向こう側

ヤヤヤ

向こう側

 カーテンの向こう側が明るい。もう朝なのだろうか。いや、もしかしたら昼なのかもしれない。そのどちらでもなく、実際はまだ夜中で、明かりはただの街灯の光という可能性もある。いずれにせよ、そこにある世界から切り離された日常を私は生きている。

 ベッドの上には、色とりどりのカプセルが無数に散らばっている。その横には、もう何年間もずっと放置している、穴だらけのTシャツと色褪せたジーンズ。不思議なことに、それらをじっと見つめていると、私の中にある古時計の秒針が、すっと動きを止める。

 家族の顔はもう忘れてしまった。いつ、どうやって彼らの記憶を消し去ったのか、それすらも覚えていない。

 この世の中にある、もの、出来事、存在、全てに意味があるのなら、私にも「意味」があるの?

 知りたい。私はそれが知りたくて知りたくてたまらない。だから、カーテンを開けようと思う。ここの世界を、カーテンの向こう側の世界と繋げよう。そうして結果死ぬことになったとしても、その時「意味」を得られるのであれば、私に「意味」はあったはずなのだ。

 私はゆっくりと、カーテンに手を伸ばした。

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向こう側 ヤヤヤ @kojjji

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