36話
『朝九時』
昨日送ってくれた使用人が扉の前まで来てくれた。
『ピーポーン』
「浅沼様お迎えにあがりました、使用人のセバスです。」
「は、はい!!少し待ってください」
僕は美奈さんのお父さんの使用人がインターホンを押し、優しい声で呼ばれて僕は目を覚ました。
僕は慌てて寝ぼけているクロにリュックに入ってもらい、武器やアイテムをまとめ支度をし終わった後、急いで家の扉を開け、急いで家を出て息を切らしながら使用人の車に乗り込んだ。
「すいません、お待たせしました。」
「いえいえ、早めに来ていますのでそんなに慌てなくてもよろしかったのに」
「待たせるのは悪いと思いまして」
「そういえば、浅沼様はお一人でダンジョンに向かわれるのですか?」
「いえいえ、僕がテイムした相棒と一緒に頑張ります」
「ほ〜お、テイマーですかそれは珍しいですね」
「いや〜」
僕をミステリーダンジョンに送ってくれる使用人は白い口髭を生やし白髪の老人だが黒服でぴっしりして深みのあるおじさんだ。
テイマーは世間的には珍しいが、改めてセバスさんに言われると照れてしまった。
僕が車の中に入り発進した後、少し沈黙の時間があった。
僕は気まずくなり、何を喋ろうか悩んでいると美奈さんのお父さんの使用人が口を開いた。
「ひとつ浅沼様に忠告しておきます」
「はい?」
僕は急に忠告っと言われ困惑をした。
「あなたの対戦相手の健二様はザルクと言うお金を払えばなんでもする野蛮な人を雇われたらしいです。噂によると何人か依頼で殺人をしたとかしないとか。しかも実力だけで言えばS級冒険者並みであると言う噂です。」
「そんなの無理ゲーじゃないですか!!しかもやばいやつじゃないですか!!」
「はい、そうなんです。ですが、モンスター討伐ではないので勝ち目はあると思いますし、殺しなどはルールで禁止されるので大丈夫だとは思いますが....」
「セバスさんはどうして僕に忠告を?」
尋ねてみると、少し間があった。
「私は美奈様のことを小さい時から見てきました、だからこそ許嫁と言う縛りではなく、縛られず自分を預けられる人を自分で決めて欲しいんです、貴方みたいな人に」
「いや〜」
僕はそんな風に思われてると照れてしまう。
「陰ながら私も浅沼様のことを応援させてもらいます」
「ありがとうございます」
そんなことを話していると、道を舗装されていない道を通り、人気のない森の奥に着いた。
車の窓から覗いてみると、美奈さんと美奈さんのお父さんと、元許嫁の健二と健二が雇ったとされる背中に大鎌を背負っている一人の男がいた。
「旦那様、お待たせしました」
使用人がそう言うと、美奈さんのお父さんが口を開いた。
「では、皆さんが集まったことでルールを説明します。ルールは簡単、私たちが隠したお宝の中には美奈のお気に入りのクマが入っています。それをいち早く持ってきた人の勝ち、また妨害などのことは規制はしませんが、殺しなどの不正行為を行えば即失格で負けとなります。なお、今から配る携帯は普通の携帯ではなくダンジョンの中でも連絡が取れますので勝敗が決まると電話がなりますので戻ってきてください。」
僕たちは美奈さんの使用人が僕たちに携帯型の通信機を渡された。
「浅沼くん頑張って、あとこれお守り。」
美奈さんに青い宝石が埋め込まれた、ブローチをもらったので、早速胸元にブローチを取り付けた。
「美奈さんありがとうございます」
「気をつけて」
そう言い残すと、美奈さんは僕の方を離れてお父さんの方に向かった。
すると、僕の対戦相手の健二がきた。
まあ、冷やかしにきたに違いないだろうが。
「浅沼さんは一人で十分とは随分余裕ですね。もしかして、組んでくれる人がいなかったんですか」
「.....」
「無視ですか、まあいいです」
だが、僕は冷やかしにきただけだと思い僕は無視をした。
別に僕一人で戦うわけはない、リュックの中にはクロがいる。手の内は隠しておいた方が有利になる。
「スタート!!」
っと、美奈さんのお父さんがそう言うと、僕たちは一斉に走り出しダンジョンの中に入って行った。
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