第6話 軍改革

軍での問題を言ったらやはり装備が貧弱なことだろう。


アーチボルド領軍は少し名の通った盗賊団と同じぐらいの水準だ。


この問題はアーチボルド家だけでなくほかの家でも同じことが言える。


領軍は見た目は派手で強そうに見えるが中身は3世代前の装備がほとんどだ。ひどい場合には5世代前の中身というのもざらにある。


教育体制が改革によってある程度整い、汚職も摘発した結果予算が適切に運用され少しずつ装備の質が高まっている。


それでも今までは、経済の立て直しを優先して領軍には盗賊団を討伐できる最小限の装備しかいきわたっていない。


この問題を一気に解決する。この世界での戦争方式は前世というよりも、ロボット漫画のほうが近い。


軍の花形は魔力駆動人型決戦兵器の部署だ。簡単に言うとガ〇ダムだ。この兵器の支援として歩兵や魔導士などがいる。


改革を始めたら行政府だけでなく、軍司令部のほうにも顔を出しとかないとなぁ。これまでも顔は出していたんだが、優先は行政の方だったからなかなか顔を出せなかった。


そのせいで俺は軍を嫌っているという噂まで一時期出ていたほどだ。


「アイ、この前に言っていた軍の改革についてなんだが」


「軍の改革については軍上層部と連携し行うことになっています。内容といたしましては、軍事兵器の研究所、陸・海・空が統合された軍司令部、そしてより高度な軍人やパイロットを育成するための教育施設が挙げられています」


それを聞くと俺がやることってほとんどない気がするんだが…。


そういえば、軍と聞いたら諜報機関というのも思い浮かぶんだがちゃんと存在しているのだろうか。当主になってから聞いたことがない。


「改革についてはわかったんだが、諜報機関ってこの領内に存在しているか?」


俺が知らないっていうのは問題だが、さすがに存在しないってことはないだろう。


「いえ。存在しません」


「は?なんだって?」


「存在しません」


動揺しすぎて聞き返してしまった。

さすがにあると思っていたんだがあり得ないだろう!


「アイ!すぐにでも諜報機関を設立するぞ!」


「ですが皇族以外に持っている貴族はおりません」


「皇族以外に持ってはいけないという法律はあるのか?」


「いえ、ないですが…」


まさか皇族しか諜報機関を持っていないとは思っていなかった。


まぁ、国のトップからしたら部下が勝手に諜報機関を持ってるとか嫌だろうな。


法律に触れないんだったら問題ない。この国は戦国時代のような群雄割拠の時代を経て今に至っている。


今もどこかに諜報経験を持っている一族や人物がいはずだ。


早く探してスカウトしなければ。ここで諜報機関を使って領内外の情報を得られるのはかなり大きい。


この組織は軍とも連携できるようにした方がいいだろう。戦闘でのプロといったらやはり軍人だ。軍人が若くして退役し、諜報機関に入るのはよく聞いた話だ。


まだまだやることが多い。



――10年後


経済の立て直しを行った時よりも財政が安定していたためか、順調に領軍は強大な軍に成長した。


やはり、元手があったほうが軍事費にも予算を多く振れるしいいことずくめだ。


軍を強化して最初にやったことは被害を多く出していた盗賊団の討伐だ。昔は冒険者という職業の者たちが討伐していたんだが、技術が進歩して個人ではとてもかなわないほど盗賊団は強くなった。


その結果、冒険者は魔獣退治が主な仕事となり人を殺すなどというのにかかわるのは減っている。


今まで駆除していなかったから盗賊団はさらに巨大化したんだろう。


そんな盗賊団も年々数を減らしている。領軍が実践演習として盗賊団を討伐しているのだ。


10年前は100以上の盗賊団があったが、今は片手で数えるほどもいない。


治安もよくなり経済もどんどん成長している。治安が悪く今までこの領で売ることができなかったものも売れるようになり市場の規模が年々大きくなっている。


今ある街の開発はほとんど終わり、今は領内の未開発地帯を切り開いている。


出生率が上がり、さらに他領から引っ越してくる人も多くなったおかげで人口は4000万人から2億人に爆増した。


4000万というのは俺が5歳の時だがな。


このせいで面倒なことにもなった。経済と盗賊団討伐の実績をもって皇帝陛下から勲章をいただくことになったのだ。


そのためにわざわざ片道3日もかけて帝都に行かないといけない。—―その間ブレンダはどうするんだ!

なに?ブレンダの招待状もある?ゆるさんぞ!かわいいブレンダか大衆の目にさらされて襲われたらどうする!


絶対に連れて行かんからな!



俺は反対したんだがブレンダが

「にいさまのかっこいいところみたいです!」というから仕方なく連れていくことにした。


ぐへへ。あんな風に頼まれたら兄さまは断れません。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

読んでいただきありがとうございます。


アラン「絶対にダメだ!ブレンダは連れていけない!」


ブレンダ「兄さまのかっこいいところみたいです!」

おめめキラキラ


アラン「し、仕方がないなぁ。ぐへへ」


アイ「シスコン当主様、キモ」ボソ


4/17 18:00に次話を予約投稿しました。

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