第七階層 試験と混乱

さてさて、二時間ほど待たされてようやく俺の番になったようだ。

そう、俺は試験官肩を叩かれ目が覚めた。


「試験中に何しているんですか・・・、緊張感というものがないんですか・・。

まぁ、自己責任ですので月に構いませんが、自分で挽回してください。

では、試験を始めてください。番号は33番になりますので頑張ってくださいね。」

試験官は俺を何度も呼んでいたようで、試験前に居眠りをしている俺に対して呆れ気味だった。


すいませんと平謝りをしつつダンジョンへ向かう。


「とりあえず、は3階層まで行くか・・。」


とりあえず、俺は寝起き直後なので口の周りについたよだれを拭きつつ、

硬くなった身体をほぐしながらダンジョンに入っていく。


始まったは良いが、とりあえず第3階層まで行くのが最優先か・・、と思いつつも奥へ行くといつもよりゴブリンがいる気がする。

そういえば今日は受験者の貸し切り・・・。

と、いう事はいつもより人が少ないはずっ!!


3階層を目指しつつも目に付いたゴブリンを次々と襲っていく。

ステータスが上がったことで、気が付かれても襲われる前に撲殺できる。前までは両手じゃないと厳しかったが今では片手で振ったこん棒でもゴブリンの頭を簡単に粉砕して真っ赤なシミを大量生産できる。



安易な気持ちでどんどんゴブリンに襲い掛かっていく。

どっちがモンスターか分からないが、俺の収入のため糧となってもらおう。



―数時間後―


ふう、ようやく第3階層に着いた・・・。


俺としたことが少しやり過ぎてしまった・・・。

絶滅される勢いで乱獲しすぎてしまったようだ。少し時間を使いすぎてしまった。

早くゴブリンソルジャーを狩って魔石を取らないとな。


1・2階層には普通のゴブリンしか出ない。今までは、第3階層は出入り禁止だったので少しワクワクして周りを見渡しても第1・2階層内装やら雰囲気はそんなに変わらない。


まずはゴブリンソルジャーを探すため少し歩きはじめる。

そいつは、普通のゴブリンよりも頭一つ大きく簡素な防具や武器を持っているとの事だ。


ゴブリンソルジャーはゴブリンよりもさらに人間に近くなり、力も人と同等以上になるらしい。

特に気を付けないといけないのが集団で徘徊しているので囲まれないようにしなければならないとか。

囲まれないように戦えば苦戦するようなモンスターではない。と、講習では説明であったな。



と講義の内容を思い出しながら奥へと進んでいく。



「ギギッ」


200m先ぐらいにゴブリンが1匹いた・・・。


集団じゃないのか?と思いつつも、一旦立ち止まりゴブリンを確認してみる。

遠くて詳細は見えないが茶色い服?防具?を着ており、手にはこん棒を握っているゴブリン一体がいた。



どうやら早速ゴブリンソルジャーを見つけた・・。



なんか今更ながら汗が出てきた、額と手から脂汗だろうかじっとりしてきた・・。

これは徹夜している場合じゃなかったと激しく後悔の念が込み上げてくる。


ソルジャーゴブリンといえど、ゴブリンより多少大きいぐらいなので問題ないはずと自分に言い聞かせる。ただ、普通のゴブリンよりも一回り大きいので風格というか嫌なプレッシャーを感じる。


さらに近づこうと恐る恐る近づいていく。


そろそろ一気に間合いを詰めて先手を取ろうと走り出そうと一歩目を踏み出そうとした時、

まさかの何も無いところでつまずき、緊張感でガチガチになっていた足が思うように動かずド派手に倒れてしまった。



「!?」


倒れた衝撃で少し落ち着きを取り戻し、前を向くとゴブリンソルジャーがこちらに向かって走ってきている。



どんどん近づいてくるゴブリン達。


んっ!?

ゴブリン達っ!?いつの間にかゴブリンが増えている。

ゴブリンソルジャーに続いて後ろから3体ほどのゴブリンソルジャーも付いてきていた。


合計4体のゴブリンソルジャーだ・・・。


どこに隠れていたのか、まったく気が付かなかった。

講義の内容通りでソルジャーゴブリンになると集団で行動するぐらいの知能があるらしく、個体の強さよりも集団での行動が増えるためゴブリンよりも強さと危険度が跳ね上がるらしい。


と無駄な思考をやめてすぐに戦える態勢になる。


動ける態勢になったもののどうしたら良いんだ?緊張のせいで完全に頭が真っ白になっていた。



汗で棍棒の感覚がない、


いや、違う。倒れた拍子で棍棒を落としていた。


「リュウイチは棍棒を落とした。」さもゲームさながらのテロップが頭の中に流れた。


やばい!?

俺は冷静さも無くし、混乱した。

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