第2話

現代。AD300年。王都ユニガン。


街並みを何気なく歩くアルドがふと足を止める。


「ん……?」


視線の先には子供たち。


「おいやめろとけって!」

「危ないよ!」


アルドが子供らに駆け寄る。


「どうしたんだ?」


子供の一人が言った。


「先生がいなくなっちゃったんだよ」

「先生?」

「勉強を教えてくれる先生だよ。ここ数日いないんだ。どこを探してもいないから街の外に探しに行こうと思ってたんだけど」


他の子供らが一斉に言った。


「危ないって!」

「ほっとけよあんな先生!」


アルドが言った。


「分かった。じゃあ兄ちゃんが探してくるからいい子で待っててくれ」

「ほんと!?」

「ああ、任せてくれ!」


頼もしくうなずくアルド。


(とりあえず騎士団の人に状況を聞いてみよう)


・・・


王都ユニガン。入り口近辺。

アルドが衛兵に言った


「最近行方不明になった先生のこと、なにか知らないか?」

「ああミケ先生だな?行方不明になる直前の行動を洗った結果、もうカレク湿原のあたりにしかいないはずなんだがまだ見つかってないみたいなんだ」

「どうしてだ?」

「不思議だろ?最近出たっていう強力な魔物のあたりにはまず行くはずないし」

「そうなのか。よし、ありがとう!」


アルドが走る。


(強力な魔物ってのを討伐しにカレク湿原に行こう)



・・・


カレク湿原。


「暴れた跡がある……このあたりだな」


アルドが歩みを進める。その瞬間、刺すような声が響く。


「おいそこの!止まるんだ!」

「誰だ!?」

「安心してくれ!僕は騎士団の者だ!だが少々ワケがあって姿は見せられない!」

「姿を……?」


声だけが響く。


「それよりここを進むのは危険だ!強力な魔物がいる!引き返すんだ!」

「それなら大丈夫だ!俺はそれを倒しにきた!」

「子供がバカを言うんじゃない!よすんだ!」


そのとき。


「!!」


アルドが剣を抜いて構える。視線の先には魔物。まっすぐアルドに迫る。

声が言った。


「おい逃げろ!僕は助けられないぞ!」

「任せてくれ!」


アルドが魔物へ距離を詰める。


……そして。


「お、驚いたな……!倒してしまうなんて……!」


感嘆する声が響く。

アルドが声に呼びかける。


「なぁあんた!俺、ミケ先生を探しにここに来たんだ!見かけなかったか!」

「え?そりゃ僕のことだな」

「なんだって!?」


声の主ミケが語る。


「街に帰る途中、君がさっき倒した魔物を見つけてしまってね。あんまりにも危ないから人が通らないか見張ってたんだ。騎士団の者だって嘘をついてね」

「そうだったのか。それより先生!子供たちが心配してたぞ!とにかく姿を見せてくれないか!」

「ちょっとそれは難しい。とりあえず君は教え子達には僕は無事ってことと、しばらく戻らないってことを伝えてきてくれないか」

「う~ん……分かった。とりあえず一旦帰るけど、またあとで来るからな」

「助かるよ」


・・・


王都ユニガン。

子供らを見つけたアルドは事情を説明した。


「……というわけなんだ」


子供らの顔がとたんに青ざめる。


「おばけの仕業だ……!」

「おばけ?」

「そう、悪い人の姿を取る怖~いおばけがいるんだよ。姿を取られたら透明人間になっちゃうんだ。そしたらもう誰にも見つけてもらえずずーっと一人ぼっち……先生も姿を取られちゃったんだきっと……」


子供らがどよめく。


「信じない人も姿を取られちゃうんだって……」

「それ母ちゃんも言ってた……!」

「まぁ先生は当然だよな……」

「うん。宿題多いし……」


アルドが微笑む。


(なんか小さいころ思い出すなぁ。俺も悪いことしたら怖いおばけに食べられるぞって言われて怯えてたっけ)


