第九階層 若者とおっさん、ときどき友人

その後も順調にゴブリンを見つけては頭にこん棒を叩きつける。

最初は無駄に力を込めていたので、ちょっとスプラッターな死体が多かったが、今では丁度良い感じに力が抜けてゴブリンの顔を陥没させる程度にしている。


そんなこんなでゴブリンの魔石を指定された個数10個溜まった。

次の筆記試験は到着順に受けれるので早めに戻った方が試験時間が長くなるので急いで戻る。


道中いるゴブリンもとりあえずこん棒で撲殺して魔石を拾いつつ地上へ戻ろうとしていた。



「おいっ!そこのおっさん」

急に大学生らしいグループに声を掛けられた。

ほとんど声を掛けられないのでビクッ!となってしまったのが恥ずかしかったが、年上の威厳を保つかののようにキメで顔を向ける。


「さっきテメエ俺らの事ガンつけてたろ、本来ならボコりたいけど魔石をよこしたら許してやるよ」


まさか・・・、久々に声を掛けられと思ったらカツアゲ的なやつだった。


しかも、なんて言いがかりだろう・・・。

ジェネレーションギャップってやつなのか??

俺的には微笑ましく見てただけなんだけどなぁ・・・。


「あぁ?いいからよこせよコラぁ。」


まあ、厄介ごとは面倒なので、余っている4個ほど置いておく。

「これでいいかな・・・。」


「ちっ、4個か、まあいい失せろシケタおっさん。あとこの事は誰にも言うんじゃねんぞ。」


頷いて、その場を離れる。

とんだ災難に巻き込まれた・・・。

まあ、余ってた4個で満足してもらえれ良かった。



その後、無事にゴブリンの魔石を10個ギルドの職員へと私筆記試験会場へ向かった。


筆記試験会場は、まあ普通の試験会場だった。

既に何人か座って試験を始めていた。その中にはヒカルもいた。


とりあえず、席に着き筆記試験を始める。

最初は適性試験と一般常識か・・・。

それを受けた後簡単なダンジョンの規則を〇×で答える比較的簡単な試験だった。



時間にも余裕があったのでミスがないか見直して解答用紙を職員へと渡した。

これで、試験は終わりかぁ・・・。


ただただ、この年になっても試験だもんな、少し肩に力が入ってたせいか疲れた・・・。



試験後は特にやることも無いので夕刻のバスの時間まで自由時間だ。

ちょっとした休憩所があったので、そこに入る。


まだ数人程度しかいないので、ヒカルを控えめに手を振って空いている席を勧めてくれた。


休憩所はちょっとしたレストランになっているので十分に広い。

料理、飲み物ともかなりの割高だが、不自由なく和食・洋食・中華とわりかし何でもそろっている。もちろん、酒も置いてあった試験会場なのに・・。


と思いつつも、せっかくなのでヒカルと一緒に生を頼む。


高級店のようなものは流石に無いが、俺にとっては十分に満足できるレベルだ。



一杯目を飲み終えるころ、ようやくマサが戻ってきた。

そのころには、既に大半の試験受験者も戻ってきたようでチームの勧誘や、ナンパしている強者もいるようだ。


パーティーを組むと効率的にダンジョン内の探索、進行が行えるようになり、より深層へ行くことが可能になる。

もしかすると俺も今後、研修期間が終われば基本的に冒険者はパーティーを組んでダンジョンに行くことになる。



「お疲れさん!試験はどうだった!?」


掛け声と同時に隣の椅子に座ったのは先ほど知り合ったマサだ。


既に生を頼んでいたようで、既に手にはジョッキが握られていた。

とりとめのない話をしてマサが生を一気飲みしたところで、バスへの移動が告げられた。


試験結果は一週間以内に連絡するとの事。

もし試験に受かった場合は、今日から2週間の身研修用ダンジョンへの立ち入りは許可されるが、その後は指定されたダンジョンでの攻略が義務付けられるとの事だ。



まあ、あとはなるようになるだろうという事で、その後三人で軽く飲んでから帰宅するのであった。


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