第九階層 出会いと握手
「ん?召喚されたと思ったらなんだ雑魚がおるではないか。頭が高いぞ。」
先ほどまでの威厳のある声とはまったく似ても似つかない可愛い声でゴブリンソルジャー達を一瞥する少女。
未だに俺に背を向けている為、顔は分からない。
服装はスクール水着のようなぱっつんぱっつんな服を着ていて、サキュバスのコスプレしている感じだ。
銀色の髪、綺麗な声ぐらいは普通なんだが、背中から小さいがしっかりと蝙蝠のような羽が生えている。
小さな女の子がこんな水着のコスプレをしていて寒くないのか?おしりも半分ほど出ている格好で精神衛生上良いのか?
俺は自覚していなかったがこんな「いけない性癖」があったのか色々頭をめぐる。
「うむ、うぉーみんぐがてら相手をしてやろう」
そう言うと、ゴブリンソルジャーに向けて手をかざす。
「舞え」
そう一言つぶやくと、ゴブリンソルジャー達は血を撒き散らしながら吹き飛んで行った。
「ヒ・・ヒデブ!」
懐かしい名言を言いながら吹き飛んでいくゴブリンソルジャー達・・・。
「ふうぅ・・・、まぁこんなものか。」
そんな様子をただただ唖然と見るしかなかった俺。
魔法なのだろうか、俺には良く分からないが一撃でゴブリンソルジャー達を血祭りにあげた少女がゆっくりを振り向く。
「我と契約せしあるじよ、代償をもらうぞ。」
ゆっくりと歩いてくる。少女・・・。いや美少女か・・・。
ん、先ほどよりも少し小さくなってない気がする、今は大体幼稚園の年長さんぐらいだろうか。
ゆっくりと近づき、ふいに俺に抱き着いてくる。
予想していない展開が続いていたため反応できず固まっていると、ふんわりと香る甘い匂いがした。
ふと匂いにつられて油断していると、痛みを感じその直後、何とも言えない快感が全身を満たす。血が抜かれているのか、脱力感に近い快感・・・。
不思議な感覚にさらに戸惑う。
「ふう・・・、なかなか美味であったぞあるじ。」
にこりと笑う美少女の顔に見とれつつ、脳内で情報を整理しようとしてさらに混乱するのであった・・・。
―数分後―
「ん~・・・。」
頭を抱える俺、目の前には先ほどの美少女というか幼くなっている美幼女・・・。
よく見なくてもなかなか犯罪的な格好をしている。
もちろん、俺が犯罪者だ・・・。
「あるじよ、ナニをそんなに悩んでおるのだ?ワタシとせっかくケイヤクできたんだぞ。」
「ん~、それはそうなのか・・・。」
たしかに筋肉ムキムキなおっさんな悪魔だったらたしかに嫌だけれども・・・。
これはこれでちょっとな・・・。
「ワタシのコトキライなの・・・?ケイヤクをカイショウするの・・・。」
瞳をウルウルとさせ上目遣いで俺を見てくる幼女。
「そ、そんなことはないんだけれど・・・。」
対応に困る。
何もしていないのになんか罪悪感が湧いてくる。おっさんが悪魔とはいえ、こんな幼女とダンジョン攻略というか一緒に行動するのもな・・・。
「ワレもガンバルから・・・。」
そう言って俺に抱き着いてくる幼女。
ふんわりといい匂いがする。そして、俺の耳元で妖艶につぶやいてくる。
「あんなコトや、こんなコトも・・・。」
俺自身の欲望がぞわりと搔き立てられる。が、冷静に引きはがし深呼吸を行う。
ふぅ、危ない危ない本当に法律的にもアウトになるところだった。
「いや、遠慮しておく、俺ロリコンじゃないし。」
こんな幼女に欲情する方がおかしい、そう思い直して冷静さを取り戻した。
「な・・・、あるじのカイショウナシっ!血くれろ!」
驚きつつも物騒な事を言ってぷんぷんとする幼女ことソフィア。
「とりあえず、今後ともよろしく。」
そう言ってソフィアと握手をするのであった。
一瞬固まったと思うと笑顔で俺の手をそっと握るソフィア、俺はまだまだ小さく柔らかい手をやさしく握りかえすのであった。
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