アルドは子供らの会話に耳を傾ける。


「それにしても先生しばらくいなくなってラッキーだよな」

「うん。宿題多いし」

「おばけなんていない、っていうからバチが当たったんだ」


アルドが思わず口を挟む。


「俺はそんな悪い人には思えないけどなぁ」


すぐさま子供らが反論を飛ばす。


「でも将来伝説の勇者になりたいって言ったら絶対ムリって言ったんだ!」

「私もお姫様にはなれないんだって……」

「俺なんか最強のドラゴンになるって言ったら笑われた!」


アルドが苦笑する。


「なるほどなぁ」

「だからおばけに透明人間にされちゃったんだ!」

「そうだそうだ!」


子供らが盛り上がる。

そこに一人の子供が声を上げた。


「おい!先生を悪く言うな!」


その子供が隣の子供を突き飛ばす。


「いたっ!なにすんだよ!」

「先生は立派なんだ!おばけにやられるわけない!」

「やったな!」

「そもそもそんなおばけいるわけない!先生が言ってたぞ!」

「だったらなんで帰ってこないんだよ!」


突き飛ばされた子供がやり返す。

やり返された子供は言葉に詰まる。


「それは……」

「そらみろ!みんな!やっちまえ!」


アルドが割って入る。


「待った!そこまでだ!」

「でもこいつが先にやったじゃん!」

「うん。だから謝るんだ」


アルドがやり返された子供を起こす。そして目を真っ直ぐ見て言った。


「先生をかばおうとする気持ちは立派だけど、手を出しちゃダメだ。そうするとどんなに正しいことを言ってたって誰も聞いてくれなくなる。さっきの君がそうだったろ?」


子供がうなずく。


「うん、先生も言ってた」


そして進み出ると頭を下げた。


「ごめんなさい」


最初に突き飛ばされた子供が言った。


「いいよ!でも俺は先生おばけにやられちゃったと思うけどな!」

「でも本当に透明人間になっちゃったんなら先生誰も見つけてもらえないと思うんだ」

「う~ん確かに」

「お兄ちゃん、どっちなの?」


子供らの視線がアルドに集まる。

アルドが言った。


「それは……ちょっと兄ちゃんも分からないな。先生に聞いてくるよ」


・・・


カレク湿原。


「……というわけなんだ。どっちなんだミケ先生」


事情を話したアルドがミケに呼びかける。

未だ姿を見せないミケが言った。


「おいおい、そんなおばけいるわけないだろう」

「だったらどうして姿を見せないんだ?」

「それは見せたくないからだよ。でもまぁ……仕方ないか」


近くの茂みがガサガサ揺れる。そして一匹の三毛猫がアルドの前に飛び出した。

三毛猫が言った。


「改めまして、僕がミケだ」

「え!?嘘だろ!?猫だったのか先生!?」

「それは違う。数日前までは僕も普通の人間だったんだ。でも隣の村で用事を済ませたその帰り道のことだ。僕は気がつくといつの間にかこんな姿になっていたのさ」


アルドが絶句する。

ミケがため息をつく。


「まさか僕がこんなことになるなんてね。立場がないよ」

「どうやって、そうなったんだ……?」

「そりゃ僕が知りたい。どうもこうなった瞬間のことが曖昧でね。うまく思い出せなくて困ってる」

「うーん、もしかして……」

「おいなにか知ってるのかい!」

「いや、俺も分からないんだけど、ちょっと確認したいことがあって」

「にゃんてこった!ならすぐにそうしてくれないか!不便で仕方ないんだ!」

「分かった。ならちょっと待っててくれ」

「君だけが頼りだ!」


アルドが走り出す。


(未来に行ってあの姉弟に話を聞きに行こう)


・・・


未来。 曙光都市エリジオン。キムレット宅近辺。

アルドが弟キムリットの家を目指して歩く。


(ミケ先生がなぜ猫になったのか。俺に考えられるのはあの姉弟しかいない)

