研修編

第一階層 ダンジョンとおっさん

洞窟の中、一人の男が歩いている。

洞窟の壁には、不思議なキノコが光り周囲を照らしている。

そのため、光源のない洞窟でも周囲を見渡せるほど明るい。


大人が4・5人横に並んで歩けるほど広い空間が不規則に伸びて奥へ奥へと続いている。

その空間は蟻の巣のように入り組んでいるが、出口だけは分かるように均等に矢印が設置されていた。


風はなく、しっとりとした空気が肌に当たる。

少し息苦しさを感じるが、さして問題にしていない。


そんな洞窟の中、しかり“ダンジョン”と呼ばれている空間で俺の声が響く。


「あのクソ野郎っ!」

俺は平日にため込んだ不満を込めて、目の前の大きなネズミの頭に向けてこん棒をたたきつける。


ゴッと骨の砕けた嫌な音がなる。


「CHUU・・・。」

ネズミ型のモンスターの頭部からは血が流れ、動かなくなる。

すると光となって消えていく。


その跡には小さな石、ビー玉程度の少し紫色の煤けた石が転がっている。

この石は「魔石」と言われる物で、その石を拾い上げる。


拾った石を腰に付けた小袋に入れ額にうっすらとかいた汗をタオルで拭いて一息つく。

「ふぅ、すっきりした・・・。」


身体を動かすのはストレス発散に効果があるのを感じつつ、

今日も何十回とこん棒を振り下ろし、ネズミ型モンスターを倒す。


自分のストレスのはけ口となっているネズミ型モンスターには少し気の毒だが、

平日の仕事にかかるストレス発散のため、そして俺の食費のためだ許してほしい・・・。


俺は、どこにでもいるいたって普通のサラリーマン。

|朝日野 竜一(アサヒノ リュウイチ ) 独身28歳

大抵の人達は俺の事を名前負けと呼んでいるがその通りの根暗でモブキャラだ・・・。




なんで俺が会社でイライラする理由は、なぜか俺の部署は編は奴が多い。

上司からはじまり、後輩、そして部下・・・。

まあ、窓際部署なのだろうかそんな問題児ばかり集められているので毎日ストレスを抱えている。


そんなこんなで憂さ晴らしのため俺は何気なく受けたダンジョン適正検査の結果

「適正有」という事で休日はストレス発散、そして副業として「攻略者」となった。

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