忘れる日々に

今日も出かけて空を見るが

とうに見飽きた空ではあるが

息苦しくて密かに外す

マスクを手にして息をする

空を見る 息をする 空を見る

はあ、とため息を一つして

外した訳は

あの家の軒先に梅がなる

そのかぐわしい芳香を記憶したい

黄色の花が咲いているのに

息をしないのは可哀相だ

すぅ はあ すぅ すぅ

つん、甘いだけではない

後味残さぬ味に満足する

天然の芳香剤

季節も巡ったなあ、なんと

思ってみる

花や草木はおしゃべりでいい

忘れていくも、そこにいる

日々を忘れようとしても

匂いだけは忘れない

やあ、梅の花よ、また会ったな

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