第六階層 世間と噂

とある中小企業の休憩室


30代の女性二人がお茶を飲みながらコソコソと噂話をしている。


「ねぇ、知ってる。例の窓際課にいるあの人また課長に怒られてたみたいね・・。

 しかも怒られた挙句にせっかく入った部下を後輩に取られちゃったんだってさ・・・。」


「へぇーそうなんだ、でもあの人あの課では一番マシな方じゃなかったっけ?」


「まあ、あの課長さんだからね、愛想が良い後輩君の方を気に入っているみたい。

 あの後輩君が自分の都合の良い様にしか言わないから余計に評価が高いみたいよ。」


「あの後輩君は顔は少し良いもんね。

 あの人はちょっと普通というか、少し根暗っぽいからね。」


そんな他愛もない話でいつの間にか音量も上がり盛り上がる休憩であった。




とある研修用ダンジョンの食堂


攻略者になったばかりの大学生が休んでいた。

講義をすっぽかしてバイト感覚でダンジョンに来ているようだ。


「おい、聞いたか。」


「また、鬼が出たってな・・・。

 この研修用ダンジョンはネズミ型モンスターしか出ないはずなのにな。」


「しかも、なんか叫びながらネズミを潰し回ってるみたいだぞ。

 その振り下ろした振動が地面にも伝わって遠目で見た奴の足元も揺れてたとか・・・。」


「マジかよ・・・。怖すぎるな。

 ギルドもその正体を調べようとしてるみたいだけど今のところ進展はないってよ。」


「平日は出ないらしいから俺らは平日だけ攻略してれば大丈夫だろう。

 明日は金曜日だから明日攻略したら2日間は休みってことにしようぜ。」


この三人の新米攻略者は金曜日に意気揚々とダンジョンへ入っていった。

翌日、この三人はすぐに青い顔をしてダンジョンから出てきた。

レンタルした道具を返して、足早に家に帰って行ったのは後のお話。

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