第拾四階層 麺と血


とある悪魔


ふぅ・・・。

このチャーシュー麺というものはなんて美味なのだろう。

箸とレンゲは、なんとか近くにいた客人の動きを見て学んだ。慣れさえすれば使い勝手の良い道具だ。


薄く切られたこの肉・・・、しっかりと味が染みこんでいて口の中でとろける。麺という長いやつはススルのが難しいが、ラーメンの汁と良く絡んでいて、触感も良い。


主であるリュウイチの血も美味だが、これはこれで・・・。


チャーシュー麺の味を堪能しているとリュウイチも料理を頬張りつつ何やら不思議な物で流し込んでいた。小麦色の泡立っている飲み物とニンニク臭いギョーザ、ニンニク臭いレバニラ、ニンニク臭いから揚げどれもこれも強烈な匂いを放っている・・・。


だが、不思議と嫌じゃない。

ギョーザ、レバニラ、から揚げとそれぞれ一口もらったが、美味であった。チャーシュー麺には及ばなかったが、どれも旨かった。


私は今日チャーシュー麺が至高だと確信した。

そしてその日は、料理を主と楽しみ、ダンジョンで戦う時間とは違う楽しい時間であった。



私はダンジョンで生まれた。


この事だけは主は知っているというか主によって召喚されたのだから当たり前か・・・。

でもまだ主には全てを説明したわけではない。面倒だしね。


私の記憶はほとんどない、なにせ生まれたばかりなのだからな。でも、おぼろげな意識だけはあったような気がしている。なんとなくだが、人の欲望をただただ感じていた気がする。

そして、何日経ったのか、何年、何十年経ったのかも分からないが急に意識が引っ張られて主によって私が召喚された。


私は人から悪魔と呼ばれている存在で厳密には何と聞かれても私には明確には分からない。ただ、私が人々の欲望が集まり一つの形になった存在であるという事だけだ。

なので、このダンジョンで活動していた攻略者の影響を強く受けているみたいだ、どうも男が多かったので性の対象である女性の姿になり、性への欲望が大きかったのだろう、容姿が整っているのはそのせいだろう。でもまだまだ魔素が足りないので身体は幼いし力も弱い。

もっと私の魔素が大きくなれば、強く美しくなって主をメロメロな骨抜きに・・・。



まあ、容姿は良いに越したことはないので当たりだったといえよう。主もちらちら私を見ているのできっと主の好みでもあるのだろうし、良い容姿をしているに違いない。

ただ、その割にはなかなか手を出してこないのは良く分からない・・・。

幼いからか・・・、これぐらい幼いのが好きな男もいる予感がしているのは間違いなのか。



そう、それによって私が覚醒してその日「ソフィア・ルスト」となって生まれたのだ。


私は「主」と共にあり、「主」が私の「全て」だ。だから私はその「全て」を手に入れたい。

そう強く願い考えるという事は、私の生きる目的はきっとそうなのだろう。


はあぁ・・・、早く主が私の魅力に気付いてくれないかなぁ。

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