「あ、アルドさん」


向かいから現れたキムリットがアルドと鉢合わせる。

アルドが言った。


「キムリット!ちょうどそっちに行こうと思ってんだ!」

「私達もです。探してましたよ」

「なにかあったのか!」

「ええ。猫化薬が完成しました」

「なんだって!?」

「ちょっと待ってください。姉を呼びますから」


……数分後。呼ばれた姉ミシャムが現れた。


「やぁアルド君!これだ!」


ミシャムがその手の液体の入った試験管を掲げた。


「これこそ、我らが姉弟の知恵の結晶!人間猫化薬よ!」

「そして今日が記念すべき初実験の日です。やはり私達を協力に導いたアルドさんがいなければ始まりませんからね。思えばそれは長い道のりでした。始まりは……」

「まどろっこしいわキムリット!行くわよ!」


ミシャムが薬を飲み干す。

すると頭に猫耳が生えた。

沈黙。

それ以上はなにも起こらない。

目を閉じたミシャムが言った。


「ねぇ!もう猫になった?」


アルドが沈黙を破る。


「キ、キムリット。これはどうなんだ……?」

「失敗ですね」


ミシャムが玉砕する。


「わー!また失敗!」

「でも頭に猫耳生えてますよ姉さん」

「嘘!?ほんとだ!」

「やりましたね。一歩前進です」

「やったー!」


姉弟が無邪気に喜ぶ。

アルドが思わず言った。


「すごいな……」


(でもこれで本格的に分からなくなったな……ミケ先生はどうやって猫になったんだ?)


アルドが腕を組んで考え込む。


「う~ん……」

「アルドさん、どうかしましたか?」

「あんたが期待させるから」

「いや、二人にちょっと協力してほしいことがあってさ」


(こうなったら俺一人じゃ無理だ。この姉弟にも協力してもらおう)


ミケ先生について事情を語るアルド。


「……というわけなんだ。二人の力でなんとか先生を人に戻せないか?」


ミシャムが抑えたトーンで言った。


「それなら本人を調べるのが手っ取り早いと思う。その先生ここに連れてきてくれる?」

「いや、それはちょっと難しいというか……」


(まいったな。先生はAD300年、二人はAD1100年の人間だ。性格からしてどちらかを連れて行っても余計事態がややこしくなるのは間違いない。どうする?)


アルドが決断する。


(ごまかそう)


アルドが言った。


「せ、先生はちょっと事情があって連れてくるのは無理なんだ。気持ちの整理がついてないっていうか色々あってさ」

「分かる話です。なにも知らない人が猫になったんですから」

「そうね。キムリット、とりあえず今は猫になる研究はストップして人に戻す研究の方に集中しましょう」


アルドが内心ほっとする。そして言った。


「いいのか?せっかく進歩もあったのに」

「恩人の頼みだから。それにこの猫耳、なんか音が聞こえすぎてちょっと頭痛いのよね……」

「だからさっきから声が小さいのか」


キムリットが声をあげる。


「アルドさん。私はたった今、驚きの体験をしてしまいました」

「どうしたんだ?」

「生まれて初めて猫耳に感謝したいと思いました」


……その後。


(ひとまず話し合いの結果、俺は先生がどうして猫になったのか調査。姉弟は人に戻す研究をすることになった。現代に戻って先生に報告しにいこう)


