400字短編集

ねぎ

第1話 ドッペルゲンガーの正体

「なあ、ドッペルゲンガーの正体がわかったわ」

私はいつもより少し大きい声で言った。これから話す推測に自信があったからだ。

「なんなん?」と興味なさげな声で友人のKが言った。

「まず、宇宙の外って考えたことがあるか?」

「ずっと宇宙が続いてるんじゃないかなぁ」

「つまらんなぁ。俺はな、同じ宇宙が隣り合わせになって全く同じに存在していると思う。これを前提にドッペルゲンガーの正体をお前に話すわ。」

私は人と話すときに一人称が俺になる。ドッペルゲンガーが混ざったのかと昔はよく考えた。

「あー、なら隣の宇宙にも同じ時間軸を進む地球があるってことか」

Kの飲み込みが早くて助かった。

「そういうことだよ。で、ドッペルゲンガーは隣の地球に生まれるはずの人間が同じ地球に生まれてるってことなんだよ」

「ふうん、そういうことね」

たいした盛り上がりもせずにこの話は終わった。

隣の地球の私、ドンマイ。

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