第6話 元侯爵夫人を《保護》

俺は後宮の代わりの王宮の離れにある離宮に赴いた。


「うむ。其方がジュリアーニ夫人かな?」


「これは国王陛下。申し訳ございません

私みたいなものにこのような部屋を用意してもらいあいさつもできず」


「まぁ良い。其方は疲れていたみたいだ。ここで療養するがいい」


「しかし」


「侯爵家は取り潰しになった。そして其方の実家であるブルカ―ン伯爵家も借金を理由に爵位と領地の返納をし行方知れずだ。其方に帰るところはあるのか?」


ブルカ―ン伯爵家は長きにわたり商人から借金を借りては返しての状況を続けていた。そしてその状況打破しようとした伯爵は貴族たちからお金を借りようとしていた。

この国はどんな身分の者でも借金は踏み倒してはならないと王令を公布しており踏み倒せない。

商人から借りれば利息は膨らむ。だが貴族から借りれば利息は付かない。信用を売ればいいのだ。

だが借金を返したが領地の経営がうまくいかず借金をまた借りて破産。

俺に領地と爵位を返し返納金(退職金)で借金を返し行方を晦ませた。


「ジュリアーニ夫人。貴方には三つの選択肢がある。

一つに、新たに設置される後宮に入り娘さんと暮らす。

二つに、この離宮から離れ娼婦として暮らす。

三つに、バジル侯爵が犯した罪で連座制でご家族一緒に薄暗い監獄で暮す


さぁ。どれを選ぶ?」


もう帰る家はどこにもない。

野垂れ死ぬか。娼婦として生活するか。王の意に背いた罪で収監されるか

野垂れ死ぬのが一番かもしれない。

娼婦として過ごすのももと貴族としては最悪だ。

収監されるにしても釈放されるにしてもこの国一番の罪を犯した犯罪者と言う烙印が押される。

その答えは。


「後宮に入ります」


「うむ、ではそのように言っておく。侍女も4,5人つける。」


「あの。夜の方は...」


「自己希望でたのむ」


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