の保有クラウンポイント;237
習得可能クラス;
《剣士》Lv.2;必要クラウンポイント・60
《闘士》;必要クラウンポイント・60
《狩人》;必要クラウンポイント・50
《トラッパー》;必要クラウンポイント・70
【特別項目】
《宝剣》Lv.2;必要クラウンポイント・240』
「…………」
《宝剣》Lv.2の必要ポイントが240にまで大きく跳ね上がった。
ギリギリポイントが足りないな。
「んー、残りクラウンポイント237……。大分あるねぇ。でも《宝剣》Lv.2には少し足りないんだね」
「たった3だ。明日ダンジョンで魔石3つ取ってくれば済む」
「いや、連日でダンジョンに潜るのはやめな? レイ?」
「そういうものか?」
「そういうもの。普通、ハイペースで潜るにしても4,5日は休むものだよ。そうじゃないと疲労が取れないし、HPやMPも回復しきらないしね」
「そうか」
この世界では連日ダンジョンの中に潜るということは無いんだな。
「それよりクラウンポイントなんだけど、レイは《剣士》のクラスレベルを上げた方がいいと思うよ」
「そうか」
宝剣の担い手たちは宝剣のレベルもクラスレベルも上げなくてはならないのだな。
クラウンポイント枯渇しまくるだろう。
二人と話し合った結果、俺は《剣士》のクラスレベルを一気に2上げることにした。
『クラス《剣士》がLv.3に上がりました。
ステータスボーナス;
HP 57/88(+28) 攻撃力35(+15) 防御力27(+12) 魔法防御力18(+3) 速度21(+8)
Skill《スライドスラスト》を獲得しました。
Skill《三連閃》を獲得しました。
Skill《ハイ・ストロングスラッシュ》を獲得しました。
Ability《能力上昇・剣》がLv.13に上昇しました。
Ability《体力向上》を獲得しました。』
『Skill;《スライドスラスト》
飛ぶように前へと駆け出し、敵との距離を一気に詰めながら突きの一撃を放つ技』
『Skill;《三連閃》
袈裟斬り、左袈裟斬り、逆袈裟斬りの三連撃』
『Skill;《ハイ・ストロングスラッシュ》
《ストロングスラッシュ》の上位スキル』
《剣士》のクラスを得た時と同様、ステータスが上昇しながら新たなスキルを得た。
ステータスの上昇値とアビリティのレベルの上がり方が大きい。
クラスレベルも戦闘能力に大きく影響する要素とクリスが言っていたが、それも大きく頷ける。
「うひゃー、ベースLv.5でクラスレベルが3かぁ。とんでもないね」
「普通はないことか? クリス?」
「そりゃあね。普通いないよ、Lv.5で敵の宝剣何本も壊すやつ」
「そんなもんか」
「レイ、今ステータスどうなった?」
「あぁ、今日食べた分だけでも結構上がったからな……」
俺はシェアリーの窓を操作する。
『名前;零一郎 種族;人間
Lv.5 HP 57/88 MP 33/35
攻撃力35 防御力27 魔法攻撃力4 魔法防御力18 速度21
クラス;《剣士》Lv.3
スキル;《ホーリーランス》Lv.2
《
《
《ストロングスラッシュ》Lv.2
《ハイ・ストロングスラッシュ》Lv.1
《スライドスラスト》Lv.1
《三連閃》Lv.1
《マジックシールド》Lv.1
《深呼吸》Lv.1
《興奮》Lv.1
《アリジゴク》Lv.3
《ウサギ飛び》Lv.2
《カマキリスラッシュ》Lv.5
《元祖オリジナル蟷螂拳》Lv.2
《ロケットパンチ》Lv.4
《ロケットキック》Lv.1
《暴走するは我にあり》Lv.1
アビリティ;《ホワイト・コネクト》Lv.5
《精霊用ステータス》Lv.1
《能力上昇・剣》Lv.13
《能力上昇(小)・攻撃力》Lv.2
《能力上昇(小)・魔法防御力》Lv.1
《体力向上》Lv.1
《軟体》Lv.3
Crown Point;67
Base Point;68』
「うーむ……」
結構スキル増えたな。
流石はホワイト・コネクトである。
ゴーレム何体も食べたから、ロケットパンチなんて一生使う予定ないのにもうLv.4にまで上がっている。
なんだかなぁ。
「んー……」
「うーん……」
「ん?」
なんてことを考えていたら、横でフィアとクリスが首を捻りながら唸り声をあげている。
どことなく、少し様子が重い。
このステータス結果に対して何か思うところがあるようだ。
「どうした? 二人とも?」
「あ、いや……Lv.5のステータス数値じゃないなぁ、これ、って思ってさ」
「数値が?」
「うん、HPとか攻撃力とかさ……」
