第2話時空の大海を渡る

未来に到着したアルド達。

早速、マクミナル博物館の図書エリアに入るも、本の壁を前に立ち止まる。

サイラス「これだけ本があると探すのも 骨が折れるでござるな・・・」

エイミ「えーっと 歴史関係のコーナーは・・・っと」

アルド「あの辺りかな?」

アルドが指を差す先には、歴史ものの分厚い本が並んでいるようだ

アルド「これだけの本の中から 目当てのものを探すのって 大変だな」

エイミ「でも やるしかないわね 

 手分けして 気になるところを探してみましょう」

本探し始めるも数が多く、なかなか見つからない。

アルド「うーん どういう情報から探せばいいのかな?」

エイミ「あの辺りの 歴史関係の本か・・・ それかカエル関係の本かしら?

 うん ちょっと 言ってて 気が遠くなってきたわ・・・」

エイミの目線が上を向いた。


本を探すアルド達、しばらくすると、サイラスが大きな声をあげた。

サイラス「アルド!エイミ!」

アルド「どうした 何か見つかったのか?」

アルドとエイミがサイラスの元に集まる。

サイラス「この本に 気になる情報があったでござる」

エイミ「本当? どの辺り?」

アルド「ん?これか?」

アルド、エイミが覗く先に、1冊の本があった。

「ミグレイナ全史・3 かなり昔のよもやま話集」

アルド「うん? お堅い本なのか そうじゃないのか 判断に困るな・・・」

サイラス「題名より ここでござるよ」

サイラスは開いていたページに指をさした。

「ミグレイナ各地の伝承・うわさ話・確実性に欠ける事象」

アルド「草原か えっとラトルのところは・・・と」

「ラトル」

「地殻変動により、ラトルにて魔獣と思わしき生命体が増殖、かつ、大型化し

ラトルを襲撃。 他の町に逃げ込んだ住民によると、

大型ガエルがそれらを率いていたらしい。

ところが、知らせを聞きラトルへ向かった人々は

(何もなかった。荒れてもいないし、物も大して壊されていない。

ただ、人がいないだけだった。)と証言したという。

しかし、ラトル住民が忽然と姿を消しており、

カエルにさらわれた等と噂が広がるも、被害人員・不明。

このことがきっかけにより、カエルに関係するその地方の風習がはじまった。

言い伝えによる記述のため 信憑性不明・未解明」


アルドが本を見ながら言った。

アルド「そういうことがあったのか・・・」

アルド「いや そういうことにこれから なるのか?」

サイラス「あと これもあったでござる」

サイラスはもう1冊の本を取り出してきた。

「現在進行編さん中!ミグペディア」

エイミの表情が少し曇る。

エイミ「編さん中なのに本になってるんだ 追加していくってことかしら?」

サイラス「ここでござる」

サイラスは先ほどと同じように開いたページを指さした。

「カエル神のはじまり」

「時期不明・古代の初期頃と推測される事象・ラトルの住人が突然の失踪」

アルド「ここまでは同じことが書いてあるな」

「後世の歴史家・探求家によると、プリズマによる影響を受けた、

未確認宇宙生命体による集団略取が行われたのではないかと、推測されている」

アルド「えっ?」

「現在では、星の侵略に向けた前段階と考えられ、星の楔として

1つの集落をそのまま吸収。あるいは目標内基地候補として、

マークしたのではないか、とのこと。

不自然な微細プリズマが現地にて発見されたことにより、出現した新説。」

エイミ「何ですって?」

「注:根拠不明 出典不明 不確実な情報 妄想の類」

アルド達は互いの顔を見た。

アルド「ちょっと安心したな でも妄想の類って・・・」

サイラス「この本は色々な情報を 注釈入りで全部載せしているようでござる」

エイミ「一時代の小さな町の異変は こういう本にしか載らないのかもね」

アルド「でも カエルに関係することと

 人がいなくなったことは どっちの本にも書いてあるな」

サイラス「ぱっと目についたのは これくらいでござるな」

アルド「やっぱり 現地に行って もう少し調べてみようか」

サイラスは本を閉じた。

サイラス「それがよさそうでござるな 歴史的には大事件ではないけれど

 今回の件とカエルにまつわる話がつながってる可能性は十分あるでござる」

エイミ「妄想の類って書かれちゃった微細プリズマも

 ひょっとすると見つかるかもしれないわね」

サイラス「宇宙生命体による 集団略取も でござるぞ」

サイラスからの視線を、アルドとエイミはそっと外した。

アルド「それは・・・たぶん・・・ないと思うな・・・」

エイミ「ええ・・・そうね・・・」

サイラス「なぜでござる? 可能性なら無限にあるでござるぞ!」

アルド「絶対に ないとは言えないけど・・・」

エイミ「まあ 調べるのも難しいからね・・・」

アルド「じゃ・・・もう一度草原の奥地へ行こうか・・・」

エイミ「そうしましょう・・・」

サイラス「ちょっと アルド?エイミ?待つでござるよ!おーい」

こうして アルド達は古代の草原の奥地へ向かうのだった。

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