月夜の晩に

誰かを思い浮かべながら空を見る

明るい明るい月が浮かび

群青の空を照らしていた

誰を思い浮かべようか

今日、電車で注目した人?

歩いている時にすれ違った人?

電話をくれたあの人?


一日を月に報告して前を見る

よそ見をしていたのは誰もいないから

月が輝く晩は少し寂しい

人もいなくて寂しくて

付き合い上手な月と語らう

酒の一つもないけれど

飲めないから丁度良い

一人酒も遅い晩ご飯も一緒くたに

「今日も一人だよ」と

月に言う

等間隔の電灯の下は橙色

そこには何もありはしない

ちょっと情けない私の影が映るだけ

足下は悲しいから上を見る

今日は半分の月

これから欠けていなくなる日があると思うと

焦がれて焦がれてしかたがない

できれば雨の日だといいなあ

ただそれだけを思う簡単な一日

私は月夜の晩に遊ぶ、遊び上手な人間なのだ

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