第三階層 魔石とお金

換金された現金は銀行口座へ送金される仕組みとなっている。

そのカードには事前に俺の銀行口座が登録されているので、自分の攻略者カードを係の方に手渡す。



「承知いたしました、全ての魔石を鑑定しますと26,000円になります。そこから手数料10% を引いた金額23,400円を口座へ送金いたしました。こちらの領収証をご確認ください。」


その後、研修中の自分に配布されているレンタルの防具と武器を返却しに別の受付に行く。


「本日もお疲れ様です。番号と貸出し品の確認をいたします。

 防具・武器の損傷等は無い事を確認いたしました。本日の攻略お疲れ様でした。」


順調に手続が終わり、疲労で身体の重たさを感じながらバス停へと向かった。


この研修用ダンジョンは市街地から少し離れているため、俺の家の最寄り駅から電車で30分、バスで30分ほどかかる。

バスは一時間に一本あるとは言え少し遠い・・・。


まだ夕刻前なので帰るには少し早のだろうか、バス停には人はあまり並んでいなかった。

今日はいつもよりモンスターを倒したせいか、疲労がたまっており出来れば座りたかったのでありがたかった。


数分後にはバスが丁度来たのでバスに乗り込み、

ふぅ・・・と一息つきながら深々と座席に座る。


今更ながら領収証の金額を簡単に確認し、肉体労働で得た金額に満足し充実感に浸りながらポケットに仕舞いこんだ。



簡単にお金が稼げると思いそうだが、このダンジョンは特例中の特例みたいだ。

普通のダンジョンはかなり危険で、今までは政府関係者のみで攻略を行っていた理由の一つにある。


しかし、ダンジョンの発生と攻略のバランスが悪くなり攻略者の人員確保も必要という事で一般公開が開始された。

モンスターが落とす魔石だけでもお金になるので、お金に困った人や半分ゲーム感覚で一般の人が攻略者になる場合も多い。


ただし、ダンジョンの適性がある人に限るのだけれど・・・。

適正有という事が最低条件であり、そのダンジョン内には凶暴な生き物:モンスターと戦う胆力も併せて必要になる。


まあ、俺が今攻略してる研修用のダンジョンは大きなネズミ型のモンスターしかいないので、

胆力もいらないし緊張感もないんだけどね・・・。



この一年でダンジョンへの適正と研修さえしっかり受ければ誰でもダンジョンに入る事を決定した事により、一気に攻略者の人口は増えた。


しかし、冒険者が増えても研修用のダンジョンは全国でもここS県の寂れた町にしかない。

そのため全国からどんどんと攻略者が集まってきているので先ほどのギルドも毎日混雑している。



そのせいもあってか組合も研修用にいる攻略者の上位から順々に次の難易度である見習い用のダンジョンへ異動してもらうとの事だ。


その試験が近々開始するとも噂程度では聞いている。

はあ、運動と副業程度でした考えていないのであんまり危険なダンジョンへは行きたくないのだけれど・・・。


そんなことを考えていると駅に到着した。

その後、アパートの最寄り駅に向かうため電車へと乗り込むのであった。

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