第5話 ブレンダと領内
飛翔流と魔道の修練に政務を行う生活に慣れ、時間ができた。
修行の時間に充てるのもいいが、ブレンダに会っておいた方がいいだろう。
原作では性格の悪い女だったが、今はまだ5歳だ。これからの教育でなんとでもなる。
「ブライアン。これからブレンダに会いに行く」
「かしこまりました」
引っ越しや役人の粛清などやるべきことが多すぎてなかなか会う時間を作れなかった。
赤ん坊の時に一目会っただけだから、まずは自己紹介からだろうか。
そう思っているうちに、どうやらブレンダの部屋についたみたいだ。
部屋からは楽しそうな幼い子供の声が聞こえる。
久しぶりに会うから楽しみだ。
コンコン。
「ブライアンでございます。アラン様をお連れしました」
「どうぞ、お入りください」
部屋に入ると女の子がメイドに絵本を読んでもらっていた。
「ねーねー。このあとおひめさまはどうなったの?」
「それはですね――」
どうやらメイドが俺に気づいて対応に困っているみたいだ。ここは名乗り出るべきだろうか。
「ちょっといいな?」
「ん~?にいさま?」
ブレンダは俺がこの部屋にいるのが不思議なのか首をかしげながらこちらを見ている。
かわいい。
「そうだぞ~。俺が兄さまだぞ~。元気にしてたか?」
「はい!ブレンげんきしてた!」
俺の顔を知らないと思っていたがポットには一度入っているみたいで、家族のことや基礎的な教養は学んでいるみたいだ。
「ブレンね、いま絵本呼んでもらっていたのー」
「ブレンダは本が好きなのか?」
部屋を見るとたくさんの絵本が散乱している。見るからに本好きなのはわかるが、話題が出てこない。—―こんなところで会ってない弊害が出てくるとは。
これからは時間を作ってブレンダに会いに来よう。
「アラン様、面会時間が来ましたので」
アイから予定が詰まっているといわれるので今日はこれまでか。夕食は一緒に食べれるだろうからその時に話そう。
「悪いな、ブレンダ。夕食は一緒に食べれるはずだからその時にお話ししよう」
「はい!わかりました!にいさま」
そういうと、少し寂しそうな顔をした後、ブレンダは俺に手を振った。
部屋を出て俺はアイを呼び出してどうにかブレンダと一緒にいられるように話した。
「アイ、どうにかブレンダと会える時間を増やせないか?さすがにこの年齢の子供を一人にするのは教育に悪いだろ」
「使用人がついているので問題ありません。一緒にいたいならさっさと領内を立て直してください」
ド正論で返され返答に困っていると応接室が近づいてきたので気持ちを切り替え、アイから今回の面談の詳細を聞くことにした。
「そういえば、今回会う商人って誰なんだ?」
「はい、これから会っていただく商人はアーチボルド領を中心に活動している、凄腕の商人です。アラン様が嫌っている奴隷商売などの後ろくらいものはないと家訓も取れています」
役人たちを粛清してからしばらくは違法行為をしている商人ばかりに会っていたから疑っていたが、安心した。
奴隷とか、違法としている薬物を売っている商人は根絶するべきだからな。
話を聞いた後、部屋に入るとさっき話していた商人がすでに部屋にいた。
黒髪で見たところ顔立ちは整っている。身長は180㎝程だろうか、体型も鍛えているのか引き締まっている。
彼は席を立ちこちらにお辞儀をし挨拶をしてくる。
「この度はお時間をいただきありがとうございます。私はジョーブランド商会会長を務めさせていただいております。カールと申します」
「俺は知っているとは思うが、アラン・アーチボルドだ。お前の噂は聞いている。よろしく頼む」
この領で1番の規模を誇る商会の会長だと緊張していたがこの調子ならこれからもやっていけそうだ。
「早速で悪いが、今行っている改革はこれからさらに加速させていくつもりだ。この改革の成功のためにもぜひ、ジョーブランド商会にも参加していただきたい。もちろん、そちらにもメリットはある」
「なるほど、顔見せだけのつもりでしたがそういうことならば」
挨拶の後、すぐ改革に参加するよう要請したからか少し戸惑った様子を見せたがすぐに持ち直し、こちらの話を聞く。
「今の商会での主な収入源は建設、農作物の販売だろう?特に農作物は需要がなくなることはないが不作の年は収入が激減する。不安定な収入のほかに安定した収入が欲しはずだ。俺たち行政側はこの資料のような改革を行い様々な産業を発達させる」
そういって俺は役人たちが作った資料をカールに渡した。
それからは商会が改革に参入しやすいように制度の見直しを役人たちと行うようにと頼んでおいた。
娯楽品の販売もジョーブランド商会は行っているようで、俺も定期的に担当者が屋敷に来るよう手配してもらった。
◇
もう今世は30歳になる。気づいたら前世での年齢を越えてしまった。まだ小学校に入るぐらいの体格だけど。
ブレンダとも毎晩時間をとって会うようにしている。話しているときの表情を見る限り嫌われていないと思いたい。
もし、これで嫌われていたら死ぬ自信がある。
領内も順調に改革が進んで、発展してきた。
改革中でも不正を行う輩はいるもので、改革を始めたころに予想していたペースでは進まなかったものの許容範囲だ。
ジョーブランド商会も領内が発展していることに合わせてどんどん成長している。
最近は隣の領にまで進出しているみたいだ。
飛翔流と魔導は教えることがなくなってしまい、師匠とフレン先生は地元に帰ってしまった。
またに屋敷へ顔を出すが。
あと20年もすれば帝都の幼年学校へ通うがその前に、1年ほど他の家に出向しなければならない。
その時へ向けてアイやブライアンとの調整中だ。
原作では荒れ果てていた領内がここまで発展できたということは、アーチボルド家没落を防ぐ希望が見えてきたということだ。
原作への修正力とい不確定要素には注意が必要だが。
最近の問題は発展した結果、他領から来る盗賊団だ。
貿易団を襲撃したりなどいろんな被害が上がっている。装備も貴族から奪ったのか、旧式の旧式の兵器を使ってくることも珍しくない。
衛兵だけでは手が足りなくなってきた。
領も発展し、十分軍を支える経済力はついただろうからこれからは軍を強化していくつもりだ。
この世界は魔法があるからか前世では実用化されてなかったさながらSF映画で出てくるような兵器がわんさかある。
それに世界最強の軍隊といのも憧れる。
アイに相談して軍の改革を始めよう。
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