第2話 芝居面接
「学生時代にはネットラジオの運営をしていました。コミュニケーション能力には自信があります」
面接のネタになると思い、適当に始めた配信アプリの経験が活きた。家に帰ったらアンインストールしよう。
「へえ~、そうなんだ。部活は何かやってた?」
ネットラジオについて掘り下げられないことに驚いた。ただこんな質問想定済み。台本通りの返答をする。
「はい!テニス部に所属していました」
実際は卓球部だ。まあ、似たようなもんだろ。
その後にも何度か質問は続いたが難なく返答し、面接を終えた。
面接室を出ても当分は笑顔を作った。面接会場を出るまでが面接だ。このプロ意識には惚れ惚れする。
私は会場から少し離れた所でジャケットを脱ぎ、自分の演技を振り返った。
次の公演は明後日だ。
400字短編集 ねぎ @negi_hayaoki
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