クリスが苦笑いを浮かべながら説明をしてくれる。
「《ホワイト・コネクト》ってスキルだけじゃなくてステータス数値も上昇するでしょ?」
「そうだな、毎回上がるな」
「それを続けているからだろうね。このステータスだと、Lv.15以上の強さがあるよ」
「そんなにか」
「魔法攻撃力はゴミだけどさ」
俺の魔法攻撃力は現在4。
仕方ないんだ。まだ魔法を使う敵に出会ったことがなく、そのせいか食べても魔法攻撃力が上がらない。
そもそも、魔法ほとんど持ってないし。
それなのにMPだけがどんどん上がっていくし。
「そういえば、今日のダンジョン5層はとても温かったな。貰えるベースポイントも少ないように感じた」
「このステータスだとね。そりゃそうだろうね」
「Lv.15だとダンジョン何層くらいでレベル上げするのが丁度いいんだ?」
「えっと……この古都都市のメインダンジョンだと、第12層くらいかな」
「よし」
話を聞いて、決心をする。
「次は第12層まで行くか」
「えっ!?」
俺がそう言うと、クリスの目が丸くなった。
「え、本当に行くの……? Lv.5の人間が第12層に?」
「今お前が自分で第12層が丁度いいって言ったんじゃないか」
「い、言ったけどさぁ……。Lv.5の人間が第12層に行くなんて聞いたことも……」
クリスは戸惑っているが、理屈が合っているのなら出来ないことはないだろう。
次の目標はダンジョン第12層だ。
そう決まった。
「……ところでさ、《ホーリーランス》とか《|不可視の壁》とか、倒した宝剣のスキル得ることが出来てるんだけどさ、これってやっぱり異常か? 《ホワイト・コネクト》の異常性であって、他の宝剣使いは倒した宝剣の能力を得られるものじゃないのか?」
「やっぱりその《ホーリーランス》って僕の宝剣のスキルだよねっ……!?」
「んんっ……? レーイチロー? た、倒した宝剣の能力まで吸収できるの……?」
「普通じゃないからっ! 敵の宝剣を壊しても、その宝剣のスキルなんて普通得られないから……!」
クリスがわっと騒ぎ出す。
なんとなく今までそういうものだとスルーしていたが、やっぱり異常なことのようだった。
《ホワイト・コネクト》があると常識が壊れて仕方がない。
「あわわわ……わ、私の宝剣は……やっぱり最強だった……」
ふるふると震えるフィアと共に、結構大きめの事実があっさり明らかになるのだった。
そうして数日後。
俺達は第12層へと向けてダンジョン攻略を開始した。
ホワイト・コネクトのステータス上昇効果はあるものの、Lv.5の人間が第12層へと向かう。そんな常識外れの攻略を行おうとしていた。
いや、Lv.15並のステータスがあるから別に無謀というわけではないのだが。
モンスターを倒しながら、古都都市のダンジョンを一歩一歩着実に進む。
俺たちの目標は、自分たちの強さに見合った敵でレベル上げを行うことだ。
俺のレベルは5。フィアは10。俺たちのレベルは未だ低い。
宝剣祭に参加しないにしても、この世界で生き続けるためにレベルは高い方がいいのだ。
丁度いい感じのモンスターを探し求め、ダンジョンを少しずつ攻略していく。
レベル上げの実感が伴うくらいの強さの敵のいる場所へ。効率の良い経験値の稼ぎ場を探し求めて、ダンジョンを前へと進む。
あともうちょっと、
あともうちょっと……。
俺たちは敵を薙ぎ払いながら、そう言って前に進み続ける。
レベル上げに丁度いいモンスターを探し求める。
そして気が付いたら……、
――俺達は第20層のボスへと辿り着いていた。
「キイイイイィィィィッ……!」
『骸骨戦士大隊長 Lv22
HP 325/325』
目の前のボス、骸骨剣士が甲高い声を上げる。
圧倒的な威圧感。強者の風格が俺達の体をぶるりと震わせる。
第20層のボスとの戦いが始まろうとしていた。
「……あれ? なんでこうなったんだっけ?」
「レイがあともうちょっと、あともうちょっとって進み続けるからでしょ!」
ぽかんとしていると、隣のクリスから苦情が聞こえてくる。
そうだった。
目標の第12層に辿り着いてもいまいち敵に歯ごたえが無かったから、もうちょっとだけ、もうちょっとだけと言って前に進み続けたんだった。
そうして気が付いたら第20層の大物まで辿り着いてしまっていた。
「キアアアアァァァァァッ……!」
目の前の骸骨戦士が大声と共に殺気を放つ。
第20層のボスとの戦いが幕を開けようとしていた。
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