第拾一階層 世間と噂
とある中小企業の休憩室
30代の女性二人がお茶を飲みながらいつもの日課のごとくコソコソ話をしている。
「ねえねえ、知ってる?あの窓際課の根暗な人辞めたんだって」
「へぇーそうなんだ。でも、居ても居なくても大丈夫でしょ。
あの課あってもなくても大丈夫だしさ。」
「んー私もそう思ってたんだけど、 どうも少し問題が起きているみたいよ。
窓際課の課長がさっき部長にこっぴどく絞られてたって聞いたし。」
「ふぅーん、まあうちらの課には関係ないし良いんじゃない。
全員辞めても大した影響力もないでしょ、窓際なんだしね。」
「そういえば、根暗の人の名前ってなんだったっけ?」
「朝日野さんですよ。」
「びっくりしたー、なんだ月野さんじゃない。実はね・・・。」
彼女たちの噂話は今日も尽きない。
とある中小企業の会議室
「どうなってるんだね、説明してもらえないだろうか・・・。」
眉間に皺を寄せて会議室に座っている不機嫌な感情を隠しもしない部長。
その前には脂汗をかいてはハンカチでぬぐっている課長。
「そのですね・・・。担当者が急に会社を辞めまして・・・。」
「書類上はその担当者はまだ会社にいるはずでは?」
「いえ、書類に不備があったと言いますか、なんと言うか意思疎通のズレというか・・・。」
「では、10以上もある案件に対して君はほぼ全て不備があったという事になるのだが・・。」
理論で詰め寄る部長。
逃げれない課長。
コッテリ絞られ、肌がカサカサになったころ会議室を後にするのであった。
「まったく、窓際と言ってもここまでひどいとは・・・。」
一人会議室で愚痴る部長であった。
トボトボと自分の席に座り、空いた席を見つめる。
朝日野か・・・、何かと口答えするが仕事はちゃんとやっていたんだな。
今更ながら彼への評価を改めてももう後の祭りだった。
未だに頭がお祭り状態の男のいるのだが・・・。
「やっぱこの課は俺が背負っていかないとな。アイツじゃ無理無理ww(笑)
そうそう、野原この件どう?まだ終わってない?いいから早くやれよ」
意気揚々と部下に指示だけ出す福田に頭を痛めるのだった。
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