第2話情報の収集が肝心要。
難無く、
諸国の関所を問題なく、通り抜け、観光しながら
「しかし。……言ってみるものだな。報酬に五百両に手付金が百両。ポンと出してくれるのだから」
適当に選び、
「お? 入ってくる気配がしなかったけど、御客さんかい?」
「そうそう、御客。店主さん、有名な
虚太郎は、にこりと笑いながら、葛籠から巾着を取り出し。――銭ならあるという事を示す為に振って、耳障りの良い音を出す。
「あいよ」
短い返事をし、また奥に顔を隠す店主。
次に奥から姿を現した時には、その手には
「これが! かの太閤も愛したと言われる
口から迎えに行くように、一口目を
「甘酸っぱい味と、絹のように滑らかな舌触り。……来てよかった。おかわり!」
練緯酒を飲み干す、虚太郎。
「そういえば店主。……
虚実を織り交ぜながら、軽い態度で情報を引き出そうとする。
店主は少しの間だけ、顎に手を当て、天を仰ぎ見て唸る。
「強いて言うなら、
おかわりの酒を虚太郎に出し、噂だと念を押してから、ひそりと耳打ちをする。
「今の
人の口には戸は立てられない。――虚太郎は眉を
「くわばらくわばら。……それは、近づかない方が良いね」
気が重くなる任になるやも。と、心を決めて、酒を飲み干す。
勘定を済ませ、店主の気持ちいい挨拶を受けて、外に出る。ほろ酔いの火照った身体に、気持ちの良い風があたる。
月は雲に隠れ、闇夜の
佐賀藩
「江戸の番所並みに人が多いな。……しかも、鉄砲までか。百姓の
口元を覆っている布が僅かに動く。
瞬時に姿が消える。――空高く跳び上がり、風切り音も無く、
番所の人間は地上しか見ていない。
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