第七階層 痛みと癒し

三日連続でダンジョン攻略をしたせいか、月曜日は全身くまなく筋肉痛になっていた。

学生時代に幾度となく体験した久々の筋肉痛に懐かしさも感じつつ、痛みが引くまでにはまだまだ時間がかかりそうだ。

むしろ、この痛みに慣れておいたほうが良いのかもと思ってしまう。



それと、気のせいか贅肉も少し落ち、代わりに少し筋肉も付いたような気がする。

そして憂鬱な月曜日を迎える。


憂鬱な月曜日、仕事のキリが良い所で一息つくため休憩室へと向かう。


「朝日野さんお疲れ様です。」

ふと、休憩室でコーヒーでも買いに来ていると声をかけられた。


「どうも、月野さんもお疲れ様です。」

この会社で唯一俺に声をかけてくれるのは彼女だけだろう。


新人研修で少し業務を教えたことのある彼女は、見た目も良く性格も良い。

特に外見はこの会社に似つかわしくないほど容姿端麗だ。

しかも仕事の覚えも良いので、なんでこの会社に入社したのか疑いたくなる。


「朝日野さんは今日はいつにも増して疲れた顔をされているので大丈夫ですか?」

こんな風に俺みたいな根暗な先輩社員にも気を使ってくれる良い子である。


「ああ、ちょっと最近運動を始めてねそれもあって少し疲れが残っている感じかな。」

運動という名の撲殺ですが・・・。


「そうなんですか・・、あんまり無茶しないようにしてくださいね。」

心配そうな顔で俺を見てくる彼女にドキリとしつつも、自販機から缶コーヒーを取り出す。


そんな幸せな時間を潰す奴がやってくる。


「先輩、そんな事している暇あるんですか?頼んだ仕事終わってないですよね?」

福田だ、俺はお前の部下じゃないし、そもそもその仕事は元はと言えばお前のなんだが。



「あぁ、もう戻るよ。じゃあ月野さんも頑張りすぎずね。」

怒りを抑え、話を切って自分の机への戻る。


俺が戻ろうと歩き出すと後ろから声が聞こえる。


「ところで、月野さん今度の週末空いてる?」

結局それ狙いだったのか・・・、福田は彼女目当てで休憩室に来たようだ。

まあ、この会社のほとんどの男連中は月野さんに好意がある。無い方が珍しい。

なんなら妻子持ちでも彼女に迫る強者もいるぐらいだからな・・・。


「すいません、何度も誘ってもらっているんですが空いてないです。私も仕事に戻りますので失礼します。」


そんな誘いも慣れたもので簡単に断って彼女も仕事へと戻るのであった。

あそこまで断られてるのに追いかけるアイツも凄いな・・・。

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