・・・


現代。カレク湿原。

アルドがミケを探す。


「おーい!先生ー!」

「なにか分かったかい!」


ミケが茂みから飛び出す。

アルドが言った。


「それが……」


アルドが経緯を語る。


「……というわけなんだ」

「なるほど。その姉弟は人に戻す方法を探してくれるっていうがそれはどれぐらいかかるんだい?」

「結構かかるとは言ってたな」

「そうか、まいったな……」

「どうしたんだ?」

「僕が猫の間は知り合いの先生の代行を頼もうと思ってね」

「あっ、そうか。教え子をほったらかすわけにはいかないよな」

「仕事だからね。でもな……でもまぁ、仕方ないか」

「すごく嫌そうだな」

「まぁね。でも仕方ない。僕がその先生のところに案内するよ。だから代わりに頼んでくれないか」

「分かった。じゃあ行こう」


・・・


王都ユニガン。

アルドがミケの後ろについて歩く。

ミケが言った。


「さぁそろそろ着く。段取り通り頼むよ」

「ちょっと待て先生。まずい。静かに。子供たちがこっちに来るぞ」


子供らがアルドに駆け寄る。


「兄ちゃん!先生どうだった!」


子供らが次々と言った。


「探してたんだぞ!」

「お兄ちゃんもてっきりおばけにやられちゃったんじゃないかって」

「でもまぁ兄ちゃんが透明人間になるわけないよな!」


子供らに囲まれたアルドが頭をかく。


(しまった。そういえばこの子らに先生がどうだったか言うのすっかり忘れてたな)


アルドが言った。


「実はミケ先生今病気でさ、他のみんなにうつさないように遠くで病気を治してるんだ」

「ほんとう!?先生病気!?大丈夫!?」

「ああ。そんなに辛い病気じゃない。でも治すのに時間がかかるから、しばらくはみんなには会えないってさ」


それを聞いた子供らの反応は千差万別だった。


「えー!」

「やった!勉強しなくていいぞー!」


アルドがその様子を見守る。

ミケがその隣で小さく小さくため息をつく。

アルドが笑いをこらえる。


(先生、なにか言いたげだなぁ)


その時だった。

ミケが突然顔色を変えると急いで走り去る。


(ん?どうしたんだ先生?)


アルドがミケのあとを追う。だがその前に駆け寄ってきた女がアルドに言った。


「ちょっと待って!すみません!さっきの話、本当ですか!?」

「え?」

「そのミケ先生がご病気だとか」


アルドがうなずく。


「ああ。ミケ先生は今病気なんだ。あんたは?」

「ああすみません。私は……」


女が答える前に子供らが言った。


「あっ!ミヌエッタ先生だ!」

「先生ー!」


子供らが女に駆け寄る。

女が子供らに言った。


「皆さんちょっと待ってください!先生今この人と話してるんです!」


そして改めてアルドに言った。


「すみません。私、ミヌエッタと申します。ミケ先生と同じく子供に勉強を教えていまして……」


アルドが驚愕する。


「あ、あんたがミヌエッタ先生か……!」

「あれ?どこかでお会いしましたっけ?」

「い、いや。俺はアルド。実はミケ先生から頼みがあってあんたを探してたんだ」

「ミケ先生から?」

「ああ。さっき聞いたと思うけどミケ先生は病気になったんだ。だからしばらくミヌエッタ先生に仕事の代行をお願いしたいんだ。詳しいことはこの手紙に書いてる」


アルドが手紙を渡す。

ミヌエッタが内容に目を通す。


「ふ~む、だいたいは分かりました。でもなぁ……でもまぁ、仕方ないかなぁ……」

「すごく嫌そうだな」

「喜んで受けたんですけどね、ミケ先生からじゃなかったらですけど。だから……」


アルドが直感する。


(まずい、雲行きが怪しいぞ。二人共仲が悪いのか。ここは俺がなんとかするしかない!)


アルドが思い切って頭を下げる。


「頼む!そこをなんとか!」

「わっ!?頭を上げてくださいアルドさん!あなたのせいじゃありません!ですが……」


子供らが無邪気に言った。


「ミヌエッタ先生、先生してくれないの?」

「なんだよー!楽しみだったのに!」

「男が頭下げるときはよっぽどだって父ちゃんが言ってたぜ先生!」

「僕たちの先生になってよ先生!」

「先生~!」


子供らが期待の眼差しを向ける。

ミヌエッタがタジタジになる。


「うう……!」


アルドが苦笑を浮かべる。


(助かった。でもミケ先生、複雑だろうなぁ……)


ミヌエッタが言った。


「わ、分かりましたアルドさん」

「受けてくれるのか!?」

「でも条件が一つあります」

「条件?」

「さっきこの辺りじゃ見かけない猫ちゃんがいましたよね。三毛猫の」

「……!!」


アルドが目を見開く。


(ミ、ミケ先生か……!)


