第133話 何しに?

王子三人が婚約と将来の会話している時、部屋に国王ジンノと王妃エリザベス、それに宰相クラマと辺境伯になったザンタが入ってきた。


「父上?」


「親父にお袋、……クラマさんにザンタさん」


「え?」


国王は三人の息子たちを見るやいなや、笑い出した。


「おやおや? これは珍しいこともあるもんだな。良くも悪くも癖の強い我が息子たちが仲良く会話しているとはな。これから雨でも降るのではないか? おお、不吉な。クラマよ、今日の天気はこれから悪くなるかもしれんのう。気をつけねば」


「あら、貴方。そんなこと言うものじゃありませんよ。そんなことを口にしたら皆気まずくなってしまいますわ。大人げない冗談は子供たちの前で口にするものではありませんわよ?」


「……陛下、王妃様も。そのようなことをわざわざ口にしないでください。この場が本当に気まずくなりますから。ただでさえ厄介な話があるというのに……」


「我が君にエリザベス様も……相変わらず、このようなやり取りをしているとは……。ふっ、懐かしさがこみ上げてきますよ。クラマが頼もしくなって何よりだ。私はそれが嬉しいよ」


「ザンタさん。こんな時にそんなことを言われても……」





「「「…………(何しに来たんだろう?)」」」


国王たち四人は入ってくるなり、どう反応すればいいか困る会話を始めてしまった。王子たち三人が理解するのに少し間を置く必要がある程度には場の空気を読まないやり取りだった。


「ち、父上……。何か御用で……?」


「いきなり入ってきて何を言い出しやがるんだよ(何故、こんな親父が国王になれたんだろう。くだらないことは省けよな)」


「これは皆さん、おそろいで(なんだか面倒な予感がするな。クラマさんのあの顔を見るに)」


かーうはともかく、レフトンとナシュカは、国王と王妃がにこやかなのに対して冷や汗をかくクラマと影の指す笑みを浮かべるザンタの二人を見るだけで、単純に自分たちをからかいに来たわけではないと分かってしまうのだ。


「わざわざ私達に声をおかけしたのはからかいに来たわけではないのでしょう。すぐに本題をお聞きしても?」


「流石はナシュカだ。頭の回転が速いな」


「さっさと要件を言えよ馬鹿親父」


「いつまでたっても口が悪いなレフトン。ではお望み通り本題から入ろうか。クラマ」


国王に促されてクラマが説明をすることになった。


「実は、謹慎中のワカナ・ヴァン・ソノーザが逃げ出したようです。ついさっき私達の耳にはいってきました」


「「「え?」」」


王子三人の声が重なった。ナシュカの嫌な予感は的中してしまったのだ。


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