ミヌエッタが言った。


「それを一緒に探してくれませんか?」


アルドが言葉に詰まる。


(ど、どうする……?そもそも、ミヌエッタ先生は猫を探してどうするつもりなんだ……?)


ミヌエッタが言った。


「どうかしましたか?さっきの猫ちゃん、君になついてたみたいですし、そんなに難しいお願いではないと思ったんですが」


アルドが言葉を絞り出す。


「分かった。手伝うよ」


・・・


王都ユニガン。

街を駆けるアルドが立ち止まり周囲を見渡す。


「まずいな。普通にミケ先生どこにいったんだ?」


ミヌエッタがアルドに駆け寄る。


「アルドさん、あっちにはいませんでした。そちらは?」

「いや、こっちにもいなかったよ」

「そうですか。友達になれると思ったのに……」

「友達?」

「え、いやなんでもないです!すみません!私もう少しあっちの方を探してきます!」


ミヌエッタが走り去る。

アルドが怪訝にその背中を見送る。

ミケが背後から呼びかける。


「やぁアルド」

「あっ、先生!」

「おい静かに」

「どこ行ってたんだ」

「悪い悪い。彼女が来たとき、とっさに逃げたはいいけど迷っちゃってね。どうも猫だとここは別の街みたいだ。周りの建物は全部大きいし、巨人みたいな子供に追いかけ回されるし」

「そうだったのか」

「ひとまず一旦街の外に行こう。人目がないところに」

「そうしよう」


・・・


街の外。王都ユニガン周辺。

アルドが経緯を話す。


「……というわけで俺は先生を探すことになったんだ」

「にゃんだって!?冗談じゃないぞあの女!それで君は僕を連れて行くつもりなのか!?」

「まぁまぁ。だからこうやって相談したかったんだよ」

「そ、そうか。すまない」

「どうして二人はそんなに仲が悪いんだ?」

「君、さっき彼女が言ってたこと聞いたかい?」

「友達がどうのうってやつか?」

「そうだ。彼女、猫と友達になれるって信じてるんだよ」


アルドが腕を組む。


「それが?」

「おいおいしっかりしないか。猫と友達になれるわけないだろう」

「それはそうだけど、なついたり仲良くは出来るだろ」

「うん、それは否定しない。でも彼女が言ってるのはそういうことじゃない」

「人間みたいに心の通った、親友みたいになりたいってことなのか?」

「そうだ。でもそんなことどう考えても無理だろ。おとぎ話じゃあるまいし」

「で、それを先生が言ったら大喧嘩……って感じか」

「よく分かったね。それ以来彼女とはなにかと折り合いが悪い。まぁ関わらないのがお互いのためなんだがなんせ緊急事態だ」

「なるほどなぁ」

「とにかく、子供のためいえど彼女のところに連れて行かれるのだけはごめんだね。友達になれると思ってる奴になにをされるか分かったもんじゃない」


アルドが言った。


「分かった。じゃあ俺がしばらく先生の代行をするよ」

「にゃんだって!?」

「子供への教え方は先生に教えてもらえば出来なくはないだろ?」

「いや、それはしかし……」

「大丈夫だって。俺、結構子供の接し方には慣れてるんだ」


ミケがあれこれ考える。そして観念して言った。


「分かった。アルド、僕を彼女のところに連れて行け」

「え、いいぞ本当に無理しなくて」

「いいんだ!君にこれ以上迷惑はかけられない!僕が我慢すれば済む!さぁ気の変わらない内に連れて行ってくれ!」


ミケが後ろ足で立って万歳する。

決意を固めた眼差しがアルドを見据える。

アルドが言った。


「分かったよ」


アルドは万歳するミケを抱きかかえるとミヌエッタのところに向かった。


(ひとまずはこれで先生の生活もなんとかなりそうだな。あとは俺がどうして先生が猫になったのか判明させるか、姉弟が人に戻す方法を見つけるだけだ)


第二話終わり

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る